前日
どうもおはこんばにちは!
海街真衣です!
テスト期間の方も多いのではないでしょうか?
息抜きに読んでいただければ嬉しいです!
スペシャルゲストたちを迎え、しばらくは各パートでのレッスンとなった。
その間、俺と沢本先生は五島先生から指揮の指導を受けていた。
フォルテッシモ、ピアニッシモのときの指揮の振り方の差などと言った基礎的なものから、変拍子の指揮の振り方などという応用的なところまで指導をいただいた。
こちらのレッスンが一段落し、それぞれの練習をちらっと覗くと、相手がプロの方だからか、緊張しつつも多くの刺激を受けていた。
若いうちからプロの人や実力のある人たちと関われるのは、ジャンルが異なっても将来大きな経験になるだろう。
各々のレッスンが終わり、今日来ていただいた皆さんに演奏を聞いていただくことになった。
エニグマ変奏曲。
あの頃はわけもわからず選んだが、今思うとかなりの難曲だったということがひしひしと伝わる。
コンクールには制限時間があるので、14曲の変奏曲からみんなからの助言を元に5曲抜粋して演奏してきた。
主題。
エドガーが作ったオリジナルの主題。
14曲の土台となる。
木管の怪しげなメロディーがとてもいい雰囲気を演出する。
ここはお互いの音のバランスが難しいんだよな。
第四変奏。
四分の三拍子でながれる勇壮かつ、ドラマチックな変奏。
金管とクラリネットの歯切れのいいメロディーとフルートや木管楽器のまろやかなメロディーが入り交じる。
一つ一つの音をスラーでもスタッカートでも揃えるのに時間をかけたよな。
第十一変奏。
第四楽章を盛り上げたかのようなダイナミックさがある。
金管の音色の見せ所だ。
1年生は高音の出し方を自主練習のときに研究してたよなぁー。
第七変奏。
連符を得意とする楽器の見せ場。
ゆったりとした優雅さと、ちょこまかとした可愛らしさが絶妙に入り交じっている。
連符は合わせるのが難しいってここではっきり分かったよな。
第九変奏。
エニグマ変奏曲の中で最も知られている変奏。
今までの変奏とは打って変わってゆったりとした聞き心地のいい変奏。
一人一人の歌い心がこの変奏の是非を変える。
どれだけみんなで歌ったか。
第十四変奏。
最終変奏に相応しい、華やかで堂々とした変奏。
すべての楽器が重ね合うことで綺麗なハーモニーを作る。
ホールに響く音は特別美しく思える。
最後のハーモニーにはどの学校よりも突き詰めたと思う。
一つ一つの変奏を奏でるたびに俺は今まで培ってきた知識を頭の中で反芻していた。
これを、1年13人、2年23人、3年12人の部員全員で演奏するのだ。
高校の吹奏楽部にしては全部員数は強豪にしては少なすぎるだろう。
だがこの人数だからこそ、一人一人と向き合い、心から音楽できる。
最後のハーモニーの余韻を感じていると、大きな拍手が後ろから聞こえた。
(ついにか…)
胸がバクバクする。
でもそれ以上に、ワクワクする。
その日の練習は終わり、先輩、先生達から激励の言葉をいただいた。
「私が学校を去ってからあなた達を心配しなかった日はありません。でも、今では心配することもありません。全力でリベンジしてきてください。」
(((はいっ!!)))
「えーまぁー。みなさんとは今日会ったばかりですけどね。昨年は全国に行く前に敗れてしまったわけですから、挑戦者として、ホールに下克上の音色を響かせてください。」
(((はい!)))
さすがプロ楽団を率いる指揮者だ。
まだ会ってさほど時間も経っていないのに、みんなの心を掴んでいる。
「よーし。最後だ!やりきるぞ!」
(((おぉーっ!)))
全国大会まで残り5日。
ホール練習を終えてから、俺たちは練習し続けた。
入退場の練習、セッティングの練習など、演奏面ではないところも確認した。
本番一日前には現地になれるために名古屋にいなければならない。
それまでに限界まで詰めておく。
学校での最後の練習が終わった。
その日の帰りのミーティング。
「明日からは名古屋です。緊張感を持つのもそうだけど、先生のご好意で自由時間を取ってもいい、との事なので、ハメを外しすぎないようにしてください。」
(((はいっ!)))
「あっ!あとー今日の運搬一年生よく出来てたよ!これからもそれ継続してね!」
((はい!))
「それと、合奏の時の注意、細かいことはもう言えないから、今まで言われたこと、直してきたことを明日出発するまでに確認すること。」
((はいっ!))
「じゃ先生、お願いします。」
この部のミーティングは最後に先生の話があるのだが、何分幹部3人が無敵すぎて何を話せばいいのか全く分からない。
「ええっと…事務連絡的なのはほとんど3人が言ってくれたんだけど…んー…まぁこんなに遠出するのは滅多にない機会だから、緊張感を保ちつつ、肩の力を抜いていこう。」
(はいっ!)
「起立!今日も一日、ありがとうございました!」
(((ありがとうございました!)))
翌日の朝はみんなでがやがやしながら名古屋駅へと向かった。
ひとまずホテルのチェックインをすまし、昼食をとって、早速練習をすることになった。
もちろん場所が変わっただけで演奏が爆発的に上手くなったり、下手になったりはしない。
だが、地元ならともかく、遠いところから来ている自覚があるから、少しでも慣らしておくとより100%に近いパフォーマンスができる。
といってもほんの少しの調整のみで今日の練習は終わり、午後6時からは自由行動となった。
「必ず8時前には戻ってくることなー。」
(はい!)
俺は1人で指揮の練習をしたかったから、しばらく自室にとじこもれるいい機会だった。
みんなはがやがやしながらホテルを出ていった。
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「ねっ、ねぇ!祐也!」
「なーにー?」
「あの…一緒に自由行動しない?」
「ん!じゃー他にも…」
「ううん!いいの!2人で!」
そんな会話をしていると周りのガヤ(特に涼)が騒ぎ始めた。
「おおっ!幹部のお2人がまさかの…!?」
((そ、そんなじゃないって!))
祐也と声が被り、俄然騒々しくなった。
「そういう涼だって、なに女子2人引き連れてんの!」
涼の隣には花菜と奈津子がいた。
私の質問には答えず、スタコラサッサと逃げてしまった。
「ああ!もう!いこう!」
「う、うん!」
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沙奈との一悶着があり、今は奈津子と花菜の3人でブラブラ名古屋の街を歩いている。
「あっ!みてみて!ここ美味しそう!」
「確かに!」
「よし!いってみっか!」
((うん!))
花菜が目をつけたのは「フルーツカフェサニーオーチャード」という店だ。
「お待たせしました。期間限定まるごと桃パフェです。」
「うわぁー!すごい!」
シェアスタグラムの女王(自称)の奈津子が早速携帯を取り出した。
名前の通り、桃パフェはももの形をオマージュして作られており、桃の甘い香りが香ってきて食欲をそそる。
花菜は色気より食い気か、早速食べ始めている。
「おいひー!!」
ほっぺたを膨らませて幸せそうにパフェを頬張る花菜の顔…かわいいな。
俺も食べてみっか。
「ん!うまぁ!」
サックスパート、ここまで仲良くなれてよかったな。
明日、絶対金賞とろうな。




