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転生したらレベルアップが止まらない  作者: とま坊
学園入学編

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【第22話】驚愕する観衆 

目立たず、騒がず、平穏に。


それが、前世の記憶を持って異世界に転生した少年、ミナモ・アステルの目標だった。


しかし、日常生活を送るだけでレベルが上がり、十歳の適性鑑定では全職業適性あり。能力値も規格外だったミナモは、バーデンセリア学園に首席で入学することに。


さらに、幼なじみのダンマ、カミル、フォートと共に始まる学園生活。個性豊かな生徒たちや厳しい授業、実技訓練が待ち受ける中、ミナモの固有能力【日常成長】は、本人の意思に反して彼をどんどん強くしていく。


「頼むから、普通に成長させてくれ……!」


果たしてミナモは、憧れの平穏な学園生活を送れるのか?


これは、村人Bを目指す少年が、望まぬ成長と周囲の期待に振り回されながら、普通の日常を守ろうと奮闘する物語。

初戦を終えた俺は、

選手用の待機場所へ戻っていた。


闘技場では次の試合に向けて準備が進められている。円形の石造りの観客席からは、

先程の試合について話す声がまだ聞こえている。


「首席のミナモって、あんなに強かったのかよ…」


「相手を一撃で吹っ飛ばしてたぞ!パワー系なのかな…?」


「次の試合も見逃せねぇよ!ワクワクするなぁ!」


――はぁ、頼むからそんなに話題にしないでくれよ…


俺は聞こえないふりをし、待機場所の椅子に腰を下ろした。

初戦に勝てたのはいい。怪我もしなかった。だが、あの一撃は少々派手すぎた気がする。


ステータスを振り分けたことで、

以前より力が増しているのは分かっていた。とはいえ、まさか相手をあそこまで吹っ飛ばすとは思っていなかったのだ。


次はもう少し気をつけよう。

そう心に決めたところで、闘技場の上方にある来賓席へ目を向けた。


そこには学園長をはじめ何人かの教師たちが座っている。


「……学園長、今の試合をご覧になりましたか?」


教師の一人が、隣に座る学園長へ尋ねた。


「あぁ、勿論だ。」


学園長は闘技場の中央を見つめたまま、

静かに答えた。


「適性鑑定の結果が規格外だったことは知っていたがな。

実際の戦闘能力も想像以上だ。」


「相手の攻撃をほとんど受けず、

最後は一撃で決着をつけました。

あの年齢で、あれほど無駄のない動きができるとは…

我が校の歴史の中でもトップクラスかも知れません…」


「動きだけではない…

相手が大きく踏み込んだ瞬間、

迷わず懐へ入った。

相手の攻撃を見極め、最短の動きで決めたのだろうな。」


学園長は感心したように頷いた。


「まぁ、あの威力は予想外だったがな!」


「はい。

相手も無事だったようですが、かなりの勢いで飛ばされていましたね!」


教師の言葉に、学園長は豪快に笑った。


「本人も驚いているように見えた。

どうやら、自分の力を完全には把握できていないらしい。化け物のようだな。」


「この大会の成績によってはあの大会にも出てもらうかもしれませんね…」


「あぁ、そうだな。

だが、まずはこの新人戦でどこまで戦えるのかを見てみるとしよう。」


学園長は再び試合場へ視線を戻した。


「彼には、まだ見せていない力があるはずだ。何となくそう思うのだよ。」


その頃、そんな会話が交わされているとは知らない俺は、

待機場所で静かに次の試合を待っていた。


しばらくすると、闘技場に審判の声が響いた。


「第一回戦、第三試合の勝者が決定しました! 続いて、次の試合を開始します!」


試合が進むにつれて、会場の熱気も増していく。俺は次の対戦表を確認した。

まだ二回戦の組み合わせは発表されていないが、勝ち上がった選手の名前は順番に記されていくようだ。


やがて、係員が対戦表を更新した。


俺の名前の隣に、

新たな名前が記されている。


ミナモ・アステル vs エリオ・ヴァレン。


「……エリオ・ヴァレン?聞いたことがないな…」


名前を呟いたところで、係員が説明してくれた。


「次の対戦相手は、魔法使いの適性を持つ生徒です。新人戦の中では魔力の数値がかなり高い生徒ですよ。

二回戦の準備が整い次第、呼び出しますのでそれまでこちらでお待ちください。」


「わ、分かりました。」


なるほど、魔法使いか。


剣術を中心に戦う相手とは、また違った戦いになりそうだな。

魔法の種類や射程、発動までの時間によっても対応は変わってくるだろう。


実際に戦う前に、相手の能力や戦い方を把握できれば有利になる。

とはいえ、能力の情報を見ただけで勝てるわけではない。

相手がどんな魔法を使うのか、

それをどう扱うのかは実際に見て判断する必要がある。


「ミナモ・アステル選手、

二回戦の準備をお願いします!」


係員の呼び声が響いた。


俺は椅子から立ち上がり、

木剣を手に取った。


待機場所を出ると、通路の向こうから一人の少年が歩いてくるのが見えた。

手には杖を持っており落ち着いた表情で、

周囲の歓声にも特に反応していない。


少年はこちらに気づくと、足を止めた。


「君がミナモ・アステル君かね?」


「うん、君がエリオくん?」


「そうだよ。さっきの試合見ていたよ。

実に凄い一撃だった…」


「あ、ありがとう…」


素直に褒められると、

どう反応すればいいのか少し困る。


エリオは杖を持ち直し、

穏やかな表情のまま続けた。


「でも僕は簡単に負ける気はないよ。

まぁ、よろしくな。」


「う、うん。よろしくな。」


短い挨拶を交わし、

俺たちはそれぞれの待機位置へ向かった。


――相手は魔法使いか…

剣だけでは簡単に距離を詰められないかもしれない相手だな…


俺は木剣を握り直し、

闘技場の中央へ続く通路を見つめた。


二回戦が始まろうとしていた。


読んでくださりありがとうございました。

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