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星詠みのリアン  作者: 雨月 玲
第一部 星の継承者
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第十二話 終焉の門


 黒き門が完全に開いた。

 その瞬間、空気そのものが変質する。

 凍えるような冷気。

 息苦しいほどの圧迫感。

 そして門の向こうから溢れ出す魔物の群れ。

「数が多すぎる!」

 アルトが剣を振り抜く。

 一体を斬り伏せても、その後ろから二体、三体と現れる。

 エリシアも精霊術を連続で放った。

「風刃!」

 緑の刃が魔物を吹き飛ばす。

 しかし減らない。

 終わりが見えなかった。

「リアン!」

 アルトが叫ぶ。

「このままじゃ押し切られる!」

 リアンも分かっていた。

 問題は魔物ではない。

 あの門そのものだ。

 門が存在する限り、敵は無限に現れる。

「門を閉じるしかない!」

 ノアが声を上げる。

「古文書ではそう記されています!」

「方法は!?」

「書いてありません!」

「肝心なところを!」

 エリシアが叫ぶ。

 だがノアも必死だった。

「僕だって全部読めたわけじゃないんです!」

 その時。

 リアンの胸の中にある二つの星核が反応した。

 蒼い光。

 懐かしい感覚。

 まるで誰かに導かれるようだった。

 視線が自然と門へ向く。

 その中心。

 闇の奥に何かが見えた。

「核……?」

 小さな光。

 黒い結晶が浮いている。

 あれが門を維持しているのかもしれない。

「みんな!」

 リアンが叫ぶ。

「私を門まで行かせて!」

 三人は即座に理解した。

「行け!」

 アルトが前へ飛び出す。

 魔物の群れへ突撃する。

「おおおおおっ!」

 剣閃が走る。

 道が開く。

「精霊たち!」

 エリシアが杖を掲げる。

 緑の光が乱舞し、魔物を足止めする。

 ノアも魔法陣を展開した。

「防御障壁!」

 青白い壁がリアンの周囲を守る。

「ありがとう!」

 リアンは走った。

 門へ向かって。

 真っ直ぐに。

 魔物たちが襲い掛かる。

 だが仲間たちが止めてくれる。

 だから前だけを見た。

 そして門の目前までたどり着く。

 凄まじい闇の圧力。

 身体が重い。

 呼吸も苦しい。

「負けない……!」

 二つの星核が輝く。

 光が全身を包む。

 リアンは右手を伸ばした。

「星よ!」

 蒼い光が集まり始める。

 夜空そのものを凝縮したような輝き。

「道を照らして!」

 巨大な光槍が生まれた。

 これまでで最も大きな魔法。

 星核が共鳴する。

 リアンは叫んだ。

「星彩槍・双星!」

 光が放たれた。

 眩い閃光。

 槍は一直線に門の中心を貫く。

 黒い結晶へ命中した。

 次の瞬間。

 轟音が地下都市を揺るがした。

 結晶が砕ける。

 門に亀裂が走る。

 闇が悲鳴を上げるように渦巻いた。

 そして。

 黒き門は崩壊を始めた。

「やった!」

 エリシアが叫ぶ。

 魔物たちも次々と霧へ変わって消えていく。

 門は完全に崩れ去った。

 地下都市に静寂が戻る。

 リアンはその場に膝をついた。

 魔力を使い果たしていた。

 アルトが駆け寄る。

「無茶しやがって」

「少しだけね」

「少しか?」

 リアンは苦笑した。

 仲間たちも笑う。

 勝ったのだ。

 だがその時だった。

 地下全体が激しく震えた。

 ゴゴゴゴゴゴ……。

「まだ何かあるの!?」

 エリシアが悲鳴を上げる。

 ノアが奥を見つめた。

「あれを見てください!」

 遺跡の最深部。

 巨大な光が立ち上っている。

 蒼い柱のような光。

 リアンの紋章が激しく反応した。

「第三の星核!」

 間違いない。

 だが次の瞬間。

 その光に別の気配が混じる。

 圧倒的な存在感。

 これまで出会った誰よりも強い。

 ヴァルド以上。

 アストリアとも違う。

 底知れない力。

 そして。

 遥か奥から静かな声が響いた。

「来るがいい、継承者」

 リアンは凍り付いた。

 聞いたこともないはずなのに分かった。

 この声の主こそ。

 闇帝国皇帝。

 ゼルファード。

 第三の星核の前で、世界最大の謎が彼女を待ち受けていた。

第十二話了

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