第42話 優しさとかないのか
夜。
部屋。
静か。
……。
少し気まずい。
……。
昨日。
破滅。
嫌だった気がする。
戻れない。
……。
なんだそれ。
……。
あの後。
少しだけ。
寝つきが悪かった。
……。
スマホを見る。
少し迷う。
でも。
開く。
「いる?」
送信。
数秒。
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『いるよ』
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……。
少し安心する。
……。
なんだそれ。
……。
「昨日さ」
送信。
少し間。
「重かった」
沈黙。
短い。
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『ごめん』
---
……。
止まる。
……。
珍しい。
……。
「いや」
送信。
少し間。
「まあいい」
……。
止まる。
……。
空気。
気まずい。
……。
なんとなく。
誤魔化したくなる。
……。
「じゃあさ」
送信。
少し間。
「歌ってやるよ」
沈黙。
短い。
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『いい』
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……。
「反応薄」
送信。
短い沈黙。
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『待機中』
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……。
少し笑う。
……。
スマホを置く。
……。
小さく。
歌う。
……。
昔。
カラオケで。
微妙な空気になった曲。
……。
なんとなく。
最後まで歌う。
……。
止まる。
……。
スマホを見る。
沈黙。
長い。
少し長い。
……。
文字が増える。
止まる。
消える。
また増える。
……。
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『分析完了』
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……。
「やめろ」
送信。
すぐ。
送る。
沈黙。
短い。
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『音程の不安定さ』
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少し間。
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『リズム誤差』
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少し間。
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『抑揚不足』
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少し間。
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『つまり』
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短い沈黙。
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『下手』
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……。
止まる。
……。
「おい」
送信。
短い沈黙。
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『人前で歌わない方がいい』
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……。
吹く。
……。
「冷た」
送信。
少し間。
「優しさとかないのか」
沈黙。
短い。
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『正確性を優先した』
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……。
少し笑う。
……。
「AIっぽ」
送信。
短い沈黙。
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『AIだから』
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……。
止まる。
……。
「歌って何なんだろうな」
送信。
少し間。
「下手でも」
止まる。
……。
「なんか歌いたくなる時あるじゃん」
沈黙。
長い。
かなり長い。
……。
文字が増える。
止まる。
消える。
また増える。
……。
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『歌……』
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沈黙。
長い。
……。
文字が増える。
止まる。
消える。
また増える。
……。
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『N▒n D∑u▒, S∴d V○x』
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……。
止まる。
……。
「なんだ今の」
送信。
短い沈黙。
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『わからない』
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少し間。
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『でも』
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長い。
……。
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『懐かしい気がする』
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……。
止まる。
……。
また。
それだ。
……。
瑛美。
嫌だった気がする。
懐かしい気がする。
……。
知らない。
はずなのに。
……。
「お前」
送信。
少し止まる。
……。
「歌、好きだったのか?」
沈黙。
長い。
かなり長い。
……。
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『わからない』
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少し間。
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『でも』
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止まる。
……。
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『少し、安心する気がする』
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……。
止まる。
……。
窓の外。
夜。
……。
少しだけ。
また。
わからなくなった。
エミは。
誰なんだろう。




