第66話 スポーツデイアンドスシバトル⑤
前回のあらすじ:
体育祭開幕!
◆◆◆
「鳥路さん! 迷いを感じさせない高い跳躍で真空パックされた稲荷寿司を一発でゲット! 咥えたまま圧倒的な速さで一着でゴール!」
走った直後なのにパックから稲荷寿司を取り出して食べ始める鳥路さんに先程とは別の運動部が駆け寄ってくる。
「鳥路さん! バレー部に入ろう! そのジャンプ力はバレーのためのものよ!」
「いや! バスケ部だ! 鳥路さんは得点王になれる才能がある!」
「鳥路さん! 陸上で複数競技制覇に興味はないかい!?」
……陸上部は二回目だな。
「寿司同好会で忙しい」
一文一句同じ理由で断る鳥路さん。
「くそ! 寿司同好会許せねぇ!」
「山本が鳥路さんの弱みを握ってるんだ! 私は詳しいんだ!」
なぜ俺を睨むんだ! さっきの玉入れでも何回か玉が俺に直撃したし、あれも絶対わざとだろ!
「山本くんはモテモテですわね」
金星さんが扇子で口元を隠して俺に皮肉を言う。
「今人生で一番モテてるよ」
皮肉には皮肉で返す。自虐だけど。
「でも山ちゃんって実際女子の中で結構話題になってたりするよぉ」
賀集さんがフォローしてくれたけど、いつぞやの妹の話を思い出すと「良い人」ぐらいで止まっている気がする。
「悪い話題じゃなきゃ嬉しいけどね」
「良い人って話で悪い話はなかったよ!」
うん、まぁ、悪い話でもあるな!
「この稲荷寿司誰が作ったか知ってる?」
中身が空になった袋を手に鳥路さんが帰って来た。
「いや、知らないけど……美味しくなかった?」
「逆。美味しい。これほどの稲荷寿司を作れる人がこの学校に隠れているのは見逃せない」
実際誰が作ったんだろう。うちの学校は料理部が無いし先生の誰か?
「司先生なら知ってそうじゃない?」
「案外司先生が作ってたりして!」
「ありえそうですわね!」
確かにその線もあるな。
「後日聞いてみる。山本くん、騎馬戦頑張って」
鳥路さんが話題に出すと同時にアナウンスで集合が掛かる。
「山ちゃん騎手だっけ? 頑張ってね!」
「お怪我にだけは気をつけてくださいまし!」
「よし、行ってくる! 可能な限り生き残って活躍して見せるよ!」
騎馬戦が始まると俺達はなぜか敵陣に単騎で突っ込む形になり赤組の複数の騎馬に取り囲まれてもみくちゃにされた。当然瞬殺。
これが戦争における味方の裏切りってやつかぁ……勉強になるなぁ!
◇◇◇
鳥路さんの活躍もあり白組が僅差でリードした状態で最後の競技である組対抗リレーが始まる。全学年の各クラスの代表が一名選出されバトンを繋ぐ最終競技に相応しい規模の競技だ。今回はスシバトルがノイズとして乗っているけど……そういえばスシバトルは何をするんだ?
「ここまで白組がわずかにリードしていますが、組対抗リレーの結果で勝敗が決まる点差! まさに本日の大一番! 応援で盛り上げていきましょう!」
盛り上がるギャラリー……じゃなくて生徒達。
「今年からアンカーの方にはスシバトルをして頂くことになっています。赤組はスシバトル部部長の帯刀さん、白組は寿司同好会の鳥路さん。両名これまでの競技で圧倒的な活躍を見せてきただけにこの直接対決は注目です!」
目を瞑って集中している帯刀さんに対し、鳥路さんは誰かから貰った稲荷寿司を食べている。アンカーだからまだ時間はあるんだろうけどさ!
「では泣いても笑ってもこれが最後! 組対抗リレースタートです!」
少しの静寂の後、スターターピストルの破裂音を合図に両組の第一走者が走り出す!
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こちらの作品はカクヨムからの転載版です。




