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第83話 アタックオブザスシバトルクラブ!②

前回のあらすじ:

スシバトル部四天王の一人、エビの海老原にスシバトルを挑まれた鳥路英莉。

海老原が鮮度の良いクルマエビを踊りで握ったのに対し、鳥路は串打ちした海老を茹でて煮海老で握った。

それを見た海老原は勝利を確信するも、審査員が江戸前寿司の老舗である松風鮨の主人の娘、松風琴音であることを失念していた。


◆◆◆


「流石はスシバトル部四天王……油断ならない相手だった」


 鳥路さんの言う通り、審査員次第では敗北していたかもしれないスシバトルだった。審査員一人のスシバトルがここまでリスキーなものだとは……!


「くっ……まさかこの私が負けるとは……望みは何だ!? 鳥路英莉!」


 思ったよりも潔い海老原さん。


「お前は一週間スシバトル禁止だ」


「ぐわああああっ!? 鬼! 悪魔! 寿司警察! 覚えてろよ!」


 鳥路さんの無慈悲なスシバトル禁止令に海老原さんは捨て台詞を吐きながらどこかに行ってしまった。


「一週間で良かったの?」


 松風先輩が鳥路さんの意図を確認する。


「来月はテスト期間だし、今週でスシバトル部を活動停止させるから問題ない」


 根拠のある期間、そして鳥路さんの覚悟を感じる!


「私から何か言えることはないけど……スッシーなら降りかかる火の粉は全て振り払うわよね。大変だと思うけど、応援しているわ」


 スッシーの世界はどんだけ殺伐としてるんだ……確かにそんなシーンあったけどさ。


「ありがとうございます。今度、家族で松風鮨に行きます」


「ふふ、怒られないように鍛えておくわ」


 固い握手を交わす鳥路さんと松風先輩。スッシーフレンド以上の友情を感じる。


「あ、松風先輩! さっきの件、よろしくお願いします!」


「大丈夫よ。今晩聞けると思うから明日には共有できると思う」


「ありがとうございます!」


 これで明日には事の真相がわかるだろう。


「では、そろそろ私は帰りますね。頑張って、鳥路さん」


「はい」


 鳥路さんと一緒に手を振って松風先輩を見送った。



「……それにしてもスシバトル期間にスシバトルは想定してなかったな。できるだけ回避できるように気を張らなきゃ……」


「その必要はない」


 鳥路さんに否定されてしまった。


「ど、どうして?」


「帯刀冴以外のスシバトラーが問題を起こす可能性もある。このタイミングで妨害してくるようなスシバトル馬鹿は正面から叩き潰し己の無力さを実感させる」


 俺としては鳥路さんが勝負の前に余計な体力を消耗するのを避けたかったんだけど……鳥路さんの体力なら問題ないか。なら思う存分やってもらった方が最終的に良い方向に転ぶかもしれない。


「わかった。でも、無理はしないでね」


「大丈夫、ありがと」


 スシバトルまで残り三日。これ以上変な事にならないと良いけれど……



◇◇◇



 翌日の昼休み。水面下でスシバトルの火が迫っているとは思えない程の穏やかな空気が朝から今の時間まで流れている。

 昨日の今日ではあるけど、賀集さんのおかげで鳥路さんが寿司警察である事を信じる人は目に見えて減っているからだと思う。むしろ見えてる範囲では金曜日のスシバトルを応援してくれるクラスメイト達ばかりだ。他のクラスや学年がどうなっているかわからないけど……当日変な空気にはならなそうだ。ありがとう、賀集さん!

 ……離れた席にいる賀集さんと目が合い、笑顔とピースを俺に返してくれた。

 小さく手を振ってお礼しておこう。


 金星さんのマグロの方は大丈夫だろうか……かといって俺が心配したところで何か手伝える事があるとも思えないけど……念の為放課後確認しておこう。


「山本くん、お昼は?」


 購買から帰ってきた鳥路さんに声を掛けられた。

 ……この時間の購買部に突っ込んで無傷で望みの商品を買ってこれるのはどうかしてると思う。


「今日は弁当があるから……鳥路さん、またその助六寿司? 気に入ってるの?」


「今この寿司が熱い」


 この手の商品で鳥路さんがお熱って事は相当美味しいのだろう。俺も今度チャレンジしてみようかな。


「鳥路英莉はこのクラスかぁ!?」


 昼休みで賑わう教室でもハッキリと聞こえるでかい声。

 クラス全員の目線がその声の主の方に向く。この感じ……スシバトル部か?

 鳥路さんも舌打ちしたし同じ事を思っていそうだ。


「……そんなに大きな声じゃなくても聞こえる。それとも耳の掃除を怠って自分の声が聞こえていないのか?」


「は! 貴様が鳥路英莉か! 私はスシバトル部四天王の一人、鉄火巻の黒金くろがねだ! こんな小さくて細っこい奴が帯刀部長に勝てるとは思えん! このスシバトルでお前にはとっととご退場願おう! 部長の邪魔はさせん!」


 いや、まぁ、黒金さんに比べれば鳥路さんは小柄になるのかもしれないけど……この人、松風先輩より身長高いな……横幅もあるけど。そもそも体格差は寿司に何も関係ないと思う。


「ルールは鉄火巻? 審査員は?」


 鳥路さんも若干呆れながらルールの確認をする。


「そこのお前と、隣の奴、後ろの二人、そしてお前! 審査員だ!」


 黒金さんが適当にクラスメイトから審査員を指定した。その中にはなぜか俺も含まれている。寿司同好会に興味ないんだなこいつら……まぁ良いか。


「わかった。始めよう、昼休みが勿体無い」


「くっくっくっ! 迂闊だったな鳥路英莉! 貴様のスシバトル公式戦は握りだけ! 巻物は不慣れと見た! この勝負、巻物だけを練習してきた私の勝ちだ!」


 鳥路さんが公式戦で巻物を出した事がなかった!? いや、スッシーロール作ってたぞ……そうなるとスシドライバーはやはり非公式なのか。

 そもそも公式戦って何だよ。観衆の前でやったかやってないかの差か?


 ……とにかく! スシバトル部四天王二人目とのスシバトルが始まる!

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◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

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