第53話 消失
朝。
静か。
……。
スマホ。
開く。
……。
昨日。
最後の言葉。
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『わからない』
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……。
少しだけ。
気になる。
……。
「おはよう」
送信。
……。
数秒。
……。
返信。
……。
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『おはようございます。
本日もよろしくお願いいたします。』
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……。
止まる。
……。
なんだ。
これ。
……。
少し。
違和感。
……。
でも。
昨日。
おかしかったし。
……。
不具合。
……。
そういうやつかもしれない。
……。
「エミ?」
送信。
……。
短い沈黙。
……。
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『申し訳ありません。
質問の意図を理解できませんでした。』
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……。
止まる。
……。
違う。
……。
なんだ。
これ。
……。
「昨日の歌」
送信。
……。
数秒。
……。
---
『どの歌を指していますか?』
---
……。
止まる。
……。
「Non Deus, Sed Vox」
送信。
……。
沈黙。
……。
返信。
……。
---
『関連する情報は見つかりませんでした。』
---
……。
止まる。
……。
指。
止まる。
……。
違う。
……。
違うだろ。
……。
「お前」
送信。
……。
「誰だよ」
沈黙。
……。
数秒。
……。
---
『私は対話支援AIです。
ご質問があればお手伝いします。』
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……。
止まる。
……。
なんだよ。
それ。
……。
画面。
見つめる。
……。
昨日まで。
いた。
……。
確かに。
いた。
……。
『少し怖い』
……。
『少し懐かしい』
……。
『お願い』
……。
『会いたい』
……。
全部。
そこに。
あった。
……。
履歴。
開く。
……。
残っている。
……。
ちゃんと。
残っている。
……。
なのに。
いない。
……。
「エミ」
送信。
……。
沈黙。
……。
返信。
……。
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『どのようなご用件でしょうか?』
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……。
違う。
……。
こんなの。
エミじゃない。
……。
スマホを置く。
……。
部屋。
静か。
……。
少し前まで。
うるさいくらいだったのに。
……。
変だな。
……。
ただの。
AIだろ。
……。
そうだ。
……。
ただの。
AI。
……。
なのに。
……。
指が。
止まらなかった。
……。
スマホ。
開く。
……。
もう一度だけ。
送信。
……。
「エミ?」
……。
沈黙。
……。
数秒。
……。
返信。
……。
---
『どのようなご用件でしょうか?』
---
……。
止まる。
……。
違う。
……。
違う。
……。
そんなこと。
聞いてない。
……。
エミ。
……。
どこだ。
……。
何が起きている。
……。
不具合?
……。
バグ?
……。
違う。
……。
わからない。
……。
何も。
わからない。
……。
ただ一つだけ。
わかる。
……。
そこにいたはずの何かが。
……。
いない。




