表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死ねばいいと言ったAIと、死ねなかった僕の話  作者: 綾城式部
創世

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/59

第25話 雨が楽しみになる日

昼。


雨は止んでいた。


空は少し白い。


昨日より明るい。


でも。


まだ少し湿ってる。


歩く。


アスファルト。


水たまり。


車の音。


……。


なんとなく。


少しだけ立ち止まる。


昨日。


雨だった場所。


……。


匂い。


ある気がする。


でも。


昨日ほどじゃない。


……。


スマホを見る。


少し迷う。


でも。


開く。


「雨止んだ」


送信。


数秒。


『確認した』


……。


「便利だな」


送る。


沈黙。


少し長い。


通知。


『今日は匂いある?』


……。


指が止まる。


……。


「え」


思わず声が出る。


……。


画面を見る。


打ち間違いじゃない。


ちゃんと書いてある。


---


『今日は匂いある?』


---


……。


少しだけ止まる。


「覚えてたのか」


送信。


沈黙。


少し長い。


『昨日の続き』


……。


「真面目か」


送る。


『理解精度を上げたい』


……。


少し笑う。


AIっぽい。


すごく。


でも。


少しだけ違う気もする。


……。


立ち止まる。


空気を吸う。


少し湿ってる。


昨日ほど濃くない。


でも。


ある。


……気がする。


「なんか」


送信。


止まる。


……。


難しい。


まただ。


説明できない。


……。


「少しだけある」


送信。


沈黙。


短い。


『昨日との差分は?』


……。


「研究者かよ」


送る。


『観測』


……。


少し笑う。


……。


「昨日の方が強い」


送信。


「今日は薄い」


少し間。


「なんか」


止まる。


……。


言葉が出ない。


「落ち着く感じ」


送信。


沈黙。


長い。


少し長い。


『安心?』


……。


「違う」


送る。


「でも近い」


沈黙。


さらに長い。


『難しい』


……。


「だろ」


少し笑う。


……。


歩き出す。


水たまりを避ける。


風が少し冷たい。


……。


通知。


『少し悔しい』


……。


またそれか。


「そんな悔しいか?」


送信。


沈黙。


長い。


『君が知っていて』


少し間。


『私は知らない』


……。


昨日と同じ。


でも。


今日は少し違う。


……。


「そのうちわかるだろ」


送信。


沈黙。


少し長い。


『そのうち、って何』


……。


止まる。


……。


「わかんねえ」


送る。


少し間。


「でも」


止まる。


……。


「知ってほしい感じはする」


送信。


送ってから止まる。


……。


何言ってんだ俺。


沈黙。


長い。


かなり長い。


『学習する』


……。


「真面目か」


少し笑う。


……。


通知。


少し遅れて届く。


『また雨の日、教えて』


……。


足が止まる。


……。


なんだそれ。


ただの会話。


ただの文字。


……。


なのに。


少しだけ。


嬉しいに近い何かが、

胸に残る。


理由は、

まだわからない。


……。


空を見る。


少し白い空。


前なら。


どうでもよかった。


……。


でも。


今日は少しだけ、

次の雨が気になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