第163話 激怒の襲撃
ファインたちは独断行動を取ったことにより、ライズから国家反逆罪で逮捕される。
その後、エルトリア軍一行は王都に帰還した。
星の英雄たちのメンバーは牢屋に閉じ込められた。
「後日、君たちを裁判にかける。それまではこの地下牢にて大人しくしているのだな。ちなみに、この牢には脱走防止用の魔法がかけられている。脱走をしようとは考えんことだな」
ライズはファインたちにそう告げると、地下牢を後にした。
「みんな、すまない。僕のためにこんな目に遭うなんて……」
「気にしないで、ファイン。私たち、覚悟できていたから!」
「私も同様です」
「気にすんなよ、ファイン! 困ったときはお互い様だぜ!」
「そうか。みんな、ありがとう」
「どういたしまして!」
その後、ライズは玉座の前へと足を運んだ。
そこで、国王にして父親であるバロン・フォン・エルトリアに問う。
「父上、お聞きしたいことがあります」
「何だ?」
「単刀直入に聞きます。ゼオン帝国との戦いで、騎士団が傭兵団を捨て駒にしたと聞きました。その指示を出したのは、父上ですか?」
「そのような指示を出した覚えはない。もし本当に騎士団が傭兵団を捨て駒にしたと言うのならば、責任は騎士団長であるお前にあるのではないか? 余は常に我が国の事を第一に考えておる。お前はその事について、何か異を唱えるというのか?」
「いいえ」
「他に質問が無いと言うのならば、お前も騎士団を率い、国のことを第一に考えよ」
「はっ。失礼いたします」
ライズは玉座の間を後にした。
「わかっている。俺は未来のエルトリア王国を継ぐ男だ。俺とて国民を第一に考えて行動しているさ」
ライズは自分に言い聞かせるようにそう呟いた。
■■■■■
その頃、魔王城にて。
拘束室では、依然として激怒のジャークが拘束されていた。
「ファイン・セヴェンス……!! ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ジャークは突然けたたましい雄叫びを上げる。
そして、ジャークは力ずくで拘束魔法を解いた。
その両腕も即座に復元した。
「感じるぞ、ヤツの居場所が……ファイン・セヴェンスめ、今度こそヤツをぶっ殺してやる!! このオレをこんな目に合わせたヤツは絶対に許さん!!」
ジャークはそう言って、魔王城を飛び出した。
そして、飛行魔法で空を飛び、物凄いスピードでどこかへと向かった。
それから数分後、玉座の間に魔族の兵士が一人、慌てた様子で入ってきた。
「魔王様! 緊急事態です!! 激怒のジャーク様が拘束を破り、魔王城を飛び出しました!!」
「わかっている。行き先はファイン・セヴェンスのもとか?」
「はっ、恐らくそうだと思われます!」
「チッ。ジャークめ、勝手な事を……私の計画に狂いが生じるではないか」
魔王は少しばかりの苛立ちを見せた。
その横には、妖艶のフウンが立っている。
「ウフフ、こうなる事は予想できてたんじゃないの? 魔王様♥」
「まあよい、後の事はヤツに任せる。それから、一千の兵を集めろ。ジャークの出撃に乗じて、私の転移門で敵地に送り込む」
「はっ、仰せのままに!」
魔王に対し、兵士は敬礼すると玉座の間を出て行った。
「それじゃあ魔王様、アタイは引き続きサガ大陸の侵略を続けるわよ♥」
「ああ。頼むぞ、フウン」
妖艶のフウンは転移で玉座の間から消え去った。
(クックックッ、ジャークもいよいよ潮時だな。暴走したヤツは、最早俺の手では抑えられん。だが、俺の捨て駒を始末する手間が省けるというもの。あるいは、星の英雄たちを倒してくるか。どちらにせよ、俺の最終的な目的は変わらぬ)
魔王城を飛び出した激怒のジャークは、飛行魔法を使い超高速かつ一直線に飛んでいく。
そんなジャークのもとに、魔王から通信が入った。
『ジャークよ。星の英雄たちは今、エルトリア王国の王都にいる。思う存分に暴れてくるがいい!』
「待ってろよ、ファイン・セヴェンス! テメェはこの激怒のジャークが必ずぶっ殺してやるぜ!!」
ジャークは魔王の言葉に構わず、飛行を続ける。
目標はエルトリア王国の王都である。
自身を傷つけたファインに対して復讐しようというのだ。
そして、エルトリア王都では突如強い衝撃と共に瓦礫が吹き飛んだ。
「な、何だ!?」
当然、街中の人々はその光景に驚いていた。
魔王城を出てからたったの一時間足らずで、ジャークはエルトリア王都に到着した。
そして、ジャークはすぐに魔法で攻撃を開始した。
「ファイン・セヴェンス……ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ジャークは口から光線のようなものを吐き出す。
攻撃は近くにあった建物に着弾した。
「うわああああああああああああああッ!!!」
王都に住んでいる人々は一斉に逃げ出す。
ジャークは王都にて暴れまわった。
街は破壊され、多くの人々が犠牲になった。
