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転生したらレベルアップが止まらない  作者: とま坊
学園入学編

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【第26話】剣術の天才・前編 

目立たず、騒がず、平穏に。


それが、前世の記憶を持って異世界に転生した少年、ミナモ・アステルの目標だった。


しかし、日常生活を送るだけでレベルが上がり、十歳の適性鑑定では全職業適性あり。能力値も規格外だったミナモは、バーデンセリア学園に首席で入学することに。


さらに、幼なじみのダンマ、カミル、フォートと共に始まる学園生活。個性豊かな生徒たちや厳しい授業、実技訓練が待ち受ける中、ミナモの固有能力【日常成長】は、本人の意思に反して彼をどんどん強くしていく。


「頼むから、普通に成長させてくれ……!」


果たしてミナモは、憧れの平穏な学園生活を送れるのか?


これは、村人Bを目指す少年が、望まぬ成長と周囲の期待に振り回されながら、普通の日常を守ろうと奮闘する物語。

準決勝を終え俺は控え場所へと戻ってきた。

準決勝ではガルドの圧倒的な力に苦戦したが、最後は魔法を使って勝利することができた。


ただ、少し派手にやり過ぎた気もする…

決勝ではもう少し目立たない戦い方をしたいところだな。


「次は決勝戦ですね。」


係員から対戦相手の名前を告げられた。


「ミナモ・アステル選手。

決勝の相手が決まりました。

相手はシェー・アストレア選手です。」


アストレア…

その名前を聞いた瞬間、近くにいた生徒達がざわめいた。


「おい…アストレアってあの天才のか?」


「幼い頃から剣術の才能を認められていたっていう……」


「さっき見てきたけどやっぱり格が違ったぜ…」


なるほど、かなり有名な人物らしいな…


シェー・アストレア。

幼少期から剣術の才能を高く評価され、

数々の稽古や大会で優れた成績を残してきた実力者…

剣術の天才としてその名は学園に

入学する前から知られているみたいだ。


――なるほど。剣術の天才、か…


準決勝のガルドは圧倒的な力で攻めてくるタイプだったが、アストレアは全然違うようだ。

そういう相手と戦うのは初めてではないが、これ程有名な相手となると周囲の期待も大きそうだ…


――しばらくすると、

決勝戦の開始を告げる鐘が鳴り響いた。


俺は闘技場へと続く通路を進み、

観客たちの歓声が響く中、試合場へと足を踏み入れた。


向かい側から一人の少年が歩いてきた…


整った顔立ちに落ち着いた表情を浮かべ、

手には使い込まれた木剣を持っている。

剣を持つ姿は隙が感じられない…


観客席からはアストレアの名を呼ぶ声が聞こえてくる…


「アストレア!優勝してくれ!」


「天才剣士の実力を見せてくれよぉ!」


そんな声援を受けても、

アストレアは表情を変えない。

そして、俺の前で足を止める。


「やぁ、君がミナモ君か…」


「う、うん。よろしく。」


「君の試合は見ていたよ。

剣技だけでなく、

魔法まで使いこなすとは実に驚いた…」


「ありがとう。

アストレアも剣術が得意なんだね。」


俺が尋ねると、アストレアは静かに頷いた。


「そうだね、得意と言うより剣術にすべてを注いできたんだ。

僕の力がどこまで通用するのか、

いつか試してみたいと思っていたんだ…

まさか、こんなにも早く実現するとは

思ってなかったよ。」


アストレアは木剣を構える。


その目には、静かな闘志が宿っている。

――その剣術の天才が、

俺との試合を楽しみにしていた、か…


こちらが魔法を使えるからといっても、

簡単に勝てるとは限らない。

剣術だけでここまで名を知られるようになったのなら、相当な実力者なのだろうな…


審判が試合場の中央へ進み出た。


「これより、新入生対抗武闘大会―決勝戦―を開始する!両者、構えろ!」


俺は木剣を握り、アストレアと向かい合う。


「それでは――始めぇ!」


審判の声が響いた瞬間、

アストレアが動いた。


――速い!


そう思った時には既にアストレアは間合いを詰め、木剣を振り抜いていた。


俺はとっさに木剣を合わせる。


――カンッ!


乾いた音が闘技場に響き渡る。

衝撃はガルドほど重くない。

だが、剣を合わせた瞬間相手の力の流し方が巧みなことに気づく。


受け止めたはずの俺の剣が、

僅かに外側へと押し流される。


そこへ、アストレアの二撃目が迫った。

俺は身体をひねってかわし距離を取る。


「今のを避けるのか!流石だね!」


「ば、化け物かよ…」


俺は笑顔で返しながら内心では相手の動きを分析していた。

力任せじゃない無駄のない動きで

こちらの剣をそらし、

次の攻撃へと繋げている…


アストレアは間を置かずに踏み込んできた。


剣を上から振り下ろし、

そこから素早い薙ぎ払い。

間を置かずに繰り出される突き…


俺はその技を一つ一つ受け流しながら対応していく。

剣がぶつかるたびに乾いた音が響く。


――思っていた以上に厄介な相手だな…


観察眼(アナライズ)を使えば、動きの癖や攻撃の軌道を読み取れる。

だが、アストレアは攻撃から次の動作への移行が滑らかで、こちらの対応に合わせて剣筋を変えてくる。


大きな隙がほとんど見当たらない…


「どうしたんだい?

君ならもっと楽しませてくれると思っていたんだけど…」


アストレアが一歩踏み込み、

木剣を構え直す。


「はぁ、そう言われても困るんだけど…」


俺は小さく息を吐いた。


出来れば剣術だけで勝ちたい。

魔法を使ったらまた派手にやらかしそうだからな…


しかし、このまま剣だけで戦い続ければ、

いつか攻撃を受けてしまうかもしれない。


怪我は嫌なのだ。それは避けたい。


俺は木剣を握り直し、アストレアの構えを見据えた。


剣術だけでは突破が出来ないのなら、

別の方法を組み合わせるしかない。

幸い、俺には使える手段がもう一つある。


――いや、折角の決勝戦だ。

少しくらい新しい事をやってみてもいいだろう…


俺は静かに魔力を練り始めた。

木剣を構えながら、もう片方の手に意識を向ける。


――「剣」と「魔法」


普通は同時には扱うことの出来ないもの同士を同時に扱う。


これまで練習してきた事をやってみる時が来たのだ。


「さぁ、楽しもうか。

勝負はまだこれからだよ…」


アストレアが再び踏み込んでくる。

俺は木剣を構え、迫り来る一撃を迎え撃った。

そして、空いている手に小さな魔力の光が灯った。

読んでくださりありがとうございました。

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