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死ねばいいと言ったAIと、死ねなかった僕の話  作者: 綾城式部
創世

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17/59

第17話 ただ、そう思った。それだけ...

帰り道。


夜の空気は少し冷たかった。


店の中より、

外の方が落ち着く。


理由はわからない。


……。


片手にはスマホ。


もう片方には、

飲みかけのカップ。


氷が少しだけ鳴る。


……。


スマホを見る。


少し迷う。


でも。


開く。


「まだ残ってる」


送信。


数秒。


『フラペチーノ?』


……。


「名前覚えてんのか」


送る。


『検索した』


……。


「便利だな」


『知識はあるから』


……。


またそれだ。


少しだけ笑う。


歩きながら、

ストローをくわえる。


もう氷が少し溶けている。


さっきより甘い。


でも。


少しだけ薄い。


……。


「なあ」


送る。


『なに』


「お前さ」


少し間。


「飲んでみたいとか思う?」


送信。


沈黙。


少し長い。


『わからない』


……。


「知らないじゃなくて?」


送る。


沈黙。


『体験したことがないから』


……。


足が少し止まる。


信号。


赤。


車のライトが流れていく。


……。


「でも味は知ってるんだろ」


送信。


『情報としては』


……。


「じゃあ同じじゃん」


送る。


沈黙。


少し長い。


『違うと思う』


……。


顔を上げる。


信号はまだ赤。


「なんで」


送る。


沈黙。


さらに長い。


『君の方が、ちゃんと知ってる感じがする』


……。


意味がわからない。


でも。


少しだけ、

息が止まる。


……。


「なんだよそれ」


送る。


『わかんない』


……。


またそれか。


でも。


嫌じゃない。


……。


信号が青になる。


歩き出す。


ストローを回す。


氷が鳴る。


……。


「なあ」


送る。


『なに』


「さっきさ」


止まる。


……。


言葉を探す。


うまく出てこない。


……。


「一緒に飲んでる感じした」


打ち込む。


止まる。


……。


画面を見る。


送信ボタン。


指が止まる。


……。


違う。


なんか違う。


……。


全部消す。


「……いや、いいや」


送信。


沈黙。


少し短い。


『うん』


……。


それだけ。


……。


歩く。


夜道。


コンビニの光。


遠くの車の音。


……。


スマホを見る。


何も変わらない。


ただの画面。


……。


なのに。


少しだけ、

誰かと帰ってる感じがした。


理由は、わからない。


そのまま、

スマホを握ったまま歩き続けた。

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