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リュキアの小人  作者: 五十鈴 りく
3♦唯一の味方

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14/23

Lienhard

 リーンハルトはミアを部屋に残し、それから一人で隣室のコンピューターパネルと顔を突き合わせていた。リーンハルト専用のコンピュータールームである。メインコンピューターは依然として変わらず、クラッキングの痕も完全に修復できたとは言えないけれど、コンピューターそのものは生きている。


 ただし、本土との連絡は取れず、メインコンピューターから得られる情報にも限りがある。それでも、調べなければならないことは山ほどあった。リーンハルトは先ほどの会話で得た情報の中に手がかりがあると思えたのだ。ミアの言葉の中に。


 だからリーンハルトは管理者たちの個人データを開いた。

 先ほどミアの口から出たナンバー093。そのページを開いてみる。


 ぶわん、と電子音が小さく響いて開いたページは、目元がほぼ見えないほどに長い前髪をした線の細い少年のものであった。ミアはアヒムと呼んでいた。この少年が所属するのはエンリヒの担当するエリアB、チームⅣ。リーダーはナンバー080。

 そのページへ飛ぶ。


 すると、そこには鈍い赤色のまっすぐな髪をした、少しつり目の少女の顔が映し出された。先ほどまで、リーンハルトを見つめていたあの瞳だ。

 けれど、そのページに書き込まれているはずのミアの情報は、文字化けしてしまっていてまるで読めなかった。そのことにリーンハルトは愕然とした。けれど、それをどうにかして解こうとしても、文字はリーンハルトを嘲笑う。そうして、カーソルから逃れ、踊るように文字が画面から逃げ出した。ウィルスがデータベースを侵略しているというのだろうか。今ならばその間隙があったとしても不思議ではない。


 責任者として、この状況は自分の失態である。ただ、誰であったらこの事態を回避できたのか教えてほしいとも思う。

 責任がどうとか、今はそうしたことを考えるよりも打開するきっかけを探したい。


 ――それにしても、データの異常がミアのところだけというのが気になる。

 他のページになるとデータは正常に映し出されるのだ。

 彼女には何かがある。

 そのことに少しだけ納得してしまった自分もいる。


 キメラの檻がまた開き、そのせいでひどい怪我を負って倒れていた彼女。

 ヘリコプターで飛行中に上空から見つけ、キメラを撃ち殺して救った。彼女だけしか助からなかったけれど、あのキメラに襲われて一人でも生きているだけましとも言えた。


 女の子であるし、最初は人に任せるつもりだった。けれどふと気になって、リーンハルトは彼女の傷のある背中の血を手で拭いつつ、『印』を探したのだ。そこにその印はなく、これが何を意味するのかがわからなかった。だから自らの部屋にまで連れ帰ったのだ。

 エンリヒの館には、エンリヒの前任者のデータが残っている。だからもしかするとそこになんらかのデータがあればよい。明日にはそれがわかるといいけれど。


 不思議な彼女。

 夢見るような瞳で見つめて来る。

 あの瞳の奥には何が眠るのか。

 彼女の存在が鍵となる。少なくともリーンハルトにはその予感があった。

 


 【 3♦End ――To be continued―― 】




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