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第二話

「はぁ・・」

『セントアジ―ル』の第一王女に召喚された少女、夜潟 唯は

宛がわれた部屋で一人ため息をついた。

つい10分ほど前まで行われていた彼女とこの国の王との会話、

力を求めた者と求められた力である者との

有る意味不毛ともとれる会話で

あったと唯は思わず苦笑する。


―勇者として存分にこの国の為に戦ってほしい―


開口一番王が言った事は唯からしてみれば理不尽なものであった。

彼女が初めて会話したこの世界、この国の人間である

第一王女シャロン・クレプタ・イシュヘロン・セントアジ―ルは唯に


―貴女には選択の余地が有る―


明確にそう口にした訳ではないけれども、シャロンは唯に

貴女が勇者であるなどと断言はせずに


―勇者になって頂きたい―


と、そう言ったのだから。

だからこそ、彼女は・・・・唯は王に抗議した、反論した

広意義的に言えば彼ら『セントアジ―ル』は

自分を誘拐したとそう言えなくも無かったから。

だが、相手は仮にも王であり唯が今いる場所で

一番偉い人間である事に違いは無い事を

理解していた、だからこそ彼女は言葉を選んだし詳しく説明してもらえるよう求めた。

だが、王は頑として耳を貸さず異世界から召喚されたものは

“勇者”として戦うのだと言ってきかず


―勇者殿は疲れているようだ―


と、唯に部屋で休むように言い唯を謁見の間から追い出し

部屋に案内すると言う名目の元兵士に見張らせ、

部屋に着いた後も外側から鍵が掛けられ扉の外には何人も兵士が立っている様だ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・ままならないものだな」

窓の外に見える彼女の世界では見られなかった蒼い空を見上げる。

「綺麗だこの世界の空は・・・・・・・・綺麗だな」


この世界に呼ばれた自分は、

この世界で勇者と呼ばれる自分がこの先どうなってしまうのか。

ふと考えてしまう、この世界にはまだ1時間も居ないのにもう郷愁を感じているのかと、

彼女は苦笑する・・・・・・・・自分は帰れるのかと、短く居ないだけなのに懐かしく感じる

何も無い、全くの変化がいつもの自分の居場所に帰れるのかと、そう考える。


〝コンコン〝


ふと、扉が叩かれる。

「はい? どなたですか?」

「私です、シャロンです。 勇者様お入りしてもよろしいですか?」

扉の外から唯の声にこたえたのは彼女をこの世界に召喚した少女

この国の第一王女シャロン・クレプタ・イシュヘロン・セントアジ―ル、

少し楽しそうな彼女の声に一瞬どう答えたものかと唯は考えるが、

よくよく思い返してみればこの部屋の鍵は外側から掛けられているのだ、

だからそもそも王女が自分に入っていいかなどと聞く必要はない訳だ・・・・・・

「その扉は私の意志ではどうにもならないんだ、入りたければ入れば良いだろう」

思わず棘のある言い方になってしまう唯。

「それでも、今このお部屋に居られるのは貴女だけなのですから、

貴女の許可を求めるのは当然の事でしょう?」

そんな唯の言い方を気にしていないのか、言葉の中の棘に気付いていないのか

それとも全て理解している上で自分を崩さないのか

「どうぞ・・・・・」

「はい、失礼いたします」

そう言って扉を開け入ってきたシャロンの後ろにはティーセットを持ったメイドが、

机にカップとポットを並べ、お菓子の入ったバスケットを

置くとメイドは一礼して部屋から出ていく。

「まず、キチンと自己紹介いたしましょう」

ポットからカップへと紅茶を注ぎながら、シャロンは唯に楽しそうにそう言う

「では、私から。 私はこの国『セントアジ―ル』の第一王女

シャロン・クレプタ・イシュヘロン・セントアジ―ルと申します」

「私は・・・・私は天勾高校1年、夜潟 唯だ」

シャロンの態度に戸惑いながら、仕方なしに自分も自己紹介をする唯。

「コウコウ? と言うのは一体なんですの?」

とても楽しそうに興味深そうに尋ねてくるシャロンに

毒気を抜かれたかの様な顔になる唯、

「高校と言うのはな、教育機関だよ。 子供が大人になる一歩手前の・・・・・・・な」

「まぁそれはとても素晴らしいものですわね」

手を合わせパァァっと笑顔を咲かせるシャロン。

「そうか? 私からすれば普通の事なんだが・・・・・・・」

「いえ、とても素晴らしい事ですわ。 この『セントアジ―ル』に教育機関は

『王立魔術学院』しか有りませんもの。」

少し寂しそうに、とても残念そうにそう言うシャロン

「『魔術』というのが有るのか、この世界には」

そんな彼女に気付いて唯は話題を変えようとする、

「え、えぇ。私たち『人間』が生き残る為に生み出した術が『魔術』ですわ」

突然話題を変えた唯に今度はシャロンが戸惑うが彼女は律義に答える。

「『人間』という事はこの世界には人間以外の知的生命体が住んでいるという事か?」

「はい、『魔族』と言う者達がおりますわ」

唯の質問に、シャロンは嫌悪感を露わにしながらそう言った。


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