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第73話 ザビギニングオブスシガール①

 土曜日。鳥路さんの家にお呼ばれされたものの、具体的に何をするか知らされないまま当日になってしまった。

 俺は現在鳥路さんが教えてくれた住所に向かっている最中だ。マンション名とかの記載が無いため恐らく一軒家。普段、鳥路さんからはあまりお金持ちのオーラは感じないけれど、定期的に寿司を食べに行けるぐらいのお小遣いを貰っているということはそれなりに裕福なご家庭のはず。

 ……お土産にシウマイを選んだのはかなりまずいのでは? 冷静に考えれば普通お菓子とかだろ。なぜシウマイ? なんで?


 間違いない、俺は緊張でおかしくなっていた。



◇◇◇



 目的地に到着。表札にも鳥路と書かれているしここで間違いないだろう。

 それにしても……豪邸とかではないけれど立派な家だ。庭もあるし……でもペットとかは飼ってない感じかな。さて、インターフォンを押そう。

 俺は恐る恐るカメラ付きのインターフォンのボタンを押した。


「はーい?」


 と、鳥路さんじゃない!? いや、家の人全員鳥路さんだけど!? 女性の声! 恐らく鳥路さんのお母さんだ!


「あ、や、山本です! と、英莉さんと高校でクラスメイトやらせて頂いております!」


 怪しい日本語での自己紹介になってしまった。


「……」


 無言はちょっと、その、辛いんですけど!?


「……え? 失礼ですが、下のお名前は?」


「あ、葵ですけれど……」


「え?」


 ……なんだ? 何か俺の名前に問題が? 俺にはどうしようない問題だぞ!


「あ、山本くん」


 この声は鳥路さん!


「くん!? 英莉!? 山本さんって男の子なの!?」


「そうだけど」


「だって名前を聞いたら山本葵って! しかも友達だって言うから私はてっきり……」


「普段から名前出してたでしょ」


「確かに男子の友達の山本くんは知ってるわよ? でも女の子が家に連れてくる友達って普通は女の子じゃない? 山本がメジャーな苗字だから同じ苗字で別の女の子の友達かと……ああ! もう! お父さんがフルネームで聞いたりするから逆に勘違いしちゃったじゃない!」


 めちゃくちゃ揉めてるな……確かに俺の名前は女性と思われても仕方ないけど、鳥路さんはどうやって俺の事を説明したんだ?


「……今行く」


 鳥路さんの声を最後にインターフォンが切れた。

 なんだろう、緊張……消えたな。 



◇◇◇



「英莉が友達を連れてくる日が来るなんて! しかも男の子! 山本くんなら英莉からよく話を聞いてるわよ!」


「君が山本くんか……そうか、君が……」


 なぜ俺は鳥路さんのご両親の前に座らさせられているんだ? 鳥路さんがお茶を淹れてくれているから仕方ないんだけど。いや、仕方なくなくなくない?

 ……お母さんの方は鳥路さんに容姿が似ている。話し方とか雰囲気はあまり似てないけど、髪が長くて陽気な鳥路さんって感じだ。お父さんの方は昔はモテたんだろうなという容姿ではあるけど鳥路さんとは違う感じ。ただ鳥路さんが放つ圧力とかその手の雰囲気がとても似ている。い、遺伝の力!


「……で、君は英莉の何なんだね?」


「クラスメイトというか友達というか、寿司同好会の仲間……みたいな感じですかね」


 お父さんからの圧迫面接が始まってないか?


「うちの可愛い英莉をどんな目で見てるのかね?」


 急に何言い出すんだこの人。

 

「いや、その、カッコイイなぁって思う時はありますけど、決してお父さんが考えているような目では……」


「私は君のお義父とうさんじゃない! カッコイイってなんだね!? カワイイだろ!? うちの英莉は!?」


 近くに本人がいるのに可愛いとか言えるわけないでしょ! というか何で俺は結婚前の両親のご挨拶みたいな状況になっているんだ!? フィクションじゃなかったのか!? そもそも俺は鳥路さんと付き合ってすらいないんだぞ!?


「お父さん、その辺で……」


 良かった、お母さんの方がストップをかけてくれた!


「わ、私は認めんぞ! 英莉はまだ高校生で男と付き合うなんて早すぎゃっ!?」


 鳥路さんのお父さんが突然テーブルに突っ伏した。


「ちょっと、もう、明仁あきひとさんったら! 昨日の疲れが残ってるんじゃない?」


 み、見えなかったけど、これ、鳥路さんのお母さんが何かしたんじゃ!? 

 鳥路さんの身体能力はお母さんから来ているのか!?


「何やってるの?」


「何でもないわよ! ちょっとお母さんはお父さんを寝かせてくるわね!」


 人数分のお茶を持ってきた鳥路さんと交代するように、お母さんがお父さんを引きずってどこかへ行ってしまった。何だったんだ……


「げ、元気そうなご両親だね」


 当たり障りのない表現で誤魔化す。


「友達来るって言ったら、なんか盛り上がっちゃって……」


「へぇ……ん? 友達が来るだけなのにそんな盛り上がる?」


「北海道の時から友達を家に呼んだの今回が初めてだから?」


「そ、そっかぁ、初めてかぁ!」 


 その初めての友達が男だって知ったら、まぁ、気持ちはわからないでもないけどさ! 勘弁してほしいなぁ!

感想・評価をいただけると、執筆の励みになります。


◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

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