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素人マエストロ!  作者: 海街真衣
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19/22

2歩目

どうもおはこんばんにちは!

海街真衣です!

ついに第2部的な感覚のスタート!

これからも読んで頂ければと思います!

朝5時。

俺はメンテナンスを終えた楽器を迎えた。

わざわざ練習があるからと、こんな早くにトラックで運んで頂いた。

「本当にありがとうございます!」

「いやいや!大丈夫!新人戦期待してるよ!」

「はい!」

さて、現在朝5時30分。

毎週日曜日は8時30分から練習が始まる。

3時間近くまだ時間がある。

(どうしたもんかなぁ…)

風が吹いてきた。

「寒っ!」

10月28日の今日、冬と言っても過言ではないくらい寒い。

とりあえず俺は準備室のエアコンをガンガンに付け、新人戦の音源を流しながら譜面を見ていた。

何故かはわからないが、この2曲なら絶対にいい結果を出せる気がするのだ。

まだみんなには発表はしないが、ほとんどこの2曲で確定だ。

「ふぁ…」

(…少し寝るか。)

肘をついただけで、すぐに俺は意識の海に落ちていった。


(んせー…)

「んぁ?」

(せんせー…)

「むにゃ…」

「おーきーてっ!」

「うわあっ…」

誰かの声が耳で轟いた。

時計を見たら9時を指していた。

「うわっ!いっけね!」


「まったくーなに寝てんの?」

「あぁ…和奏。」

俺のデスクを境に新しい幹部3人が立っていた。

新部長 小川和奏。

クラリネット担当のミニチュア沙奈のような子だ。

新副部長 矢島凛。

一言で言うとイケメンラッパー。

男子よりも男子らしく、女子にすんごいモテそう。

新学指揮 山下沙弥香。

ド天然お嬢様だ。

可愛いとか言ったら多分俺捕まる。

そのくらい無垢で顔立ちが幼い。

以上が前幹部が指名したメンバーだ。

あいつらの事だから、きっと実力を目安に選んだのだろう。

「あのう先生?ぼーっとして、どうしたの?」

「ん、あぁ、悪いな。」

「で、今日は何すればいい?」

「あぁ、新体制になってまだ間もないから、パート事に音のバランスの調整、午後は基礎合奏で全体のバランスを見る。細かいところは3人で決めてくれ。」

「はぁーいっ」

今日の基礎合奏は全て俺が見る。

以前までは涼が仕切ってくれていたが、今はもういない。

(あぁ…緊張するなぁ…)


お昼休憩が終わり、基礎合奏が始まった。

「チューニングー」

吹奏楽の世界では一般的に「シフラット」で音を合わせる。

ちなみにオーケストラは「ラ」の音で合わせ

る。

それぞれの楽器の特性に応じてチューニングだけでも、変わってくる。

(うん。問題ないな。)

「バランス練習ー」

バランス練習は低音域の楽器から順に同じ音を重ねていくという動作をする。

大切なのはこれをチューニングの延長として考えるのではなく、その場その場の響きのバランスを考えることに意味がある。

「低音もっと大きめに!」

あれ。

「フルートこんなに近くても聞こえてないよ!」

おかしい。

「うん。まぁとりあえずは。」

3年生が居ないだけでここまで変わるとは思わなかった。

純粋に3年生がいた頃より下手に感じた。

今まで隠されていた欠点や欠陥が浮き彫りになった気もした。

「よーし次は…」

口を開こうとしたら、電話がなった。

「あ、悪い。音出ししていてくれ。」

((はい!))

俺は足早に音楽室を出ていった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

こんなのでいいのかな。

バスクラリネット担当、宮内はるかは悩んでいた。

(でも、言わなきゃ始まんない!)

私は手を叩いた。

海山は何か全体に支持や言いたいことがある時は手を叩く。

あっという間に場は静けさに包まれた。

「あの…こんなんでいいの?確かに3年生居なくなって少しは悪くなっちゃうかもだけど、これじゃ3年生の後ろに隠れてるだけじゃん!」

数人は真面目にことを受け入れ、数人は冷たい視線をはるかに刺す。

「わ…和奏だって部長でしょ!?何か言いなよ!何で平部員の私が先にこんなこと言ってるの!?」

幹部3人は顔を下げた。

「とりあえず困難じゃまずいので、今の状態がヤバいってこと自覚して練習してください。」

((…はい))

今の返事、刺々しかっな。

誰だって注意されれば腹立たしくなる。

それが同年代なら尚更だ。

(どうなっちゃうんだろう…)

私は不安を消せずに今日1日が終わった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

帰り道。

「ほんと〇〇ちゃんウザイよねー。」

「ほんとほんと。」

私、毎熊茜は前を歩く生徒の他愛もない会話をぼーっと聞いていた。

大抵女子だけになると決まって誰かの愚痴になる。

それは自分の見方を増やしたいからか、そもそもその子自体を本当に嫌っているかのどちらかだ。

きっと今吹奏楽部の誰かも誰かのことを悪く行っているだろう。

高校生が人を嫌う理由は妬みや憧れからではない。

なんでもないような人がしゃしゃり出て来るような人を嫌うのだ。

大した役職にもついていないのに偉そうな顔して人に文句を言ってみたり。

お互い実力差はほとんどないのに、さも自分がプロであるかのような振る舞いをしてみたり。

それぞれ嫌い、嫌われる理由はそれぞれだけど、そんな状態で部活を続けられる自身は私には無い。

立花先生、何か考えでもあるのかな。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ただいまー。」

「お、一博。おかえり。」

「今日夕飯何ー?お腹減ったよー。」

「今日はハンバーグだよ。」

「そーか!やった!勉強してくる!」

部活は入らなければいけなかったから幼い頃からやっていたトランペットを使って吹奏楽部に入った。

正直な話、部活については特に何も思っていない。

他にはありたい部活もないから、仕方なく入ったようなものだ。

そもそも僕は将来医学部に行きたいからこんなところで音楽を嗜んでいる暇はない。

今日も幹部じゃない人が全体を注意して嫌な目を向けられていた。

変な子だよなぁ。

たかだか部活によくもまぁあんな労力を使えるよ。

先輩達もそうだ。

コンクールでいい結果にしろ悪い結果にしろ泣く。

どこに泣く要素があるのだろうか?

努力の結果がそのまま帰ってきてるだけの話だ。

さして泣くほど意外な訳でもない。

ハンバーグを楽しみにしながらシャーペンを走せた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あぁー。やっと終わったぁー。」

全セクションの譜読みを終え、時計を見たら既に夜11時だった。

こりゃ鍵締めだな。、

そういえば。帰りのミーティングで感じた違和感は何だったんだろう?

何か歯車が欠けて滑りが悪くなったような。

(…しばらく様子を見てみるか。)

時計を見ると夜11時。

こりゃ俺が鍵締めだな。

カーテンから漏れる月明かりは冷たい光を放っていた。


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