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素人マエストロ!  作者: 海街真衣
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12/22

折り返し

どうもおはこんばんにちは!

海街真衣です!

最近は涼しいですねー。ジメジメが嫌ですけど。

高校生は文化祭の方も進んでいるのでしょうか?

息抜きにどうぞよんでください。

「なかなかやるじゃないか。屋上の合鍵を作るなんてな。」

涼がこちらを見た。

「なんだよ…。」

「まぁそんなことはいい。少し話そう。」

「野球応援の練習はいいのかよ。」

「俺がいようといなかろうと、あいつらはちゃんとやるのを知ってるだろう?」

そう言うと、涼は不敵な笑みを浮かべた。

「そうだな。お前は人のことをろくに見ないようなでくの棒未満だもんな。」

こいつ…性格悪いな。

「あぁ、そのことなんだが。」

俺は、さっき花菜と奈津子に伝えたことを話した。

「あの時は、俺の先入観だけでこの先のことを決めてしまった。…ある人から話を聞くまでは、お前がなぜ怒ったかも分からなかったよ。」

ふん、と涼は鼻を鳴らした。

「なるほどな。つまりアンタは、俺に改心しましたごめんなさいってことを伝えに来たわけだ?心変わりの早い大人だな。」

「そういう訳じゃない。お前には頼みがあってここまで探し出したんだ。」

「…なんだよ。」

「お前は、花菜と今までずっと一緒に過ごしてきたよな。花菜の性格、突然のセクションが変わるかもしれない危機、あの子にとってはとてつもなく厳しいだろう。それ故に、お前は俺に怒れたんだろう。」

「…」

「でもさ、サックスパートが、花菜がどんな状況になろうと、お前は新しい仲間と共に支え、支えられての関係を作らなければいけないんじゃないか?」

「…」

寝てんのか?と横を見たら、泣いていた。

それがどんな涙かは分からなかったが、これ以上何か言わなくても大丈夫だと思った。

「お前の『仲間達』は、お前しか出せないテナーサックスの音を待っているぞ。」

俺は屋上から去った。

しばらく準備室で指揮の練習をしていると、テナーサックスの音が聞こえてきた。

海山吹部は専用の練習場所がないから、学校の教室を貸していただいている。

それ故に準備室からは、いろんな楽器の音が聞こえるのだ。

テナーサックスの音が目立って聞こえてきたのは、初めてだった。

いてもたってもいられなくなり、俺はサックスパートが練習している金工室へ走った。

金工室には笑顔を浮かべている涼を囲んで和やかにパート練習をしていた。

彼はもともと有り余る才能があるから、これからよりサックスパートは力強くなるだろう。

しばらく金工室を眺めていたら、涼に気付かれた。

「おいおい、我らが顧問が美少女2人を覗き見か?」

((えっ!?))

女子2人に本気で嫌そうな顔をされた。

「それは人聞きが悪いんじゃないか?」

俺は、苦笑しながら中に入った。

「どうだ?2人は。」

「おう。2人ともいい奴だよ。どんな事があっても2人を支えてやる。」

気のせいか、女子2人が頬を赤らめた気がした。

ここでも一波乱かな?と思ってしまった俺を殴りたい。

「そうか、良かったじゃないか。これから新しいサックスパートを作っていけよ。」

そんなこんなで、サックスパート事件は幕を閉じた。

それからは野球部と共に、快進撃を進めていった。

野球部はより深く練習をし、吹部はそれを見守りつつ、練習する。

その練習が実り、遂に海山野球部は、甲子園出場を果たした。

そこからは、県大会との練習を並行して練習するようになった。

正直キツかったが、みんなより歳が上の俺でもやりがいを感じられた。

野球応援の演奏は、相手の吹奏楽部との弾幕合戦だ。

どれだけ選手達を鼓舞できるような演奏ができるか、吹部にも重要な役割がある。

危なっかしい所はあったが、皆の努力が実り、甲子園準決勝まで勝ち進んだ。

相手は超強豪、桜咲栄光高校だ。

吹奏楽はもちろん、野球でも全国に名を馳せている。

毎年多くの入学希望者がくるそうだ。

この2校の試合は、野球を知らないような人でも、手に汗握るような試合だった。

一進一退のギリギリの勝負。

どちらが勝ってもおかしくなかった。

しかし、惜しくも一点差で海山は敗れた。

敗れてしまったものの、史上最高の大健闘だと野球部の子は涙ながらに言ってくれた。

かつてない壮絶な試合だったからか、海山と桜咲は学校としての交流が深まった。

こうして熱い野球応援は終わり、県大会へ向けて本格的に練習が始まった。

本番までは3日しかなかったが、以前よりもより指導力が上がった涼のおかげで、3日の中に1週間分の練習を詰め込んだような密度だった。

県大会当日。

今年は異例の事態で県大会が8月末に変更になった。

おかげで比較的心持ちには余裕があった。

今回海山は全国15校中2番目だった。

初めの方だと、お客さんの入りも少なく、何より空気が冷えているのでホールに音が響きにくい。

後半の学校と比べたら、コンディションが悪い。

部員はもう慣れきっていることなのか、表情一つ変えずに演奏準備を進めている。

そして早くも本番。

いつもの事ながら俺はガチガチに緊張していたが、以前よりもみんなからの視線が温かく感じた。

まだ終わった訳では無いが、夏休み中に起きたことがフラッシュバックし、涙が出そうになった。

(今日みんなの顔を見て指揮を振ろう。)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「次に、支部大会への代表校、3校を発表させていただきます。プログラム順に、発表させていただきます。」


「2番。海山高等学校。」

シーン…

「7番。北西高等学校。」

キャーー!!!

「14番。坂江高等学校。」

シーン…

こうして手堅く支部大会へ上がった。

今日一番の驚きは、全国常連校はあまり騒がないんだなーと思った。

優れた成績で選ばれているのだから、喜びを露わにしてもいいと思うけどな。

しかし、ここからが本番だ。

海山が敗れた支部大会。

全国への道は途方もなく長く、辛い。

だが、ようやく折り返しへ来たのだ。

俺もそれなりには指揮を振れるようになった。

もっともっと練習しないと。

「先生ー。」

「ん?どうした涼。」

「一応あんたは指揮を振る立場なわけでしょ?俺がサポートするかるさ、あんたが合奏指導してみたら?」

「ああー。確かにそうだな。明日やってみるか。」

もともと吹奏楽の指導法は勉強していたので試してみたかった。

(よし。明日が楽しみだな。)

翌日。

大体俺よりもみんなの方が部活を始める時間は早い。

俺は音楽室への階段を上った。

今日はやけに騒がしいな…。

突然、怒鳴り声が聞こえた。

「だから、紗奈先輩は嫌いなんですよっ!」

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