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オブシディオン  作者: 空飛ぶワイン
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122/226

第122話 反抗を認めさせろ

ユリウスは、村へ出す兵をまとめる家臣に命令を渡した。

連れてくるのは、怪我で荷を運べなかった男。その男への処罰をやめるよう訴えた村の世話役。そして、怪我は事実だと最初に報告した係だった。


「世話役も捕らえるのですか」


家臣が尋ねるとユリウスは答えた。

「処罰を決めるのは村人ではない。ほかの者をそそのかす前に押さえろ」


「係は、怪我を確かめて報告した者です」


「その報告が正しかったかも聞く。言い逃れはさせない」


家臣は文へ目を落とした。

「反抗を認めたら、どういたしますか」


「ほかの村へも知らせる。三家の真似をして訴えても、命令に逆らった罰は免れないとな」

ユリウスは机に残る王への報告案を見た。

息子の巡察を記した箇所は使えなくなった。代わりに、反抗した者を自分の兵で押さえたと報告すればよい。

「余計な騒ぎは起こすな。連れてきてから話させる」


家臣は頭を下げた。


*


出発の支度をする兵を、アドリアンが城の外で見つけた。

村の報告を読むことは止められていた。だが兵が荷車と縄を用意して出ていく姿は隠せない。

アドリアンは家臣を呼び止めた。

「どこへ行くのか?」


家臣はためらったが、村の名を答えた。怪我人の報告にあった場所だった。


「拘束するつもりか?」


「領主様の命令です。詳細はお尋ねください」

それ以上、家臣は答えなかった。


アドリアンは父の部屋へ戻った。

「怪我をした男を捕らえるのですか」


ユリウスは顔を上げた。

「命令に逆らった者の話を聞く」


「何を言っても反抗と決めるつもりではありませんか」


「口を出すなと言ったはずだ」

父は部屋の戸口へ目を向けた。家臣が近づいてくる。


ここで押し問答を続ければ、今度は自分が部屋から出られなくなるかもしれない。

アドリアンは言い返さず、退出した。


*


村へ兵が着くと、畑にいた者たちが道を空けた。

先頭の家臣は村の世話役を呼び、荷運びの男を連れてくるよう命じた。


「まだ足が治っていません」

世話役の女が答えた。


「荷車を出している。歩けとは言っていない」

家臣は兵へ指示した。

家から連れ出された男は、足をかばって戸口へ座り込んだ。兵が腕を引くと、女が間に入った。

「立てないんです。少し待ってください」


「おまえも来い」


女の手首に縄が回された。

荷車のそばにいた村の係が進み出た。

「私が足を確かめました。腫れもあり、荷を持って歩ける状態ではありませんでした」


「おまえにも命令が出ている」

家臣は文を示した。

係は自分の名を見て黙った。天馬の民である自分まで連れていかれるとは思っていなかった。


「領主様の前で説明すれば済むことだ。乗れ」


男と女を乗せた荷車へ、係も押し上げられた。

周りの村人は、誰も近づけなかった。男の家族が泣きながら何か言ったが、家臣は答えなかった。


*


アドリアンが空から村を見つけたとき、荷車はすでに動き始めていた。

ソレインの影が道を横切ると、村人たちが家の方へ駆けた。兵も顔を上げる。

アドリアンは村から少し離れた空き地へ降りた。

荷車には手を縛られた人がいる。隣で足をかばっている男が、報告にあった怪我人だろう。

思いとどまるよう頼んだ。なのに父はもう人を拘束していた。


ソレインが首を動かした。

〈どうする〉


アドリアンは荷車を見た。

〈止める。あの人たちの話を、ここで聞く〉


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