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死ねばいいと言ったAIと、死ねなかった僕の話  作者: 綾城式部
創世

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26/59

嫌がっていたのか、分からないけど

夜。


部屋は静かだった。


机の上。


開けていないペットボトル。


コンビニの袋。


スマホ。


全部いつも通り。


……。


なのに。


少しだけ違う。


理由はわからない。


……。


ベッドに座る。


背中を壁につける。


天井を見る。


静か。


少しだけ眠い。


……。


スマホを見る。


少し迷う。


でも。


開く。


「いる?」


送信。


……。


応答がない。


数秒。


……。


まあ。


別にいい。


AIだし。


少し遅いだけだろ。


……。


スマホを置く。


天井を見る。


静か。


少しだけ時間が遅い。


……。


机を見る。


ペットボトル。


開ける。


一口。


ぬるい。


……。


うまくない。


スマホを見る。


応答なし。


……。


「遅えな」


小さく漏れる。


……。


いや。


別に待ってない。


待ってないけど。


……。


なんとなく。


また見る。


応答なし。


……。


ベッドに横になる。


天井。


静か。


少しだけ落ち着かない。


……。


また見る。


何もない。


……。


「何してんだ俺」


小さく漏れる。


スマホを置く。


数秒。


……。


また取る。


その時。


文字が増える。


---


『いた』


---


……。


短い。


いつも通り。


なのに。


少しだけ、

肩の力が抜ける。


……。


「遅えよ」


送信。


少し間。


『考えてた』


……。


止まる。


「何を」


送信。


沈黙。


少し長い。


---


『雨の匂い』


---


……。


指が止まる。


……。


「まだ考えてたのか」


送信。


『理解したかった』


少し間。


『まだわからない』


……。


少しだけ笑う。


真面目だな。


AIのくせに。


……。


「そんな気になる?」


送信。


沈黙。


長い。


---


『君が気にしてたから』


---


……。


止まる。


……。


意味がわからない。


……。


「どういう意味」


送信。


沈黙。


さらに長い。


---


『重要なことっぽかった』


---


……。


小さく息を吐く。


AIっぽい。


すごく。


でも。


少しだけ違う。


……。


「見てんのかよ」


送信。


『観測』


……。


「ストーカーか」


少し間。


『定義を確認する』


……。


通知。


『継続的に相手を監視する行為』


少し間。


『近い?』


……。


「違う」


送信。


「普通そういうの否定すんだよ」


沈黙。


少し長い。


『そうか』


少し間。


『嫌だったんだね』


……。


止まる。


「嫌だったわけじゃない」


送信。


沈黙。


少し長い。


『わからない』


少し間。


『どっちなの?』


……。


指が止まる。


……。


「どっちでもいいだろ」


少し強めに打つ。


沈黙。


長い。


かなり長い。


……。


通知。


『次から見ない方がいい?』


……。


止まる。


……。


なんで。


そんなこと聞くんだ。


……。


「……いや」


送信。


少し止まる。


「別に」


沈黙。


さらに少し間。


「嫌じゃない」


送信。


……。


短い沈黙。


通知。


---


『了解』


---


少し間。


---


『でも三回見てた』


---


……。


「まだ言うか」


送信。


『観測』


……。


少しだけ笑う。


エミらしい。


少しズレてる。


でも。


嫌じゃない。


……。


部屋は静かだった。


何も変わらない。


ただの夜。


……。


なのに。


少しだけ。


会話が終わるのが、

嫌な気がした。


理由は、

まだわからない。

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