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星詠みのリアン  作者: 雨月 玲
第四部 新たなる時代
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第四話 異世界への門


 アストル村の外れ。

 かつてリアンが最初の星核と出会った森の近く。

 そこにセレスは立っていた。

 彼女の足元には巨大な魔法陣が描かれている。

 蒼い光が静かに脈動していた。


「これが第五世界へ繋がる門」

 セレスが言う。

 リアンたちはその光景を見つめていた。

 異世界。

 そんな言葉を聞く日が来るとは思わなかった。


「向こうへ行ったら帰れる?」

 アルトが尋ねる。

 現実的な質問だった。

 セレスは少し考えた後で頷く。

「帰れる」

「でも門は長く維持できない」

「向こう側で新しい転移核を作る必要がある」


「難しそうな予感しかしないな」

 サラがため息をつく。


 ノアだけは目を輝かせていた。

「異世界文明ですよ!」

「歴史学的に前代未聞です!」


「少し落ち着いて」

 エリシアが呆れ顔で言った。


 リアンは空を見上げる。

 穏やかな青空だった。

 ネヴァルの瞳はもうない。

 だが、あの圧倒的な恐怖だけは忘れられない。


「怖い?」

 隣からアイリスが尋ねた。


 リアンは少しだけ笑った。


「正直」

「すごく怖い」


「でも」

 拳を握る。


「見捨てられないから」


 アイリスは優しく微笑んだ。


「リアンらしい」


 その時だった。


 空から巨大な影が降りてくる。


 白銀の守護竜シルヴァ。


 竜はリアンたちの前へ着地した。

 そして静かに頭を下げる。


「シルヴァ?」


 セレスが驚いた顔をする。


 守護竜は低く鳴いた。

 そして転移門を見つめる。


「一緒に来るの?」

 エリシアが聞く。


 シルヴァはもう一度鳴いた。


 どうやらそのつもりらしい。


 アルトが苦笑する。


「頼もしい仲間が増えたな」


 リアンも頷いた。

 ネヴァルと戦うなら心強い。


 やがて全員が魔法陣の周囲へ集まる。


 セレスが両手を広げた。


「始めます」


 蒼い光が強くなる。

 風が吹く。

 地面が震える。


 魔法陣の中心に巨大な光の扉が現れた。


 その向こうに見えたものは。


 赤い空だった。


 誰も見たことがない空。


 黒い雲。

 崩壊した塔。

 燃える大地。


 第五世界。


 その荒廃した光景に全員が息を呑む。


「これが……」

 リアンが呟く。


 セレスの表情が曇る。


「私の世界です」


 その声に皆が黙った。


 世界は本当に滅びかけていた。


 遠くの空では巨大な黒い影が動いている。


 山脈ほどもある存在。


 ネヴァルではない。

 だがそれに仕える何かだ。


「時間がない」

 セレスが言う。


「ネヴァルは日に日に強くなっています」


 リアンは頷いた。


 そして仲間たちを見る。


 アルト。

 エリシア。

 ノア。

 サラ。

 アイリス。

 シルヴァ。


 皆が頷く。


 もう迷いはない。


「行こう」


 リアンは一歩前へ出た。


「第五世界を救いに」


 蒼い光が彼女たちを包み込む。


 そして。


 蒼き星の継承者たちは異世界へ足を踏み入れた。


 新たな世界。

 新たな仲間。

 新たな敵。


 そして。


 星喰王ネヴァルとの戦いが本格的に始まろうとしていた。

第四話了

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