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転生したらレベルアップが止まらない  作者: とま坊
学園入学編

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【第23話】魔法は斬ればいい 

目立たず、騒がず、平穏に。


それが、前世の記憶を持って異世界に転生した少年、ミナモ・アステルの目標だった。


しかし、日常生活を送るだけでレベルが上がり、十歳の適性鑑定では全職業適性あり。能力値も規格外だったミナモは、バーデンセリア学園に首席で入学することに。

さらに、幼なじみのダンマ、カミル、フォートと共に始まる学園生活。個性豊かな生徒たちや厳しい授業、実技訓練が待ち受ける中、ミナモの固有能力【日常成長】は、本人の意思に反して彼をどんどん強くしていく。


「頼むから、普通に成長させてくれ……!」


果たしてミナモは、憧れの平穏な学園生活を送れるのか?


これは、村人Bを目指す少年が、望まぬ成長と周囲の期待に振り回されながら、普通の日常を守ろうと奮闘する物語。

「それでは、間もなく二回戦を始めます!」


審判の声が闘技場に響き渡った。


俺の対戦相手は、エリオ・ヴァレン。

魔力の数値が高く魔法の扱いに長けているらしい。

落ち着いた雰囲気の少年で、

先程の相手とはずいぶん印象が違う。


「よろしくね、ミナモ君。」


「うん、よろしく。」


互いに礼を交わし、試合場の中央で向かい合う。

審判が開始の合図を出すと、エリオはすぐに距離を取った。


「さぁ、まずは様子見と行こうか!」


エリオが杖を振るう。

するとその先に水が集まり、

拳ほどの大きさの玉となって俺に向かって飛んできた。


――ふぅむ、なるほどな…

遠距離から魔法を放ち相手を近付かせない戦法か…


俺は観察眼(アナライズ)を発動させ、

水の魔法の軌道とエリオの動きを確認する。

魔法を放つ直前、杖の先端がわずかに動く。その方向と動作から、飛んでくる位置を予測出来た。


俺は木剣を構え、水の魔法に向かって振り抜いた。


――パシャッ!!


水の魔法が真っ二つに割れ、左右へ弾け飛んだ。


「――は、一体何をした…?」


エリオが目を見開いた。

観客席からも、驚きの声が上がる。


「今のは…剣で魔法を斬ったのか……?」


教師の一人が思わず呟いた…


「なるほど…魔法の軌道を見極め、

適切な位置で剣を振っている。

これは、偶然ではないな…」


別の教師がそう分析すると、

学園長も興味深そうに試合場を見つめた。


「ふぅむ、適性鑑定の結果だけでは分からなかったが、あの少年は実戦での判断力が飛び抜けて優れているようだな。」


学園長の言葉に、教師たちは揃って頷いた。


一方、エリオは驚きながらも、

すぐに次の魔法を放った。


「たまたまだ、これならどうだぁ!?」


今度は魔法が二つ、立て続けに飛んでくる。


俺は一つ目を斬り裂き、続けて二つ目も木剣で弾き割った。

水しぶきが飛び散り足元の石畳を濡らす。


「おいおい、また斬りやがったぞ…」


「剣で魔法を斬るなんて聞いたことがねぇよ!」


観客席がざわめく。


教師の一人は感心した様子で頷いたが、

別の教師は難しい顔をしていた。


「技術もさることながら、あの踏み込みの速さも気になります。

魔法を放つ相手にあそこまで簡単に距離を詰めるとは…」


「確かに…

しかも、まだ余裕があるように見えるぞ。」


学園長は答えず、

ミナモの動きをじっと追っていた。


俺としてはできるだけ派手なことはせずに

勝ちたいのだが相手が魔法を使う以上、

避け続けていても試合は終わらない。


それに飛んでくる水の玉を斬るだけなら、

リズムゲームの様に斬ればそこまで難しくはない…


「くっ…これで、終わりだ!!」


エリオが杖を構え直し、魔力を集中させる。大きな水の魔法が生まれようとしていた。


その瞬間、俺は地面を蹴った。


「は、速い!」


エリオが驚き、慌てて魔法を放つ。

俺は飛んできた水の玉を木剣で斬り裂き、

そのまま一気に距離を詰めた。


エリオが杖を引こうとしたときには、

もう目の前まで迫っている。


……一閃


乾いた音が響き、エリオの杖が手から弾き飛ばされた。

杖は石畳の上を転がり試合場の端で止まる。


「そこまでぇ!

      勝者、ミナモ・アステル!」


審判の宣言と同時に闘技場が大きな歓声に包まれた。


「実に見事だ。

剣術だけであそこまで魔法使いを追い詰めるとは。こんな戦いは初めて見たぞ。」


教師の言葉に、学園長は小さく頷いた。


「確かに、な。

しかし私は彼がまだ自分の実力をすべて見せているようには思えないのだよ。」


教師たちの表情が変わる。


「…まだ本気ではないと言うことですか!?」


「断言は出来ないが、な。

ただ、あの動きには余裕がありました。

次の試合では更に違った一面を見せてくれるかも知れないがな…」


学園長はそう言うと試合場を去るミナモの背中を見送った。


俺はエリオの元に歩み寄り手を差し出した。


「大丈夫か?」


「あぁ、大丈夫さ…

まさか魔法を剣で斬られるとは思わなかった。」


エリオは苦笑しながら俺の手を取り、

立ち上がった。


「剣の使い方が上手いんだな。

初めて見たよ。魔法を斬るなんて。」


「あ、ありがとう。

エリオの魔法も凄かったよ。」


短く言葉を交わし、

俺達はそれぞれ試合場を後にした…


魔法を使わず、剣だけで勝てた。

それ自体は狙いどおりだ。


ただ魔法を斬るという行為が、

これほど注目されるとは思っていなかった。

学園長や教師たちまで、何やら真剣な顔でこちらを見ていた気がする…

(いや、気のせいだ。きっと…)


――普通に剣で戦っただけなんだけどな…


俺は観客席から聞こえる歓声を背に、

待機場所へと戻ったのであった…

読んでくださりありがとうございました。

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