とある妖精の呟き…
ーとある妖精の話しー
花畑に樹々の繁る我が森は、我らの誇りでもあり生命そのものでもある。
長命な事で有名な我ら妖精族は、のんびりとこの森で暮らす。
長閑な良き森。
私は、その森で妖精族の長の一人娘に生まれた何不自由なく育った。
なのに…。
ココは何処だ??
森は…
森は何処へ行ったのだろうか?
微かにある記憶の隅で、我が森が炎に包まれる風景が見えるのは悪夢で現実ではあるまい。
そうに違いない。
我らの森は特別な場所なのだ。
。。。
いや、大丈夫だ。
あの森は、魔力とは別の特別な力で守られているのだから。
嫌な悪夢を払いたくて何度も頭を振ってみる…。
しかし…。
目の前に見える景色は、なんど試みても変わらない。
そう、目の前には人界の巨人族が見えるのだ。
驚いた事にドワーフ等他の種族まで…。
(我らは、お互い交わる事なく平穏に生きてきたから初めて見た…)
分からない…。
何故、こんな人界の一室にこんな多種族が集っているのか?
更に言えば、小型化してるがこんな場所にパパラヌが見えるのは何故?
しかし…あのパパラヌ…何処かで見た気がする。。
「妖精族の。其方の探知能力も落ちたモノだな。アレが単なるパパラヌに見えるとは。
アレは異界のもの。
いや、我々の世界ではなく他の世界の魂を持つ別なるモノ。
あの様ないモノが何故…、
いや、アレがいたからこそ洗脳が解けたのか…」
普段は、無口極まりないドワーフの長い独り言に驚く。
異界のもの?
洗脳…解けたとは…??
では、先程からフラッシュバックしてる風景はまさか、本当に私のした事なのか?
魔人族の奴隷に成り果て行った幾多の事…。
あぁ…こんな事…。
誇り高い我が両親が知ったら何と言うだろか?
絶望的になる暇もない。
状況は悪化の一途を辿るからだ。
なんと!!!
魔人族がこの城にいるのだーー!!!
何故…
あの…魔人族が…。
遠い昔に、この世の全てを悟って交わる事全てが、無意味だと自らを閉じ込めたと言われるあの種族が?!
再びこの世界へ進出すると言うのか?
本当に??
では…。
我々は、なす術もない。
数々の伝説を聞けば、諦めが心を包む。
「妖精族は、相変わらずだな。
我々魚族は、水の中ならば魔人に引けは取らぬ。
奴らが洗脳をした報いを必ずや!!
あ…」
魚族が怒気を込めたその瞬間、城の何処かで魔人族の魔力が膨れ上がった。
城内にいる、他種族の者達が騒めくのが感じられる。
絶望的な魔力の塊。
しかも、こちらへ向かっているではないか!!!
ん?
人間が何故か我々を部屋の隅に追いやるとは。
ふふふ。
さすがは人間。
己の限界を知らぬらしい。
その時を諦めながは待っていた私は、この考えを完全否定される事態を目にする事になる。
なんと!!!
防いだのだ…人間とパパラヌが、だ!!!!
し、信じらないが、本当だ。
あり得ないの心は何度も呟くが目の前に真実がある。
しかも、次なる渾身の魔弾をパパラヌが己が使い魔のエネルギーへと変換して攻撃とは…。
開いた口が塞がらない。
何なのだ!!
この人間とパパラヌ。
何者??
か、考えられない…あ、
なんと!!
つ、使い魔が我を取り囲むではないか?
我を攻撃する気か!!!
構えようとする私に、使い魔が一斉に光を放つ!!
ま、眩しい。
目が、目がチカチカして。
目を開けた私がどれほど、驚いたことだろう…。
パパラヌになっただと!!!!
この妖精族の娘の私が?!
何故だ?
仲間作りなのか?
まさか…こんな目に遭うとは。
味方ではなかったのか?!
「あれ〜?
美女化計画のはずだったのに。
オヤジにぴったりの素敵なお嫁さんにするはずが俺のお嫁さんに?!
まさか…ファンか!!
つ、ついに俺のモテ期が?!
は!!!
オヤジ…ごめんよ。
必ず、元に戻すから、ちょっとお嫁さん待っててね」
な、なにーーー!!
まさかのパパラヌに嫁入りだとーー!!
「目を凝らせ。
妖精族の次期は、ボンクラだな。
ほら、姿が透けて見えぬか?
其方らとあまり変わらぬ姿だろう。
中々良い魂だと思うが…」
一々煩いドワーフめ。
なるほど…パパラヌの奥深くに眠る者は光に祝福されし者か。
だから、魔人すら敵わなかったのだな。
奴は、この異界人の光を食らって魔人族から単なる人間に変化した。
ま、当の本人は気絶して気づけないが…、
我々への洗脳を思えば良い罰だ。
「あのー。
押しかけ嫁さん。ちょっと手違いがあって。
良かったら、オヤジと俺の旅に同行してくれないか?
ちゃんと、花嫁美容エステはするから!!」
ハナヨメビヨウエステ???
全く分からない。
何の事だ?
言ってる事は分からないが、パパラヌに手を握られた瞬間、奴の魂を垣間見た。
そして納得した。
なるほど…パパラヌの中の奴は、『赤い糸の祝福』でこの世界に安定したのだな。
あの糸は只者じゃない。
悪夢の事もあるし…ついて行ってやるか…。
「オヤジ!!
オヤジもエステする?
男も流行ってるらしいし?」
ふふふ。
無表情のパパラヌの連れも、奴には弱いのか。
人間の癖に、我々より強力な魔力持ちで気に食わないが…ま、許してやろうか。
その時の私は、この出会いが如何に幸運か、気付かないままだった。
この出会いが私の未来を大きく変える事になると…。




