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星詠みのリアン  作者: 雨月 玲
第四部 新たなる時代
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第一話 平和の終わり

蒼き星の継承者リアン・セレスティアの物語は、ここで大きな一区切りを迎える。

だが世界は続く。

彼女たちの冒険もまた、終わりではなく始まりだった。


 世界が救われてから一年。

 アストル村には穏やかな日々が流れていた。

 リアンはかつてのように星空を眺め、アルトは子供たちへ剣を教え、エリシアは精霊たちと遊ぶ。

 誰もが戦いは終わったと思っていた。

 終焉の門は消えた。

 七つの星核も役目を終えた。

 皇帝ゼルファードは帝国の改革へ取り組み、王国との和平も進んでいた。

 新しい時代。

 誰もがそう信じていた。


 その夜。

 リアンはいつもの丘へ向かっていた。

 満天の星空。

 風は穏やかだった。

「今日も綺麗だなぁ」

 小さく呟く。

 その時だった。

 空の一角が揺れた。

「……え?」

 リアンは目を細める。

 見間違いではない。

 星空に黒い線が入っていた。

 まるで空が割れているようだった。

 次の瞬間。

 その裂け目から蒼い光が落ちる。

 流星だった。

 しかし以前見た流星とは違う。

 光は一直線に地上へ落下した。

 そして。

 遠くの山脈で巨大な爆発が起きた。


「また……」

 リアンは立ち尽くす。

 思い出していた。

 全ての始まりとなったあの夜を。

 第一の星核と出会った夜を。


 翌朝。

 リアンはアルトたちと共に落下地点へ向かった。

 山奥。

 誰も近寄らない古い遺跡。

 到着した時には周囲の木々が薙ぎ倒されていた。

「すごい衝撃だったんだな」

 アルトが眉をひそめる。

 サラも地面を調べている。

「何か落ちてる」

 全員が近付く。

 クレーターの中心。

 そこにあったのは。

 蒼い水晶だった。


 リアンが息を呑む。

「そんな……」

 見覚えがある。

 忘れるはずがない。

 第一の星核とそっくりだった。


 しかし七つの星核は消滅したはず。

 役目を終えたはず。

 それなのに。

 なぜ再び現れたのか。


 ノアが震える手で水晶を調べる。

「星核じゃない」

「え?」

「似ているけれど違う」

 ノアは額の汗を拭う。

「これはもっと新しい」

「新しい?」


 その瞬間。

 水晶が輝いた。

 眩い光。

 皆が目を閉じる。

 そして。

 光の中から姿を現した。


 年齢は十六歳ほど。

 金色の髪。

 蒼い瞳。

 純白の衣。

 どこかアイリスに似ている。

 だが別人だった。


 少女はゆっくり目を開く。

 周囲を見回す。

 そしてリアンを見つけた。


「やっと見つけました」

 その言葉に、全員が凍り付く。


「継承者リアン・セレスティア」

 少女は深く一礼した。


「私はセレス」

「第五世界の案内人です」


 誰も意味が分からなかった。


「第五世界?」

 リアンが聞き返す。


 少女は静かに頷く。

 そして。

 信じられない言葉を口にした。


「あなたが救った世界は一つだけです」


 風が止まる。


「世界は一つではありません」


 空気が凍り付いた。


「無数の世界があります」

「そして今」

 セレスの瞳が悲しそうに揺れる。


「別の世界が滅び始めています」


 リアンたちは言葉を失った。


 終わったはずの物語。

 平和を取り戻したはずの世界。

 だが。

 それはもっと大きな物語の始まりに過ぎなかった。

第一話了

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