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転生したらレベルアップが止まらない  作者: とま坊
学園入学編

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【第24話】身体操作 

目立たず、騒がず、平穏に。


それが、前世の記憶を持って異世界に転生した少年、ミナモ・アステルの目標だった。


しかし、日常生活を送るだけでレベルが上がり、十歳の適性鑑定では全職業適性あり。能力値も規格外だったミナモは、バーデンセリア学園に首席で入学することに。


さらに、幼なじみのダンマ、カミル、フォートと共に始まる学園生活。個性豊かな生徒たちや厳しい授業、実技訓練が待ち受ける中、ミナモの固有能力【日常成長】は、本人の意思に反して彼をどんどん強くしていく。


「頼むから、普通に成長させてくれ……!」


果たしてミナモは、憧れの平穏な学園生活を送れるのか?


これは、村人Bを目指す少年が、望まぬ成長と周囲の期待に振り回されながら、普通の日常を守ろうと奮闘する物語。

待機場所へ戻った俺は、

用意されていた椅子に腰を下ろした。


――ふぅ…

第二回戦では、魔法使いのエリオを相手に剣だけで勝利できた。

魔法を斬るのは少し驚かれたようだが、

何とか勝ち進めたのだからまぁ良しとしよう。


「はぁ、次は準決勝か……」


残る試合はあと二つ…

ここまで来た以上、途中で負けるわけにもいかない。

とはいえこれ以上目立つのも避けたいところだ。


そんなことを考えていると、

突然、目の前に見慣れた文字が浮かび上がった。


『固有能力:【身体操作(フィジカル・シフト)】を獲得しました』


――ん?何だこれは…


思わず顔を上げる。

勿論、周囲の生徒たちは誰もこちらを気にしていない。

俺にしか見えていない、いつもの通知だ。


続けて、新たな文字が表示された。


『効果:自身の身体動作を精密に制御し、身体能力を効率的に活用する

また能力の効果は、使用者自身の身体能力と習熟度に依存します』


ほぉ、なるほど。

筋力や敏捷性そのものが上がるわけではなく、今ある身体能力をより上手く使えるようになる能力らしい…


剣を振るうときの動きや、踏み込み、攻撃をかわす際の身体(からだ)の使い方。

そういった動作の精度を高められるのだろう…


ただ能力を手に入れただけで、

いきなり何でもできるようになるわけではないようだ。

実際に使いこなすには、それなりの練習も必要になるはずだ。


「これは試してみる価値がありそうだ…」


俺は小さく呟き、表示された文字を消した。


これまでの試合でも観察眼(アナライズ)を使って相手の動きを見極めてきた。

そこに身体操作(フィジカル・シフト)が加われば攻撃を避けたり、反撃したりする際に役立つかもしれないな…


特に次の相手がどんな戦い方をするのか分からない以上、

選択肢が増えるのは有難い。


もっとも今は試合の真っ最中だ。

能力を試すためだけに、わざわざ無理をするつもりはない。

必要になったときに使えれば十分だろう…


そう考えていると、

闘技場から大きな歓声が聞こえてきた。

どうやら別の試合が終わったらしい。


やがて係員が待機場所へやって来た。


「アステルさん。

準決勝の対戦相手が決まりましたので、

お知らせしに来ました。」


「あ、ありがとう御座います。」


俺は立ち上がり係員の説明に耳を傾けた。


「対戦相手は、ガルド・ベルクさんです。

剣術を得意とする生徒で、

特に筋力には定評があります。」


――筋力、か…


「なるほど…分かりました。

ありがとうございます。」


係員が去ったあと、俺は対戦相手の名前を頭の中で繰り返した。


ガルド・ベルク。

剣術を得意とする、力自慢の生徒らしい。


これまでの相手は剣術で攻めてくる者、

遠距離から魔法を使う者だった。

今度は真正面から力で押してくるタイプということか…


――出来れば、力比べは避けたいな…


俺の筋力にも限界はある。

恐らく俺の方がステータスは上だろう。

しかし、相手が力任せに剣を振り回してくるならまともに受け止めるのは得策ではないだろう…


身体操作(フィジカル・シフト)を使えば、少しは対応しやすくなるかもしれない。

だが、実戦で試したことのない能力を過信するのも危険だ。


それに相手の力がどれほどのものなのか、

実際に戦ってみなければ分からない。


俺は木剣を握り直し、軽く手首を動かした。

準決勝では、これまで以上に慎重に立ち回る必要がありそうだ。

少なくとも怪我をするような戦い方だけは避けたい。


――やがて、闘技場に審判の声が響いた…


「続きまして、

     準決勝第一試合を開始します!」


俺はゆっくりと息を吐き、試合場へ続く通路に目を向けた。


準決勝が今、始まる…

読んでくださりありがとうございました。

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