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転生したらレベルアップが止まらない  作者: とま坊
深淵迷宮編

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【第32話】練習は嘘をつかない

目立たず、騒がず、平穏に。 


それが、前世の記憶を持って異世界に転生した少年、ミナモ・アステルの目標だった


しかし、日常生活を送るだけでレベルが上がり、十歳の適性鑑定では全職業適性あり。能力値も規格外だったミナモは、バーデンセリア学園に首席で入学することに


さらに、幼なじみのダンマ、カミル、フォートと共に始まる学園生活。個性豊かな生徒たちや厳しい授業、実技訓練が待ち受ける中、ミナモの固有能力【日常成長】は、本人の意思に反して彼をどんどん強くしていく。


「頼むから、普通に成長させてくれ……!」


果たしてミナモは、憧れの平穏な学園生活を送れるのか?


これは、村人Bを目指す少年が、望まぬ成長と周囲の期待に振り回されながら、普通の日常を守ろうと奮闘する物語。

翌日の放課後、ミナモは人の少ない訓練場へと足を運んでいた。


昨日はシエロ先生から究極能力について話を聞いたが、分からない事が増えただけだった。

魔剣双流(デュアル・フロー)がどんな能力なのか、

説明を読めば大まかなことは分かるが、

実際にどこまで出来るのかは試してみないと分からない。

もし使い方を知らないまま、

いざという時に困ることになったら面倒だならな。


「――少し確認しておくか…」


ミナモは木剣を手に取り、

訓練場の中央へ移動した。

まずはいつも通り素振りを繰り返し、

剣の軌道や身体の動きを確かめる。


それから空いた手に魔力を集め小さな魔力弾を生み出す。

剣術も魔法もどちらの適正もあるからだろうか、単独で扱う分には問題ない。

では、二つを同時に使ったらどうなるのか…ミナモは火球を手元に浮かべたまま木剣を構え、剣を振り抜くと同時に魔法を放つ。


魔力弾は標的に向かって飛んでいった。

木剣の動きにも乱れはなく、

魔法の制御が崩れることもない。


「――おぉ…」


思わず声が漏れた。

以前なら剣を振る動作に集中すると

魔法の制御が疎かになり、

逆に魔法へ意識を向ければ剣の動きが鈍っていた。

しかし今回は二つの動作が自然に繋がっている。


「なるほど、そうか。

剣を持っていて集中している時でも魔力操作がしやすくなっているのか…」


究極能力(アルティメットスキル)の効果なのだろう…

詳しい仕組みまでは分からないが、

少なくとも剣と魔法を同時に扱う際の負担は軽くなっているようだ。


勿論、狙いを定めるのも魔力の量を調整するのも自身の技術だ。

能力があるからといって、

何も考えずに完璧な動きが出来るわけではない。

しかし、これまで難しかった動作を自然に組み合わせられるのは大きな利点(メリット)だ。


「よし、次はこっちを試してみるか。」


今度は魔法を放つのではなく、

魔力そのものを剣に流し込んでみよう。

俺は木剣を握り、手から刀身へ魔力を少しずつ移動させるように意識する。

しかし魔力は思ったように流れない。

刀身の一部分に偏り、木剣を握る手にも妙な違和感が生じた。


「――うわっ、ちょい待った!」


俺は慌てて魔力の流れを止めた。

どうやら剣と魔法を連携させる能力があっても、魔力の扱い方まで自動的に身につくわけではないらしい…


「――魔力が多すぎたのかな…」


今度は魔力の量を減らし、木剣の握りから刀身へ細い流れを通すように意識した。

すると、さっきよりも安定して魔力が伝わり、木剣の表面に淡い光が浮かび上がった。


「おっ、出来た!」


よしよし。ひとまず成功だ。

ミナモは少し離れた場所にある標的へ向き直り、魔力をまとわせた木剣を振り抜いた。

斬撃に合わせて魔力が前方へと放たれ、

標的の手前で弾ける。

乾いた音が訓練場に響き渡る。


「……よし、ちゃんと使えるな。」


剣の攻撃に魔力を乗せる。

これなら、相手の動きに合わせて攻撃方法を変えたり、

剣の間合いから魔法に繋げたりする事もできそうだ。

ただ、今の攻撃では魔力の流し方に意識を向けすぎて、

剣の動きが少しぎこちなくなっている。

実戦で使うならもっと練習を重ねる必要だ。


「便利だけど使いこなすのは大変だな…」


ミナモは木剣を下ろし、

今日試した事を振り返った。

剣を振りながら魔法を放つ事も、

魔力を剣に流し込んで斬撃と組み合わせる事も出来た。

能力の説明にあった内容は、

ひとまずは確かめられただろう。

他にも使い方はありそうだが、

今すぐ全てを試す必要はない。

能力を手に入れたからといって、

無理に使いこなそうとして失敗するのも避けたい。


「まぁ、のんびりと練習していこう…」


ひとまず、今日の確認はこれで十分だ。

俺は木剣を元の場所へ戻し、

訓練場を見回したが思った以上に時間が経っていた。


「――やべっ。そろそろ帰るか…」


これ以上続けてもすぐに使いこなせるようになるわけではない。

疲れるまで練習するより少しずつ慣れていくほうがいいだろう。


魔剣双流(デュアル・フロー)は、使い方次第で戦い方の幅を広げてくれそうな力だ。

基本的な性質は分かったからあとは必要に応じて練習していけばいい。

出来ることならこの力を披露するような機会が来ないまま、

平穏な学園生活を送れるのが一番いいけどな…


ミナモはそう思いながら訓練場を後にしたのだった…

読んでくださりありがとうございました。

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