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オブシディオン  作者: 空飛ぶワイン
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126/228

第126話 三家の返答

王の使者が帰ったあとも、城外の宿舎には護衛がついていた。


翌朝、ロデリクはリゼリアを通して、ポルフィラの滞在を認めると伝えた。ただし宿舎を離れるときは、行き先を知らせてほしいという。


「私もここに残るわ。三家への知らせは、ロデリク様の使者に託したから」

リゼリアの言葉に、ポルフィラはうなずいた。


「王には、何と返すんですか?」


「今は引き渡せないと。三人から聞いた話と、怪我を確かめた結果も送る。家族を罰しないよう、ユリウス様に命じてほしいとも求めるそうよ」


ポルフィラは隣の部屋へ目を向けた。


怪我をした男性は足を休め、世話役の女性と村の係も家族の知らせを待っている。三人はまだ、王の返答次第で連れ戻される場所にいた。


*


アドリアンへ、父からの返事が届いた。

彼は先にロデリクへ文を見せてから、宿舎の三人に内容を伝えた。ポルフィラとリゼリアも同席した。

「父は、私に帰れと言っています。三人も連れてくるようにと」


世話役の女性が尋ねた。

「家族のことは、何か書いてありますか」


「家族からも事情を聞く、とあります。罰しないという返事はありません」

アドリアンは文を持つ手を下げた。

「私には、家族に迷惑をかけたくなければ考え直せと。私を戻らせるために、皆さんの家族を使うつもりなのだと思います」


怪我をした男性が、椅子から腰を浮かせた。

「俺が戻れば」


世話役の女性がその腕を支えた。男性は痛む足を床へつけられず、座り直した。


アドリアンが言った。

「戻れば家族を罰しない、とは書いてありません。私からも、ロデリク様からも、家族を責めるなと返します」


女性は男性の腕を離さなかった。

「私たちは帰りたいんです。でも、罰を受けに戻りたいわけじゃありません」


「はい」


ポルフィラは二人のそばに座っていた。

自分も帰ればいいと勧めることはできない。だけど家族も無事だと約束することはできなかった。


*


三家からの返答が届くと、ロデリクは家臣とリゼリアを呼んだ。


クラウスは保護の継続を支持し、王へ引き渡しの撤回を求めると答えていた。レオノーラとテオバルトも同じ申し出を出す。三人をユリウスへ返す前に、本人たちの訴えを聞くよう王へ求めるという。

レオノーラの文には、王が兵を出した場合に備えてほしいとあった。


家臣が顔を上げた。

「王の兵が来れば、門前で止めるだけでは済みません」


「王命を受け取ることと、三人を渡すことは別だ。来た者の指揮官を私の所へ通せ。宿舎へ直接入れるな」

ロデリクは警備を受け持つ家臣に命じた。

「兵同士で争いを始めるな。三人を連れ出そうとする者がいたら止め、私を呼べ」


「承知しました」


リゼリアが尋ねた。

「三人を、三領のどこかへ移しますか?」


「移しても、引き渡しを求められる相手が変わるだけだ。本人たちに事情を伝えてから決める。黙って他家へ送ることはしない」

ロデリクは三家の文を重ねた。

「味方してくれる家があるうちに、王の判断を変えていただきたい。兵を出されてからでは、ここで暮らす者も巻き込む」


*


その日の夕方、ポルフィラはリゼリアとともにロデリクに会った。

宿舎の一室で、護衛が扉の外へ下がるのを待ってから話した。

「王の兵が来るかもしれないと聞きました」


「まだ出発したという知らせはない。だが、備えはする」


「オブシディオンにも伝えていいですか?」


「かまわない」


ポルフィラはうなずいた。

「ここへ呼べば、竜がいると知られます。私と繋がっていることも。だから、すぐ来てほしいとは言えません」


ロデリクは急かさずに待った。


「でも、三人が連れ戻されそうになったら、止めてほしいと思うかもしれません」


「今は、私たちが王に訴えている。おまえが何とかしなければならんと決まったわけではない」


「はい。でも、私も考えておきたいです」


ポルフィラの隣でリゼリアが言った。


「私もシルヴァもいるわ。誰か一人に任せるつもりはない」

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