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転生したらレベルアップが止まらない  作者: とま坊
学園入学編

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【第15話】初の授業 

目立たず、騒がず、平穏に…


それが、俺――ミナモ・アステルの人生における最大の目標である。


前世の記憶を持ったまま異世界に転生した俺は、今度こそ平凡な人生を送ろうと心に決めていた。英雄になんてならなくていい。世界を救う必要もない。できれば村人Bくらいの立ち位置で、のんびり暮らしていきたい。


はぁ、……なのに。


日常生活を送るだけで経験値が入り、気づけば勝手にレベルが上がる。何をするにも妙にうまくいき、十歳になって受けた適性鑑定では、まさかの全職業適性あり。


おまけに能力値まで規格外だったらしい。


結果、俺はバーデンセリア学園に首席で入学することになってしまった。


どうしてこうなった。


しかも、幸いなことに幼なじみのダンマ、カミル、フォートも同じ学園に進学することになった。


気心の知れた仲間が一緒なのは心強い。


……うん、心強いはずだ。


ただし、三人とも学園生活への期待に胸を膨らませている一方で、俺の願いはただ一つ。


普通の学園生活を送ること


授業を受けて、友達と話して、昼飯を食べて、放課後にはのんびり過ごす。そんな何でもない毎日を送りたいだけなのだ。


ところが、俺には一つ厄介な問題がある。


固有能力――【日常成長】。


新しい動作を覚えるたびに経験値を獲得し、一定量に達すれば、俺の意思などお構いなしにレベルアップするという、とんでもない能力だ。


剣を振るえば強くなり、魔法を覚えれば成長し、日々の何気ない動作でさえ、俺を少しずつ規格外へと押し上げていく。


 ……頼むから、普通に成長させてくれ。


 そんな俺が足を踏み入れたのは、勇者を目指す子どもたちが集うバーデンセリア学園。

個性豊かな生徒たち。厳しい授業。実技訓練。そして、俺の平穏を脅かす数々の出来事。


果たして俺は、無事に目立たない学園生活を送ることができるのだろうか?


…いや、送らせてほしい。


これは、平凡を望む少年が、望んでもいない成長と周囲の期待に振り回されながら、それでも自分らしい日常を守ろうとする物語。


村人Bを目指す少年の、ちょっと騒がしい学園生活が今、始まる。

教室に入った俺達は、席を見つけて腰を下ろした。

しばらくすると担任の教師がやって来たが、とりあえず簡単な自己紹介をする事になった。

名前や出身地、趣味などを軽く話す程度だったので、俺も無難に済ませた。

首席での入学という肩書きのせいで、

多少注目は集めたが幸いそれ以上騒がれることはなかった。


全員の自己紹介が終わると、教師から学園生活について簡単な説明があり俺達は授業へと向かった。


――最初の授業は【剣技】の授業だ。


「よっしゃ。早速授業だな!

           楽しみだぜぇぇ!」


教室を出て移動している途中、

カミルが嬉しそうに声を上げた。


「あ、そうか。カミルは剣士の適性があるんだっけ…。」


フォートに言われると、カミルは笑顔で頷いた。


「あぁ、折角剣士の適性があるんだから、

学んだ事をしっかり吸収してぇな!」


「俺は弓の授業が楽しみだけどなぁ…

早く弓を使ってみたいぜ!」


ダンマも負けじと声を弾ませた。

ダンマには弓使いの適性があり、

フォートには魔法使いの適性がある。

三人とも、それぞれ自分の適正(のうりょく)を伸ばす事を楽しみにしているようだ。


「フォートは魔法の授業が楽しみなんだろ?」


「うん。どんな魔法が学べるのか楽しみだね!」


三人の会話を聞きながら俺は一息ついた。


――はぁ、皆やる気があって良いなぁ…


俺としては出来る事なら授業も無難にこなして、目立たずに終わらせたいところだった。


しかし、新入生対抗武闘大会への出場はすでに決まっている。

自分の実力を把握しておく必要はあるし、

授業も真面目に受けておいた方が良いだろう…

俺は目立ちたくもないが、痛い目に遭うのはもっと嫌なのだ。


やがて俺たちは、広い訓練場へとたどり着いた。

地面は平らにならされ、周囲には木製の武器が整然と並べられている。

既に何人かの生徒が集まっており、

これから始まる授業を待っていた。


「全員20秒で集まれ!集合!」


訓練場の中央に立っていた男性教師が声を張り上げた。

生徒達はその声に従い教師の前へと集まっていく。


「今日から剣技の授業を担当するダリーだ。お前達には、これから剣を扱うための基礎から学んでもらう。

既に剣を習っている者もいるだろうが、

経験があるからといって基本を疎かにするなよ。

正しい構えと動きを身につけることが、上達への第一歩だからな!」


教師は生徒たちを見渡してから、木剣を一本手に取った。


「今日はまず!

剣の握り方と基本の構えそれから素振りを行う!

経験の有無に関わらず、全員俺の指示に従え指示に従わない奴は減点とする。いいな?」


――なるほど。

この先生は少年漫画とかに出てきそうな熱い系の先生か…


俺はふと思った。


その指示を受け、俺たちは木剣が並べられた場所へと向かう。


「これか!木剣は流石に軽いな!」


カミルは木剣を手に取ると、重さを確かめるように軽く持ち上げた。


「まずは基本からだな!

