予告状 6枚目 ライバル登場⁉怪盗126号
「はああああああああ!?」
怪盗クラヴィスが予告状なしに盗みを!?当日の夜空に大きな黒い影が飛んでいるのを見た住民が続出!の見出しが新聞に大きく書かれていた。
怒りが頂点に達したルーシーは勢いよく新聞を真っ二つに引き裂いた。
「怪盗ってのは犯罪予告を出して盗むのがセオリーなの!!!!先日のはただの泥棒!!!」
床に落とした新聞をダンダンと何度も踏みつけた。
丁度その時店の入り口のドアが開き、ベルが鳴った。
振り向くと愛しの助手。
「レイヴン!!おかえり!!」
ルーシーは嬉しさのあまり、レイヴンに抱き着いた。
「おっとと。ただいまです。ルーシー店長」
レイヴンは店を休んでいる間の話を軽く話した。
「へー!無事見つかったんだ!」
「それでですが、その功績から捜査を続行することになりまして、また情報が掴めばお休みいただくことになります。すみません…」
「そっか、スケジュール調整しやすいように会議しなくちゃね」
「はい、あ、今からお茶の用意をしますで少々お待ちください。」
「やったー!久しぶりのおやつだー!!」
ルーシーとお供のドミノは飛び上がり大喜びである。
レイヴンがコートを掛けた時にポケットから何かがひらりと落ちた。
「レイヴン、落ちたよ」
ルーシーは落ちたものを拾い上げ見てみると、紙には花嫁衣裳のデザイン画が描かれていた。
「(ええっ!?これって花嫁衣裳!?レイヴンもしかして)……ってあれ」
ルーシーは紙に描かれているあるものが記憶に引っかかった。
「レイヴン、これって婚約者さんのウェディングドレスの案?」
「あっ!いえ違います。これは…実はこの絵が今探している物の一覧なのです」
レイヴンは見られてしまったと隠すのを諦めて事実を説明した。
「もしそれらを今後見たことがありましたら是非教えていただきたく…ルーシー店長、どうしましたか?」
ルーシーは紙に書かれているネックレスのデザインをどこで見たのか頑張って思い出そうとしている。
ついに思い出し、
「この絵のやつ、学校の友達のネックレスにデザイン似てるなって」
「それは誰ですか!?」
勢いよく肩をイレヴンに掴まれる。
「エマ・ヴァーレっていう侯爵令嬢なんだけど…」
「すみません!今すぐその情報を伝えに出かけてきます!!」
レイヴンはコートを掴み勢いよくドアを開け走り去っていった。
ルーシーは一人取り残され、空に手を伸ばしたまま固まっていた。
「私のおやつ~~~~(涙」
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翌日・エマ・ヴァーレは突如王城から召喚要請があり、応接間に通されていた。
暫くするとリチャード王太子殿下が中に入ってきた。
エマは驚き慌てて王子にスカートを広げ挨拶をした。
「この度は急な召喚に応じてくれてありがとう」
「えと、私はどうして呼ばれたのでしょうか」
「このネックレスを知っているか?」
リチャード王子は花嫁衣裳のデザイン画をエマに見せた。
「!このネックレスのデザイン、お母様のにそっくり…」
「やはり」
王子はレイヴンの方を向き、レイヴンは頷いた。
レイヴンは立てかけてあったイーゼルの布を外した。
イーゼルに置いてある一枚の絵画には、エマのネックレスと同じデザインのものを付けた美しい花嫁の絵が描かれていた。
「このネックレスは我が父の妹のルシアナ姫が婚姻の際につけていたものだ。十年以上前に花嫁衣装が消えてずっと探していた。君はこのネックレスについて母親から何か聞かされていないか?」
「お母様がとても大事にしていたのしか…。……いえ、昔一度言ってました、『私の大好きな親友からもらったの。いつか子供が困ったら助けてるって約束でね。』と…」
「調べではエマ様のお母様とルシアナ姫は親交がありました。大好きな親友とはルシアナ姫であることが確実だと思います」
レイヴンが補足説明をリチャード王子とエマに話した。
