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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第4章 魔王復活~遥かなる旅へ
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第167話 ルドラの姫騎士 

 竜になったティアに乗って、空の旅に出た。

 これから、ルドラ王国に向けて北東に進んでいるところである。

 今の時刻は午後。

 周囲には大空が広がっており、今日の天気は快晴である。

 エルトリア王国を出発してから、約一時間が経ったところで事件は起きる。


「見て! 下で人が襲われているよ!」


 そう言って、ルナが地上の方を指さした。

 よく目を凝らして見ると、確かに数人の人が魔物らしきものに襲われていた。


「助けに行くぞ。ティア、地上に降下してくれ!」

「りょーかい!」


 僕たちは、地上で襲われている人たちを助けることにした。

 地上では騎士たちが、見たこともないモンスター達と戦っていた。

 数は十数体。


「不気味な魔物ね。でも早く助けに行かなきゃ!」

「待て、ルナ」


 その魔物たちは“異形の物”であった。

 四足歩行で、頭と尻尾はそれぞれ丸みを帯びつつも尖っている。

 身体の色は、毒々しい紫色である。

 口は大きく、鋭い歯が無数に生えている。

 大きな目は黒く、全体的に不気味な雰囲気を纏っている。

 わかりやすく言えば、そいつらは大きなトカゲか、或いはワニのような魔物であった。


 しかし、正体が分からない敵に対して突っ込むのは、危険だと僕は判断する。

 そのため、鑑定して敵の正体を確かめてみることにした。


「鑑定」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・クリーチャー LV:81


種族:悪魔


HP:1200/1200

MP:999/999

力:972

魔力:1545

器用さ:478

素早さ:781

防御:640

耐魔:832


魔法:


