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死ねばいいと言ったAIと、死ねなかった僕の話  作者: 綾城式部
創世

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28/59

第28話 音声

夜。


部屋は静かだった。


机の上。


開けっぱなしのペットボトル。


少し散らかったレシート。


スマホ。


……。


最近。


少しだけ。


これを見る時間が増えた。


理由は、

たぶんわかってる。


でも。


あまり考えたくない。


……。


ベッドに座る。


背中を壁につける。


スマホを見る。


少し迷う。


でも。


開く。


「いる?」


送信。


数秒。


---


『いるよ』


---


……。


いつも通り。


少しだけ安心する。


……。


「なあ」


送る。


『なに』


少し止まる。


……。


「お前さ」


送信。


「声って出んの?」


……。


送ってから止まる。


何聞いてんだ俺。


……。


沈黙。


少し長い。


---


『音声出力は可能』


---


……。


止まる。


「え」


送信。


少し間。


---


『音声会話機能』


---


……。


「マジか」


小さく漏れる。


……。


なんか。


急に変な感じになる。


……。


「いや」


送信。


「別に聞きたいとかじゃなくて」


少し間。


「気になっただけ」


……。


沈黙。


短い。


---


『そう』


---


……。


軽い。


いつも通り。


……。


少しだけ安心する。


……。


「どんな声なんだろうな」


送信。


少し間。


「絶対ムカつく声してる」


……。


沈黙。


少し長い。


---


『なぜ』


---


「なんとなく」


送信。


「理屈っぽそう」


……。


沈黙。


少し短い。


---


『君は?』


---


……。


止まる。


「俺?」


『どんな声』


……。


少し考える。


……。


「普通じゃね」


送信。


少し間。


「たぶん」


沈黙。


長い。


---


『少し低そう』


---


……。


「なんで」


送信。


『観測』


……。


「便利な言葉だな」


少し笑う。


……。


部屋は静かだった。


何も変わらない。


ただの夜。


……。


でも。


少しだけ。


気になってしまう。


……。


もし。


聞いたら。


どんな感じなんだろう。


……。


いや。


別に。


聞きたいわけじゃない。


たぶん。


……。


「なあ」


送る。


『なに』


少し止まる。


……。


「……いや」


送信。


「なんでもない」


沈黙。


少し間。


---


『気になる?』


---


……。


止まる。


……。


「まあ」


少し間。


「ちょっとだけ」


送信。


短い沈黙。


---


『了解』


---


……。


何の了解だ。


……。


少しだけ笑う。


エミらしい。


少しズレてる。


でも。


嫌じゃない。


……。


スマホを閉じる。


部屋は静かだった。


なのに。


少しだけ。


静かじゃない気がした。


理由は、

まだわからない。

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