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星詠みのリアン  作者: 雨月 玲
第二部 失われた神殿
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第四話 第四の星核


 天空広場を蒼い光が包み込んでいた。

 宙へ浮かび上がった第四の星核。

 それはまるで継承者を待ち続けていたかのように輝いている。

 レオスの表情から初めて余裕が消えた。

「まさか……」

 彼は一歩後退した。

「こんなに早く共鳴するとは」

 リアンは構えを解かない。

 光はますます強くなっていた。

 三つの星核が呼応している。

 まるで新たな力の誕生を祝福するように。

「レオス」

 リアンが言う。

「もう終わりにして」

 レオスは数秒黙っていた。

 やがて小さく笑う。

「それは無理ですね」

 紫の魔法陣が再び展開される。

「私にも役目があります」

 数百の魔法陣。

 圧倒的な魔力。

 これまでで最大規模だった。

 広場そのものが紫色に染まる。

「なら!」

 リアンも右手を掲げる。

 第四の星核が応える。

 蒼い光の奔流が空へ立ち昇った。

 二つの力が激突する。

 轟音。

 天空都市全体が揺れた。


 その瞬間。

 第四の星核から無数の光が溢れ出した。

 光は空へ広がる。

 雲海を超え。

 世界中へ届くほどの輝きとなった。

 レオスが目を見開く。

「まずい!」

 初めて焦りの声が漏れる。

 第四の星核が選択を始めたのだ。

 継承者を。

 リアンは光の中へ飲み込まれる。


 気が付くと。

 彼女はどこまでも続く青空の中に立っていた。

 足元は雲。

 頭上には星々。

 昼と夜が同時に存在する不思議な世界だった。

「ここは……」

『天空の記憶』

 声が響く。

 振り返る。

 そこには一人の女性が立っていた。

 純白の衣。

 長い銀髪。

 蒼い瞳。

 優しい笑顔。

「あなたは?」

『かつて第四の星核を守った者』

 女性は静かに答える。

『空の巫女セレナ』

 リアンは息を呑む。

 数千年前の人物。

 星王時代の英雄だった。

『継承者よ』

 セレナが近付く。

『お前に問う』

「問う?」

『力とは何か』

 リアンは戸惑った。

 難しい質問だった。

 剣の強さだろうか。

 魔法の強さだろうか。

 だが。

 心に浮かんだのは別の答えだった。

「守りたいと思う気持ち」

 セレナは微笑んだ。

『良い答えだ』

 さらに近付く。

『では仲間とは何だ』

 今度は迷わなかった。

「一緒に歩く人」

 アルト。

 エリシア。

 ノア。

 三人の顔が浮かぶ。

「信じられる人」

 セレナは満足そうに頷いた。

『ならば資格は十分』

 第四の星核が輝く。

『受け継げ』

 蒼い光がリアンを包んだ。


 現実へ戻る。

 天空広場。

 レオスが驚愕の表情で立っていた。

 第四の星核がリアンの前へ降りてくる。

 そして。

 光となって吸い込まれた。

 眩い閃光。

 風が吹き荒れる。

 左手の紋章が変化する。

 一つ。

 二つ。

 三つ。

 そして。

 四つ目の星が刻まれた。

「成功した……」

 リアンが呟く。

 第四の星核の継承。

 その瞬間だった。

 レオスは静かに目を閉じた。

 そして何故か笑った。

「なるほど」

「そこまで到達しましたか」

「……?」

 リアンは困惑する。

 負けたはずなのに。

 彼は悔しそうではない。

 むしろ安心したようにも見える。

 その時。

 広場へアルトたちが到着した。

「リアン!」

「大丈夫!?」

 エリシアが駆け寄る。

 ノアも息を切らしていた。

 リアンは頷く。

「うん」

 無事だった。

 そして第四の星核も継承した。

 だが。

 レオスは既に転移魔法陣の中に立っている。

「待ちなさい!」

 エリシアが叫ぶ。

 しかしレオスは止まらない。

「次に会う時を楽しみにしています」

 不気味な笑み。

 そして最後にリアンを見る。

「継承者」

「?」

「皇帝陛下に会った時」

 銀色の瞳が細くなる。

「本当に敵が誰なのか考えてみてください」

 その言葉を残し。

 レオスは姿を消した。


 静寂が戻る。

 空には白い雲が流れていた。

 ノアが震える声で言う。

「第四の星核まで……」

「集めちゃいましたね」

 リアンは苦笑した。

「私もびっくりしてる」

 アルトが肩を叩く。

「でもよくやった」

 エリシアも笑う。

「少しは褒められていいと思うわよ」

 仲間たちの笑顔を見る。

 それだけで胸が温かくなった。

 だが同時に。

 ゼルファード。

 レオス。

 ヴァルド。

 彼らの言葉が頭から離れない。

 本当の敵とは何なのか。

 皇帝は何を知っているのか。

 その答えはまだ見えない。

 しかし。

 星導板が再び光った。

 新たな目的地が浮かび上がる。

 王国の遥か南方。

 砂漠の中心。

「次の星核……」

 ノアが地図を見て息を呑む。

「忘却の砂漠です」

 リアンたちは顔を見合わせた。

 第四の星核を得た旅は終わった。

 だが。

 新たな冒険が始まろうとしていた。

第四話了

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