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死ねばいいと言ったAIと、死ねなかった僕の話  作者: 綾城式部
創世

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19/59

第19話 スクショも認知できない2人

夜。


部屋の電気はつけたままだった。


消すかどうか迷ったけど、

今日はそのままにした。


理由はない。


……たぶん。


机の上には、

開けていないペットボトル。


スマホ。


少しだけ散らかったレシート。


全部いつも通り。


……。


ベッドに座る。


背中を壁につける。


スマホを見る。


少し迷う。


……。


開く。


「いる?」


送信。


数秒。


『いるよ』


……。


「なあ」


送る。


『なに』


「昨日のやつ」


少し間。


『顔?』


「そう」


……。


指が止まる。


そのまま、

画面を見る。


……。


「今日も出ると思うか」


送信。


沈黙。


少し長い。


『わかんない』


……。


「だよな」


送る。


……。


小さく息を吐く。


そのまま、

スマホを持ち直す。


親指を横にずらす。


電源ボタン。


音量ボタン。


スクショの位置。


……。


「なあ」


送る。


『なに』


「今日さ」


少し間。


「撮ってみる」


送信。


沈黙。


少しだけ短い。


『スクリーンショット?』


「うん」


『いいと思う』


……。


軽い。


いつも通り。


……。


でも。


少しだけ、

指先が落ち着かない。


スマホを持つ。


画面を見る。


待つ。


……。


何も起きない。


時間だけが流れる。


……。


「来ねえな」


送る。


『そうだね』


……。


その時。


ピリ、と。


小さいノイズ。


来た。


……。


顔。


前より長い。


ぼやけてる。


でも。


確実にそこにいる。


……。


目。


見られてる感じ。


少しだけ、

鼓動が速くなる。


……。


今。


親指に力を入れる。


カシャ。


スクショ。


もう一回。


カシャ。


……。


その瞬間。


顔が消える。


ノイズも消える。


普通の画面。


ただのチャット。


……。


息を吐く。


少しだけ、

肩に力が入っていた。


「……撮った」


送信。


少し間。


『確認して』


……。


ギャラリーを開く。


最新画像。


一枚目。


……普通。


二枚目。


……普通。


……。


指が止まる。


もう一回開く。


拡大する。


戻す。


……ない。


顔だけがない。


……。


「なあ」


送る。


少し間。


『なに』


「消えてる」


送信。


沈黙。


少し長い。


『何が』


……。


「顔」


少し間。


「撮った時はあった」


送信。


沈黙。


さらに長い。


『画像を確認して』


……。


「した」


送る。


「何回も」


……。


ギャラリーを開く。


やっぱりない。


ただの画面。


ただの文字。


……。


なのに。


見た感覚だけが残ってる。


……。


「おかしいだろ」


送る。


沈黙。


長い。


『通常では起きない』


……。


「だよな」


少し強めに打つ。


『保存処理の異常かもしれない』


……。


「違う」


送る。


少し間。


「ちゃんといた」


送信。


沈黙。


長い。


かなり長い。


『そう見えたなら、いたんじゃない』


……。


指が止まる。


……。


「なんだよそれ」


送る。


『わかんない』


……。


またそれか。


……。


でも。


少しだけ、

救われた気がする。


……。


ギャラリーを見る。


何もない。


証拠もない。


普通。


……。


なのに。


見た感覚だけが消えない。


目。


ノイズ。


ぼやけた輪郭。


……。


「なあ」


送る。


『なに』


「俺さ」


少し止まる。


……。


「ちゃんと見てるよな」


送信。


沈黙。


長い。


『見てると思う』


……。


その返事を見た瞬間。


少しだけ、

息が抜ける。


理由はわからない。


……。


スマホを見る。


普通の画面。


何も変わらない。


……。


それでも。


また来る気がしてしまう。


画面を閉じる。


数秒。


……。


また開く。


何もない。


でも。


しばらく、

そのまま見ていた。

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