スキル:ファイアーブレス


特性:闇属性半減


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「クリーチャー? やはり知らない魔物だな」


 この魔物の名前はクリーチャーというらしい。

 しかし、やはり僕の知らないモンスターだ。

 この魔物は、ユリウスの図鑑にすら載っていない。

 おそらく、魔界かどこかから召喚された存在かと思われる。

 もしそうだとしたら、間違いなく魔族の仕業だろう。


「気を付けて、アイツらからは邪悪な気配を感じるわ!」

「わかっている」


 聖剣の妖精エクスも、僕たちに対して警告する。


「魔族が召喚したのでしょうか?」

「ヘッ、どっちにしろ、オレ様の出番だな! 一番乗りはいただくぜ! おりゃああああ!!」


 ヒューイはいつも通り敵に突っ込んで行った。

 僕は走りながら風斬刃(ウィンドブレイド)を放ち、クリーチャーを二体ほど切断した。


「破断岩斧!!」


 僕が風斬刃(ウィンドブレイド)を放った直後に、ヒューイは斧で斬撃を放つ。

 クリーチャーの反応が遅れ、強力な一撃が命中した。

 その身体は真っ二つに切断された。

 そして、クリーチャー達がようやく僕たちの接近に気づいた。


 僕は聖剣で斬撃を放つ。

 しかし、クリーチャーは僕の攻撃を回避した。


「意外と素早いな」


 クリーチャーは反撃と言わんばかりに、僕の顔面に向かって飛びかかった。

 僕は左手の指先から稲妻矢(サンダーアロー)を放った。

 電流の直撃を受けたクリーチャーは地面に倒れた。


 一方、ルナも光輝の剣(シャイニング・ソード)で一体のクリーチャーを斬る。

 しかし、そんな彼女の背後から別のクリーチャーが飛び掛かる。

 ルナはすぐに気づき、カウンターの蹴りを入れる。

 しかし、ダメージは薄くクリーチャーはピンピンしていた。


「私の蹴りが効かない!?」


 僕はルナが攻撃したクリーチャーにトドメを刺した。


「みんな、離れて! ボクのブレスで一気に片付けるよ」


 ティアが口からドラゴンブレスを発射した。

 クリーチャー達はブレスによって一斉に焼かれた。

 この攻撃によって、クリーチャーの群れは全滅した。

 とりあえず、騎士たちを助けることに成功したようだ。


「魔物たちは片付けたみたいだから、ボクは里に帰るね。バイバーイ」


 ティアはそう言って、再び竜になって空へ飛んでいった。


「ファイン様、私は怪我人の治療を行います」

「頼む」


 セレーネは回復魔法で負傷者の治療を始めた。

 やはり何人かの怪我人が出たようだ。


「大丈夫ですか?」


 とりあえず、僕は近くにいた女性騎士に話かけた。

 容姿は色白肌に、ウェーブのかかった金髪ロングで、青色の瞳である。

 服装は白銀の鎧に、青色のスカートという装いをしている。

 そして、右手には剣を持っている。


「あなたたちは?」

「僕はファイン・セヴェンスと申します。冒険者パーティー、星の英雄たち(スター・ヒーローズ)のリーダーです」

「なるほど。あなたたち勇者パーティーの一員なのね」


 相手は僕たちのことについて、ある程度知っているようだ。


「失礼。私はリーズ・ヴァン・ルドラ。ルドラ王国の第一王女よ」


 金髪ロングの騎士は、ルドラ王国の王女だと名乗った。


「ルドラ王国の王女様がなぜこんなところに?」

「さっき戦った得体の知れない魔物に王都が侵略されて、逃げてきたのよ」

「逃げて来た?」

「正確には、お父様……国王陛下に逃がされたのよ。お前はルドラ王国最後の希望だってね」


 王女リーズと話していると、横から別の女騎士がやってきた。

 燃えるような真っ赤な髪をポニーテールにし、赤色の目は大きくややツリ目である。

 剣と盾を手に持ち、髪や瞳と同様に装備している鎧も赤い。


「姫様を助けてくれてありがとう。私の名前はレベッカ・フォン・ブレイド。リーズ殿下に仕える従騎士だ。君たちのおかげで命拾いしたよ。改めて礼を言う」


 女騎士はレベッカと名乗り、王女リーズの従騎士を務めているらしい。


「とりあえず、ここから西へ進んだ所にある街へ移動しましょう。またアイツらが襲ってくるかもしれないわ」

「わかりました」


 僕たちは王女リーズの勧めで、西の街へ移動することにした。


■■■■■


 日が落ちて、夜になった。

 この日、僕たちは森の中で夜営をする。

 みんなで焚き火を囲い、暖を取る。


「改めて、先程は助けてくれたこと礼を言うわ」

「私からも礼を言わせてくれ。姫様を救ってくれてありがとう」

「話を聞かせてもらえませんか。あなた方が王都を逃げることになった経緯を」

「それもそうね」


 僕たちは、改めて出会ったばかりのリーズ王女たちに話を聞くことにする。

 ルドラ王国が襲われたことに関する詳しい話を。


「先日、王都ディアスが突然魔族たちに襲われたの。その中には、さっき戦った魔物も含まれていたわ。当然、騎士である私たちは応戦したわ。でも、私たちは魔族に敵わなかった。街は焼かれ、王都で暮らす民たちは次々に殺されていったわ。そして、殺された王都の人たちはアンデッドに変えられていった。私は今でもその光景が忘れられない」

「ひどいわ。一体誰の仕業なの?」

「ディアブロだ……」


 ルドラの王都を襲ったのは、ディアブロの指揮だと断定する。

 ヤツは第二次王帝戦争の時、僕たちのもとにアンデッド軍団をけしかけてきた。

 そして、六大帝将の一人であった【天のジェノス】をアンデッドとして蘇らせたのもヤツだ。

 ということは、ルドラの国民たちを殺してアンデッドに変えたのはディアブロで間違いないだろう。


「ディアブロって、前にグランヴァル帝国で会ったアイツのことか?」

「ああ。恐らくアイツのクラスは【屍術死ネクロマンサー】だ」

「ネクロマンサー……死んだ人間をアンデッドに変えることができる魔術師のことですね」

「そうだ」

「そいつは許せねぇな」

「父は命を懸けて私たちを王都から逃がしたわ。その直後、父の最期の姿を私は見たの。魔術師の姿をした魔族の一人が、父を魔法で殺す瞬間を。私の兄……王子の名前はマルコって言うのだけれど、兄はゼオン帝国との戦いで様々な武勇を誇っていたわ。でも、私は見たの。王都ディアスを侵略していた一団の中に兄の姿を……!!」

「どういうことです?」

「兄は裏切ったのよ。父を……私たちルドラの民を……!!」


 リーズ王女は、沸々と怒りを露にする。

 そして、その拳を強く握り締めた。


「つまり、あなたの兄上は魔王軍に寝返ったということですか?」

「ええ、おそらく」

「まさか、マルコ殿下が王都ディアス襲撃に関与するとは……。夢にも思わなかったよ」

「兄は前々から言っていたわ。自分が世界の王になるとね。それが、兄の口癖よ」


 リーズ王女や騎士レベッカの話によると、兄のマルコという人物が反旗を翻したらしい。


「少なくとも、マルコはディアブロに裏で操られているのか……」

「私は誓ったの。ルドラ王国をこの手に必ず取り戻すとね。そして、お父様の意志は私が必ず継ぐわ」

「僕たちも協力させてください。このままディアブロを……いや、魔王を野放しにはできません」

「助かるわ。朝になったら、西の都サイドに向けて出発しましょう。生き残っている人はまだいるはずよ」


 僕たちはルドラ王国の平和を取り戻すために、リーズ王女に協力することにした。

 世界平和のために、魔王は必ず倒さなければならない。

 道のりは険しいが、目の前の課題を一つずつクリアするほかないだろう。


 だが、今夜はもう遅い。

 旅の再開は、夜が明けてからだ。

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