きちんと基本を覚えておかないとな!」


剣士の適性があるからといって、

最初から何でも出来るわけではない。

カミルはそう考えているのか、真剣な表情で教師の説明を聞いている。


俺も木剣を手に取る。重さはそれ程ではない。

なるほどこれなら子供でも扱いやすそうだ。


――さてと、どうしたものか…


俺は全職業に適性がある。

そのせいで首席入学になったのだが、

だからといって、ここで妙に優れた動きを見せれば、余計な注目を集めてしまうだろう。


かといって、わざと下手に振るのも不自然だ。


そうだな…普通にやろう。普通に。


「まずは構えだ!

両足の位置、腰の向き、剣の握り方。

どれも基本だが、これができていなければまともに剣は振れない。よく見ておけよぉ!」


教師は自ら木剣を手に取り、基本となる構えを実演した。生徒たちはその動きを注意深く観察し、それぞれ同じように構えてみる。


「よし、そのまま剣を振ってみろ。

力任せに振る必要はない。まずは正しい動きを身につけることを意識しろよ!」


俺も周囲に合わせて木剣を振った。


上から下へ、基本の動作を繰り返す。

教師の説明どおりに身体を動かしていると、頭の中に聞き覚えのある感覚がよみがえった。


【日常成長(ルーティン・グロウ):経験値を獲得しました】


――あぁ、そう言えばこういうのでも経験値が入るんだったな…

ステータスもさっきは確認できなかったし、少し気になる…

とはいえ、今は授業中だ。

いちいち気にしていても仕方がないので、

俺はそのまま練習を続けた。


「おいそこ、腕だけで振るなよ!

腰も使え!腕怪我するぞ!」


「おいおい…剣先がぶれてる!

もう一度だ!やり直し!」


教師は生徒たちの間を歩きながら、

一人ひとりの動きを確認していた。

剣を扱うのが初めてらしい生徒は動きがぎこちなく、剣を振るたびに身体が大きく揺れている。

一方、すでに剣を習っていたらしい生徒の中には、なかなか様になった動きを見せる者もいた。


カミルも真剣に素振りを繰り返していた。

剣士の適性があるからか、剣を扱うこと自体には興味があるようだが、教師の指摘を受けると素直に構えを直している。


「力を入れすぎるな、そこ!

剣を振るのは腕力だけじゃない!

体全体で振れ!」


「はい!」


カミルは返事をして、もう一度構え直した。

その姿を見て、俺も気を引き締める。

適性があるからといって、何もしなくても強くなれるわけではない。

少なくとも、授業で教わる基本は身につけておくべきだろう。


「よし、ここまで!」


しばらくして、教師が声を上げた。


「次は二人一組になれ!

互いの構えを確認しろ。まだ打ち合う必要はないぞー。

相手の動きを見て、姿勢や剣の握り方に問題がないか確かめろよ!」


生徒たちは近くにいる者同士で組み始めた。俺はカミルと組むのかと思ったが近くにいた別の生徒と組むことになった。


「よろしく頼む。」


「こちらこそよろしくな。」


木剣を構える姿勢はしっかりしており、剣の扱いには慣れているように見える。


「君がミナモ・アステル?」


「そうだけど」


「首席入学だって聞いたよ。剣もかなり強いのかい?」


――ふぅむ、やっぱりそうなるのか…


入学したばかりだというのに、首席入学の話はすでに広まっているらしい。

俺は内心でため息をつきながら、曖昧に笑った。


「どうだろう。剣を使う機会はあまりなかったからね」


完全な嘘ではない。

少なくとも、学園の授業で剣を習うのは初めてだ。


「そうか。じゃ、これから一緒に頑張ろうな。」


少年はそう言って、自分の構えを見せた。

俺たちは互いに構えを確認し、教師から教わった基本動作を繰り返した。

相手の少年は真剣そのもので、少しでも改善できるところがあれば、すぐに修正しようとしている。


俺も適当に済ませるわけにはいかないので、教わったことを意識しながら剣を振った。


やがて授業の終わりが近づき、教師が最後に全員の動きを確認した。


「今日はここまでだ。剣を扱う上で基本は何よりも大切になってくる。

繰り返し練習は大切だ!

今日教えたことを忘れるなよ!」


生徒たちは返事をして、使った木剣を元の場所へ戻していく。


「ふぅ疲れたな!でも楽しかったぜ!」


カミルが満足そうな顔で戻ってきた。


「基本を覚えるだけでも、意識することが多いなぁ…もっと練習しねぇと!」


「君ならすぐに上達するんじゃないか?」


フォートがそう言うと、カミルは少し照れたように笑った。


「そう言われると何だか照れるな…

まぁ折角剣の適正があるんだ!出来る限りのことはやってやるさ!」


「俺も早く弓を使いたいぜ。

弓の授業はいつなんだろうな!

ウズウズするぜ!」


ダンマは次の授業が待ち遠しいらしい。


確かに俺も授業で学べることは多そうだ。

剣技だけでなく、魔法や弓についても学ぶ機会があるのなら、自分の能力を把握する上で役立つだろう。


――新入生対抗武闘大会まであと一か月…


怪我をせずできるだけ目立たずに乗り切るためにも、まずは目の前の授業をしっかり受けていこう。


俺はそんなことを考えながら、三人と一緒に訓練場を後にした。


読んでくださりありがとうございました。

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ではバイバイ!

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