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転生したらレベルアップが止まらない  作者: とま坊
学園入学編

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【第18話】観察眼の実践 

目立たず、騒がず、平穏に。


それが、前世の記憶を持って異世界に転生した少年、ミナモ・アステルの目標だった。


しかし、日常生活を送るだけでレベルが上がり、十歳の適性鑑定では全職業適性あり。能力値も規格外だったミナモは、バーデンセリア学園に首席で入学することに。


さらに、幼なじみのダンマ、カミル、フォートと共に始まる学園生活。個性豊かな生徒たちや厳しい授業、実技訓練が待ち受ける中、ミナモの固有能力【日常成長】は、本人の意思に反して彼をどんどん強くしていく。


「頼むから、普通に成長させてくれ……!」


果たしてミナモは、憧れの平穏な学園生活を送れるのか?


これは、村人Bを目指す少年が、望まぬ成長と周囲の期待に振り回されながら、普通の日常を守ろうと奮闘する物語。

固有能力:【観察眼(アナライズ)】を手に入れて数日が経った…


俺は授業の合間や休み時間を利用して、

少しずつ能力の使い方を試していた。

対象のレベルや能力値を正確に確認できるのは便利なのが真価を発揮するのは、

どうやら相手の動きを分析するときらしい…


――剣を構えた時の重心、踏み込む際の足運び、攻撃を繰り出したあとの体勢…


そうした細かな動きも、意識をすれば特徴が見えてくる。

但し、動きを把握出来たからと言っても必ずしも対応出来る訳ではない。

分析した情報を実際の戦闘に生かすには、

それなりの経験も必要になるようだ。

(――まぁ、そりゃそうか…)


そんな事を考えていた日の剣術の授業で、

先生が木剣を手にした俺たちへ告げた。


「よし、今日も二人一組で訓練を行うぞぉ。

相手の動きをよく見て、攻撃と防御を繰り返すようにしろ。力任せに打ち込むなよぉ!?

相手の動きを見極めることを意識しろぉ。

いいなっ!?」


ふぅむ…これは丁度良い機会かもな。


「ミナモとカミル、お前らで組め!」


先生に名前を呼ばれ俺はカミルと向かい合った。


「よろしくな、ミナモ!

この前の模擬戦を見てよぉ、

ちょっと試してみたい事があったんだよ!」


「ん?試したい事…?」


「おうよ!

俺の剣がどこまで通用するか、確かめてみたい」


カミルは木剣を構える。

普段は穏やかな彼だが、剣を握ると表情が引き締まる。


「――じゃあ、始めよう…」


一定の距離を取り構える…


「――始めぇ!」


合図と同時に、カミルが踏み込んでくる。

正面からの一撃を受け止めると、俺は一歩後ろへ下がる。


その動きを見ながら【観察眼(アナライズ)】を発動させる。


――ピロン…

お、目の前にカミルの情報が表示されたぞ…

レベルや能力値に加えて剣筋も見えてくる…


なるほどな…

カミルは攻撃の直前僅かに右足へ重心を移す傾向があるみたいだ。

大きな癖ではない。

普通に戦っているだけなら見落としてもおかしくない程度のものだ。


次の攻撃でも同じ動きが見えた。


右足に重心が乗り肩が動く。

そして剣が振り出される。


三度目の攻撃。

カミルが踏み込んだ瞬間、

俺は半歩だけ横へ移動した。

振り下ろされた木剣が空を切る。

そこへ剣を添えカミルの木剣を外側へ押し流した。


「うわっ!

な、何なんだ!?今のどうやったんだ!?」


体勢を立て直したカミルが驚いたように目を見開く。


「えーと。そうだな…

攻撃の前に少しだけ動きに癖があったから。」


「癖って…そんなのあったのか!?」


カミルは感心したように自分の足元を見た。


勿論、相手の動きが分かったところで反応出来なければ意味はない。

それでもこの能力を使えば相手の特徴を見つけるまでの時間を短縮が出来そうだ。


――うん、これは思った以上に役立ちそうだ……


「もう一回やろうぜ!いざ勝負!」


カミルは気を取り直し、再び木剣を構えた。今度は先ほどと同じ動きを見せないように、踏み込み方を変えてくる。


ふぅむ…そう簡単にはいかないか。


俺は動きを決めつけず相手の剣先と足運びを注意深く追った。

先程より攻撃への対応が難しくなったが、

動きを観察することで対処の選択肢を増やせることは分かった。


何度か木剣を交えたところで先生の声が響いた。


「そこまでだ!

二人共、良い練習になったようだな!」


「ありがとうございました。」


カミルと一緒に頭を下げる。


「最初の模擬戦の時も思ったが、

ミナモは相手の動きをよく見ているな。

武闘大会も後少しか…

幼い頃から剣術を学んできた者や、魔術に長ける者が出ると聞いているが、

農民出身のお前がどこまで勝ち上がるか楽しみだな!


カミルも途中から動きを変えていたな!

相手に対応する事を忘れるなよ!」


先生は短くそう告げると、

別の組の様子を見に向かった。


カミルは木剣を下ろし、俺の方を向いた。


「ふぅ、勉強になったよ。

ありがとうミナモ!

自分では気づかなかった癖があるんだな!」


「いや、俺もいい練習になったよ。

ありがとうな!」


嘘ではない。

新しい能力の使い方を試すことが出来たし、相手が動きを変えた時にどう対応するかという課題も見つかった。


相手のレベルや能力値を確認するだけなら簡単だ。

しかし、戦闘分析は違う。

観察した情報をもとに相手の特徴をつかみ、その場の状況に合わせて判断する必要がある。

能力が答えを教えてくれるわけではない。

最後に決めるのは自分自身だ。


俺は木剣を片づけ、カミルと一緒に訓練場を出ようとした。


「ミナモー!次は俺とも組んでくれよ!」


声をかけてきたのはレオンだ。

彼も今日の訓練で何か試したい事があるらしい。


「良いじゃん、良いじゃん!

俺ももう一度やりたいしよぉ!」


カミルがそう言って頷く。


「――はぁ。分かった、分かった。

また次の機会にな……」


二人とも満足そうに頷いた。


今日の練習で、観察眼の使い方は少し分かってきた。

武闘大会まで後少し、か…

そう言えば、剣を持ちながら魔法って使えるんかな…

ふとそんな事を思い、訓練場を後にしたのだった。

読んでくださりありがとうございました。

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