第65話 スポーツデイアンドスシバトル④
前回のあらすじ:
寿司同好会の気持ちが一つになった気がする。
◆◆◆
「第6レーンの白組速い! 速い! 去年はこんな女傑はいなかったぞ!? 誰だ!?」
「今年の四月に北海道から転校してきたばかりの二年生の鳥路英莉さんです。何かと話題なスシバトルの有名人ですね」
「強いのはスシバトルだけじゃない! 二位と大差をつけて今ゴール!」
「鳥路さんはラストの組対抗リレーでアンカーも務めています。注目の選手ですよ」
盛り上がる実況席に沸き立つ生徒達。
体育祭当日。予想通りの活躍を見せる鳥路さん。男子と競り合った方が良いんじゃないかってぐらいのフィジカル。
ちなみに俺の100m走は三位だった。陸上部と運動部に勝てるわけが無い。
「流石は鳥路さんですわ!」
「陸上部の子に勝つのやばーい!」
「男子の俺より足速いもんなぁ」
隣の金星さんと賀集さんと俺が手を振ると鳥路さんが反応して手を振ってくれた。全力疾走しているはずなのに余裕そうである。ちなみに金星さんは六位でビリ、賀集さんは五位だった。寿司同好会で運動ができる鳥路さんがおかしいだけな気もする。
鳥路さんが係員に順位と名前を伝え応援席に帰ってくる……しかし、生徒の集団に取り囲まれた。
「鳥路さん! 陸上部に入ろう!」
「いや! 君の体育での噂は聞いている! 女子サッカー部で全国を狙おう!」
「いやいやいや! うちの部活に!」
「うちの部活よ!」
五月の体育祭は運動部の人材発掘の場にもなっている。四月に部活動に入るのが普通だけど、鳥路さんみたいに五月になっても運動部に所属しないで活躍する生徒がたまにいるからだ。
「寿司同好会で忙しい」
鳥路さんは一蹴した。逆にこれだけの才能があるのに何で運動部に入らないんだろう……いや、寿司を食べにいく時間が無くなるからだな。考えるまでもなかった。
「助っ人! 助っ人だけでもいいから!」
「くそ! 何だよ寿司同好会って!」
「鳥路さんの才能を殺す不届な奴らね! 許せないわ!」
鳥路さんが俺達の所まで到着すると未練がましい運動部の人達が俺達を睨んできた。そんな目で睨まれても困る。というか俺の方ばっか睨んでない? 隣にいる賀集さんと金星さんが見えていらっしゃらない?
「山本の奴、鳥路さんと賀集さんだけじゃなく金星お嬢様も抱えてるってマジ?」
「三股の獣かよ!?」
「しかもあいつの妹もめちゃ可愛いらしいぜ! 俺、許せねぇよ!」
最近は聞こえないようにしていたけど、男子生徒からの殺気が以前より強くなっている。恐らく自分のクラスの中だけじゃなく全学年規模になっているからだろう。俺が何をしたって言うんだ。
「……強く生きて」
鳥路さんに肩を叩かれて励まされた。それを見た賀集さんと金星さんが生暖かい目で俺を見る。せめて何か言ってくれ。夜道で刺されたりしたら君達のところに化けて出るからな!
「おおっと! 赤組第1レーン速い! これは圧倒的! 今年の女子は韋駄天ばかりだ!」
「二年生の帯刀冴さん、現在はスシバトル部部長です。去年の体育祭ではそこまでの活躍はされていなかったようですが……これだけの足の速さ、相当訓練をしたのか、それとも実力を隠していたのか……彼女も組対抗リレーのアンカーを務めていますので、鳥路さんとのアンカー対決に注目です」
「今年の対抗リレーのアンカーはスシバトルをすることになっています! スシバトル部と寿司同好会の寿司対決に注目です!」
やはり来たか。金星さんから事前に情報は教えてもらっていたけど、こうして周知されると実感が強く湧いてくる。
鳥路さんと違い、帯刀さんに集まる生徒の姿はいない。部長だし流石に勧誘は難しいか……
「ふ、体育祭は最終競技のリレーが全てではありませんわ! 勝敗を決めるのは一人一人の努力! 次の障害物走で私は白組の勝利に貢献してみせますわ!」
「私も頑張るよ!」
金星さんと賀集さんは次の競技の準備に向かう。障害物走か……
「あれ? 鳥路さんって次の競技なに?」
「寿司食い競争」
「……去年はパン食いだったんだけどなぁ」
スシバトルブームの余波だろうか……
「山本くんは?」
「玉入れまで待機。その後騎馬戦って感じ」
「そう。頑張って」
「お互いにね」
どうせなら勝つ方が気持ちいいもんな。
障害物走は金星さんが最下位、賀集さんは五位だった。
……この二人は走らせない方が良かったんじゃないかな?
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