「このネックレスを王室に返却していただけないだろうか。もちろんそれ相応の対価を支払うつもりだ」
エマは大事な形見を手放すのを少し戸惑ったが、王家のものであれば返すべきだと己を納得させた。
しかし一つ問題があった。
「あの、申し訳ございません。今のそのネックレスはある方に預けていまして、手元にはないのです」
リチャード王子とレイヴンは目を合わせ驚いた。
「それは誰だ?」
「実は―――」
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「怪盗クラヴィスだー!捕まえろーー!!!」
警官たちが一斉に捜査に走り出しているのを怪盗クラヴィスは舌を出して嘲笑っていた。
今回は大切な懐中時計を奪われたという商人のために、盗んだ人間を突き止め奪い返したところだった。
これから商人の家に行ってこっそり返却しに行くところだったが、怪盗の前にばさりと黒い影が立ち塞がった。
「怪盗クラヴィス、ヴァーレ家のネックレスを渡してもらおう」
シルクハットをかぶり、黒いマントを羽織って、マスカレードで付けるような仮面をしている男が怪盗クラヴィスに話しかけてきた。
絵にかいたような怪盗の衣装。
ルーシーは同業者かと警戒した。
「貴方は誰?挨拶もなしにいい度胸ね」
「…俺は怪盗126号。」
「126号?ダサい名前。自分で名づけたの?」
「建国されて以降、警察が認定した126番目の怪盗という意味で、囚人番号と同じだ」
「それって全然格好良くないじゃん!」
「そもそも犯罪者に格好良さを求めるなんておかしい話だ」
「なぬっ!?」
曾祖父が描く怪盗のポリシーを否定されて、怪盗クラヴィスはカチンときた。
「私が今盗んできたのは懐中時計。ネックレスなんて持ってないわ」
「ヴァーレ家のエマという女がお前にネックレスを預けただろう。どこに隠した」
「っなんであんたが知って――」
怪盗クラヴィスは動揺した。
エマと怪盗クラヴィスしか知りえないことだったからだ。
しかし大事な友人のエマとの約束は破りたくないと、クラヴィスは強気の態度で挑んだ。
「教えるわけないでしょ」
「口を割らないと、力づくで―――」
目にもとまらぬ速さで、怪盗126号は怪盗クラヴィスの腕を掴んだ。
その瞬間、怪盗クラヴィスの身体が膨らんでいき、盛大にはじけて紙吹雪と煙が辺りを舞った。
怪盗126号は驚きで煙を吸ってしまい、大きく咽ている。
「あれは家族に苦しめられている少女の大事なお母さんの形見で、また奪われないように私に預けてきたの。わけのわからない泥棒に渡すわけないでしょうが!!」
怪盗126号の拘束を素早くすり抜け背後にまわった怪盗クラヴィス。
「ごほっごほっ、…いつその女に返すんだ」
「とっっても優しくて格好良くて物語の王子様みたいな男性がエマを好きになってあの最低な家から連れ出してくれるってことがない限り返却はないわね!!」
そんな男がいるかという無理難題を怪盗クラヴィスは突きつける。
しかし実際、そんなことが起きなければエマは救われないままで、大事なネックレスが奪われるかもしれない日々を送ることになる。
怪盗126号の表情は見えないが、なんだそれはという雰囲気が伝わってくる。
「私は嘘は言ってないわ。ネックレスが欲しいなら王子様を探して、エマにネックレスが欲しいって土下座しなさい。まあ無理だと思うけど」
「……わかった」
怪盗126号はしばらく何か考えた後、あっさりと引きさがり立ち去って行った。
「なんだったのかしら」
無理やりクラヴィスを捕まえて拷問しようとするわけでもなく(させるわけもないけど)、大人しく帰った怪盗126号。
「まさか、己が王子様の振りしてエマを口説きに行くんじゃ!?」
相手は怪盗と名乗っていたから、変装上手だとしてもおかしくない。
怪盗は詐欺師と言われるほど口が上手いのが定番だ。
それはやばい、急いでエマに忠告しなきゃ!!と怪盗クラヴィスは懐中時計をすぐさま返却しに屋根を飛んだ。




