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星詠みのリアン  作者: 雨月 玲
第二部 失われた神殿
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第六話 砂海の守護竜


 黄金の砂竜が咆哮した。

 その声だけで大地が震える。

 城壁の上にいた人々は恐怖で動けなくなっていた。

「第五の星核が中にあるなら!」

 リアンが杖を握る。

「倒すんじゃなくて助けなきゃ!」

 サラが口元を吊り上げた。

「面白いこと言うじゃない」

 普通なら討伐を選ぶ。

 だがリアンは違った。

 これまで出会った守護獣たちと同じだ。

 この砂竜もまた星核に取り込まれた被害者なのかもしれない。

 アルトが剣を構える。

「じゃあ暴れさせないようにするぞ!」

「任せて!」

 エリシアも精霊術を展開した。

 風の精霊たちが舞い上がる。


 砂竜が突進した。

 巨大な身体が街へ迫る。

「止める!」

 リアンの星紋が輝く。

 四つの星核が共鳴した。

「星壁!」

 蒼い光の結界が出現する。

 轟音。

 砂竜が激突する。

 しかし巨体は止まらない。

 結界に亀裂が広がる。

「まずい!」

 その瞬間。

 アルトが飛び出した。

「はあああああっ!」

 全力の斬撃。

 砂竜の視線がアルトへ向く。

 攻撃を逸らすことには成功した。

「今よ!」

 サラが叫ぶ。

 彼女は砂の上を風のように駆ける。

 驚異的な身体能力だった。

 一瞬で砂竜の背へ飛び乗る。

 しかし。

 胸部へ近付いた瞬間だった。

 砂竜の鱗が開く。

 そこから黒い霧が噴き出した。

「なに!?」

 霧は人型となる。

 黒衣の兵士たち。

 闇帝国の魔兵だった。

「闇帝国!」

 ノアが叫ぶ。

「こんなところにも!」

 魔兵たちは砂竜を守るように現れた。

 つまり。

 誰かが意図的に砂竜を操っている。


 その時だった。

 砂嵐の向こうから拍手が聞こえた。

 パチパチパチ。

 不気味な音。

 砂煙の中から人影が現れる。

 全員が警戒した。

 だが。

 現れた人物を見てアルトが目を見開く。

「ヴァルド!」

 闇帝国四将軍。

 黒剣の将軍ヴァルドだった。

 相変わらず無表情。

 黒い大剣を肩へ担いでいる。

「久しぶりだな」

 低い声。

 リアンも表情を引き締めた。

「また邪魔をするの?」

 ヴァルドは首を横に振る。

「違う」

「え?」

 意外な返答だった。

 ヴァルドは砂竜を見る。

「それは我々の敵だ」

「……は?」

 全員が固まる。

 だが次の瞬間。

 砂竜の胸部が裂けた。

 黒い光が噴き出す。

 魔力が暴走している。

 明らかに異常だった。

 ヴァルドが剣を抜く。

「レオスの実験だ」

 低い声が響く。

「失敗作だがな」

 リアンの心臓が跳ねた。

「実験?」

「第五の星核を暴走させた」

 ヴァルドは砂竜へ歩き出す。

「放置すれば街も砂漠も消える」

 その言葉にリアンは息を呑む。

 嘘を言っているようには見えなかった。


 砂竜が暴れた。

 大地が裂ける。

 砂嵐が巨大な竜巻となって空へ伸びる。

「もう時間がない」

 ヴァルドが剣を構える。

「継承者」

 リアンを見る。

「お前にしか星核は救えない」

 リアンも杖を握り締めた。

 敵なのか。

 味方なのか。

 それは分からない。

 だが目の前の危機だけは本物だった。

「アルト!」

「ああ!」

「エリシア!」

「任せて!」

「サラ!」

 サラは不敵に笑う。

「面白くなってきたわね」

 五人が同時に走る。

 そして。

 闇帝国四将軍ヴァルドさえ加わる形で。

 第五の星核を巡る決死の戦いが始まった。

第六話了

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