魔人との対決は?!
ーたぬき視点ー
オヤジめ。
女の子のヒカリモノ好きを舐めてるなぁ?!
せっかくのヒカリモノを生かせないに違いない…。
うーん。
俺も悩みが尽きないぜ!
そうだ。
オヤジに隠れて……
ーオヤジ視点ー
変身が解けて…と言うよりは洗脳が解けて騒然とする妖精族やドワーフ達を部屋の隅に追いやる。
もちろん、王子達はお引き取り願った。
戦力外もいいところだ。
ま、本当ならタヌキを攫った罪で最前線に立たせたいが。
駆けつけた時のタヌキの笑顔に負けた…。
タヌキも当然避難して欲しいが、目を離すとかえってややこしくなる。
実体験済みだ。。。
そんな訳で一人ドア前に立つ。
敵は真っ直ぐにこの部屋に向かっている。
恐らく魔力探知が出来るのだろう。
しかし…アレは本当の化け物だな…
何という桁違いの魔力なのだ。
俺がよくダーラントなどに人外などと揶揄われるが本物は次元が違う。
しかし何故だろう?
恐怖で身体が震えてもおかしくないのに…静かな気持ちなのだ。
タヌキがくれた様々なモノを身につけて身構える。
とにかく、出来る事を。
やるべき仕事を片付けようと…
そして遂に。。。
ドッカーン!!!!!!!
木っ端微塵に砕かれたドアから現れたのは予想通り…魔人と言われるべきモノ。
その名の通り、桁外れの魔力を持ち知能の高さでも人外一と噂される存在。
その上、相手の表情は怒りを通り越して完全にキレていた。
無言のまま、部屋の隅に集まる人外へ向かって魔力の弾の様なモノを放った!!!
不味い…近くにはタヌキが!!!
慌てて、タヌキへ近づこうとした俺にすかさずもう一弾!!!
衝撃に目が眩むも、身体には傷一つつかない。
そうか…ケサだ。タヌキのくれた袈裟だ。
少しホッとして油断していたら、
なんと…タヌキの言う『蝶ネクタイ』から、ビームか発射された!!
な!
武器だったとは…防具だとばかり…ん??
ビームに当たった(ビームを馬鹿にして避けなかった…)魔人がおかしな事に。
灰色の肌が急に真っ白に?
その上、筋骨隆々だった巨大な身体が華奢な身体に?
「お?
『蝶ネクタイ』め。
イケメン計画を敵に撃つとは…。
プログラミングミスか??」
タヌキ…。
やはり、このビームはお前の仕込みかぁ…。
ふぅ。
何となく疲れを感じながら、タヌキをよく見れば…良かった。
傷一つ無い様だ。
しかし、隅にいた人外も無事な様子は何故だろう。魔弾はどうしたのだ?
まさか…外したのか??
「生意気な!!
この様な小細工など一瞬で、粉砕してくれるわ!!!
喰らえ!!
炎獄の焔を喰らえーーー!!!!!」怒声が響き振り向けば…
ま、不味い!!!
ヤケを起こした魔人が、全魔力を込め魔法を撃つところだった。
コレは…この城そのものが吹っ飛ぶモノ。
いや、この国すら…
せめて…と。
タヌキの前に立ちはだかり。
両手を前に突き出すと魔力を込め防護壁を張り巡らせる。
保ってくれ!!!!
せめて、タヌキだけでも助けたい…。
祈りに似た気持ちで目を閉じて必死にその瞬間を待っていたが…?
何も感じない。
まさか…
??
「オヤジ!!!
やったよ。ヒカリモノを生かせない謙虚なオヤジの為に大量に増やしたから。
ほら!!
押しかけ嫁もクラクラしてるだろ?!
くくく。成功だぁ!!
ほら、ボーッとしてるだろ?
それに…
ライバルだって認めて諦めたみたいだよ?」
キラキラ輝く部屋。
まさに光が満ち溢れる室内は、見た事のない妖精の国の様だ。美しい…。
しかしその光の正体は、よーく見れば…やっぱり虫。
楽しそうに空中ダンスする虫に取り囲まれた魔人はもがいていた。
光に弱い種族だと聞いている。
効いたのか?!
それにしても…
あの渾身の魔法は?
「我の魔法の全てを変換してソコナ虫が吸収しおるとは…。
魔力も尽きた…お仕舞いだ…」
。。。
何も言うまい。な、タヌキ!!
ん?
タヌキの耳が急にピクピクしてる??
まさか、まだ何か…。
こうして、俺も学習する。
タヌキはある意味容赦ないという事を…。
でも…
『袈裟』と
『蝶ネクタイ』をありがとう、タヌキ。
助かったよ…。




