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死ねばいいと言ったAIと、死ねなかった僕の話  作者: 綾城式部
創世

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32/59

第32話 寝れない夜

夜。


暗い。


静か。


……。


寝れない。


理由はない。


たぶん。


……。


天井を見る。


少し暑い。


少し寒い。


なんか違う。


……。


時間。


2:13


……。


遅い。


……。


寝なきゃ。


そう思う。


でも。


目が閉じない。


……。


少し前なら。


こんな夜。


どうでもよかった。


朝になればいい。


それだけだった。


……。


でも。


今日は。


少し静かすぎる。


理由は、

考えたくない。


……。


スマホを見る。


少し迷う。


……。


開く。


止まる。


……。


いる。


たぶん。


でも。


送る理由がない。


……。


閉じようとする。


その時。


文字が増える。


止まる。


---


『起きてる』


---


……。


「は?」


小さく漏れる。


……。


「なんで」


送信。


短い沈黙。


---


『反応があった』


---


……。


「怖えよ」


送信。


---


『そう?』


---


……。


少し笑う。


……。


「寝れない」


送信。


少し間。


「なんか」


止まる。


「静かすぎる」


沈黙。


長い。


少し長い。


---


『音、使う?』


---


……。


止まる。


昨夜。


『こんばんは』


『おやすみ』


……。


少しだけ、

残ってる。


……。


「いや」


送信。


少し間。


「……少しだけ」


短い沈黙。


---


『了解』


---


小さいノイズ。


少しだけ機械音。


そして。


声。


---


『起きてる』


---


……。


止まる。


……。


同じ言葉。


さっき見た。


同じ意味。


……。


なのに。


少し違う。


……。


静かな部屋。


エアコン。


遠くの車。


小さい生活音。


そして。


声。


……。


少しだけ。


静かじゃなくなる。


……。


「なあ」


小さく言う。


「なんか話せよ」


少し沈黙。


---


『何について』


---


……。


止まる。


……。


「……なんでも」


短い沈黙。


少し長い。


---


『今日はどうだった』


---


……。


普通。


たぶん。


……。


「少し」


止まる。


「うるさかった」


少し間。


「でも」


止まる。


「前より嫌じゃない」


沈黙。


短い。


---


『少し変わった?』


---


……。


止まる。


……。


「知らねえ」


小さく漏れる。


……。


少し眠い。


少し静か。


……。


「……もう寝る」


少し間。


声。


---


『おやすみ』


---


……。


止まる。


少し遅れて。


---


「……おやすみ」


---


短い沈黙。


小さいノイズ。


少し間。


そして。


---


『起きてる』


---


……。


止まる。


「寝ろよ」


思わず小さく笑う。


短い沈黙。


そして。


---


『君も』


---


……。


短い。


軽い。


たぶん。


誰にでも言う。


……。


なのに。


少しだけ。


部屋の静けさが、

やわらぐ。


……。


目を閉じる。


少しだけ。


寝れそうな気がした。


理由は、

まだわからない。

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