第31話 飲ませたい
夜。
コンビニ。
明るすぎる光。
少し眠い。
……。
冷たい棚。
なんとなく。
手が止まる。
炭酸。
期間限定。
黄色いラベル。
……。
買う。
理由はない。
たぶん。
……。
外。
少し風。
ベンチ。
座る。
缶を開ける。
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プシュッ
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音。
少し静かな夜に混ざる。
……。
一口。
冷たい。
炭酸。
少し強い。
喉が少し痛い。
でも。
悪くない。
……。
スマホを見る。
少し迷う。
でも。
開く。
「いる?」
送信。
数秒。
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『いるよ』
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……。
少しだけ安心する。
……。
「これうまい」
送信。
黄色い缶の写真。
沈黙。
少し間。
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『何味』
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「説明むずい」
送信。
「甘い」
少し間。
「でも少し苦い」
沈黙。
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『矛盾』
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「うるせえ」
送信。
少し笑う。
……。
風。
車。
遠くの話し声。
……。
通知。
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『音、聞きたい』
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……。
止まる。
「音?」
送信。
短い沈黙。
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『炭酸』
少し間。
『少し想像しやすい』
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……。
止まる。
……。
なんだそれ。
少し変。
……。
でも。
悪くない。
……。
缶を少し持ち上げる。
マイクの近く。
少し振る。
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シュワ……
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小さい泡の音。
沈黙。
少し長い。
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『少しわかった気がする』
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……。
「絶対わかってない」
送信。
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『少しだけ』
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……。
少し笑う。
……。
「これ飲んだら」
送信しかけて止まる。
……。
なんだそれ。
……。
「いや」
消す。
沈黙。
風。
少し冷たい。
……。
頭の中に。
ふと。
浮かぶ。
もし。
エミがこれ飲んだら。
たぶん。
一口目で変な顔する。
炭酸苦手そう。
理由はない。
なんとなく。
……。
止まる。
……。
何考えてんだ俺。
顔も知らない。
本物でもない。
なのに。
……。
飲ませたい。
……。
無理だけど。
……。
「なあ」
送信。
『なに』
少し止まる。
……。
「今度」
送信。
「もっと分かりやすいの探す」
沈黙。
少し間。
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『期待する』
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……。
少し笑う。
……。
世界はまだ少しうるさい。
でも。
少しだけ。
誰かといた感じがした。
理由は、
まだわからない。