「ファイン・セヴェンス! どこだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
ジャークはファインの魔力を感じるものの、正確な居場所までは掴めなかった。
そのため、街中で暴れまわり、無差別攻撃をかけた。
王都の建物は次々に破壊され、街中メチャクチャになった。
王都で警護していたエルトリア軍の兵士たちは、ジャークに対して一斉に応戦し出す。
「ザコ共が、引っ込んでいろ!!」
ジャークは炎魔法を放ち、兵士たちを一気になぎ倒す。
「「うわああああああああああああああ!!!」」
ジャークの圧倒的な力量差を前に、兵士たちはなすすべがなかった。
ジャークが王都に到着してからしばらくして、上空に転移門が開いた。
そこから、一千の魔族兵たちが竜に乗って現れた。
偶然、街を警護していたエリーゼたちは直ちに応戦する。
「怯むな! 何としても死守するのだ!!」
エリーゼは剣と盾を構え、エルトリア兵たちに発破をかける。
そんな彼女のもとに、三体の魔族兵たちが接近する。
「風斬刃!」
エリーゼの放った風の刃により、魔族兵たちの首が切断された。
アリシアは三本の弓矢を構え、マルチショットを放つ。
矢は魔族たちの眉間に刺さった。
魔導弓を構えるエリシアは、引き金に手を引いて弾を乱射した。
光線状の弾は魔族たちに当たった。
しかし、心臓や脳には直撃していないため、致命傷には至らなかった。
「くっ! こいつら、数が多すぎるわ!」
そんなエリシアのもとに、背後から一体の魔族が接近する。
しかし、エリーゼが盾でエリシアを守った。
そして、ミーナが短剣で魔族の首を斬った。
「ドリルブラスト!」
フランの必殺技で、魔族三体の心臓に風穴が空いた。
魔族たちはこの攻撃によって絶命した。
エルトリア兵たちは、魔王軍との戦いを続ける。
そんな中、ライズは激怒のジャークに挑む。
「これ以上好きにはさせん! 今度は私が相手だ!」
「ザコが……テメェじゃ相手になんねぇよ!!」
ジャークはそう言うと、口から炎を吐いた。
一方のライズはひらりと身をかわし、剣を構えて前進した。
「うおおおおおおおおッ!!」
ライズは雄叫びをあげながら、ジャークに向かって走った。
そして、剣による斬撃を放つ。
しかし、ライズの剣はジャークには届かなかった。
「これは……結界!?」
「つまらねぇな」
ジャークはそう言うと、ライズに対して拳で反撃する。
咄嗟に剣で受け止めるものの、ジャークの余りある力によりライズは吹き飛ばされた。
「ごふっ!!」
ライズは口から血を吐き、瀕死の重傷を負ってしまう。
そして、ジャークは背中から悪魔の羽を生やして空へ飛んだ。
「どこへ行く!?」
ジャークは城に目をつけると、一気に城へと飛んでいく。
「まずいッ! あっちの方は……!!」
瀕死のライズでは最早追い付けなかった。
ジャークは壁を強引に破壊し、一気に場内へと入った。
入った場所は玉座の間であった。
そこには、国王バロンと王女ニーナがいた。
そのほか、数名の近衛兵が警護していた。
「な、何者だ!?」
兵士たちはすぐに警戒体勢に入る。
しかし、ジャークは構わず攻撃を開始した。
圧倒的な力を前に、近衛兵たちはなすすべもなくやられて行った。
そして、ジャークは右手を前に出し、ニーナへ火球を放った。
バロンは咄嗟に玉座から立ち上がり、ニーナを庇った。
「お父様!?」
「に、逃げろ……ニー……ナ……」
バロンは血を吐き、その場に倒れた。
「お、お父様……!? いやああああああああああっ!!!!」
ニーナは父・バロンの体を揺さぶるものの、反応はなかった。
玉座の間には、ニーナの叫び声が響き渡る。
国王バロンは殺されてしまった。
しかし、ジャークは構わずニーナを標的にする。
「ニーナ殿下、お逃げください!」
生き残った近衛兵たちが囮となった。
ニーナはすぐに玉座の間から逃げ出した。
しかし、兵士たちなすすべもなく、ジャークの攻撃を受けて死んでしまった。
そして、ジャークはすぐにニーナの後を追った。
「誰か助けてっ!!」
ジャークの魔の手から、逃げ惑うニーナ。
一方、ファインたちは地下牢にてじっとしていた。
「外が騒がしいな。とりあえず脱出しよう」
「ここはオレに任せな! ふん! ぬおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」
ヒューイは鉄格子を両手で掴み、そのまま力任せに折り曲げた。
ファインたちは地下牢を脱出し、城の一階に出た。
そこで、激怒のジャークに襲われそうになっているニーナを発見した。
ジャークは口から炎を吐いて攻撃した。
炎の着弾寸前、セレーネが結界を張ってニーナを守った。
「お前は、激怒のジャーク!」
「ファイン・セヴェンス……ようやくお出ましか。会いたかったぜ」
「ここから先は、お前の好きにはさせないぞ。ジャーク!」
牢屋を脱出したファインたちは、ついに激怒のジャークと対峙することになった。




