第64話 スポーツデイアンドスシバトル③
前回のあらすじ:
スシバトル部の部長、帯刀冴の目的は寿司屋の殲滅だった。正気か?
◆◆◆
スシバトルで寿司屋が潰れたとか、スシバトルで全国の寿司屋を潰すとか、光と闇のスシバトラーとか情報量が多すぎる! 金星さんがふざけていないのはわかるけど! 鳥路さんの力が必要な理由はわかる。鳥路さんのスシバトルのスタンスは寿司屋を潰すためではなく美味い寿司への期待! 帯刀さんとは真逆だし、流行するべきは鳥路さんのスシバトル。それに帯刀さんを止めれるのも鳥路さんぐらいしか思い付かない!
でも、そんなこといきなり言われて「はい」と俺なら言えない! 鳥路さんもきっとそう思っているに違いない!
「やるわ」
「そうだよ。急に色々言われ……やる!? やるって言った!? 鳥路さん!?」
俺の鳥路さんの解像度が低かった!? あ、でも予想を超えてくるって意味だと解釈一致だ!
「ほ、本当に良いのですか? 私、自分で言っていても無茶苦茶だと思ってましたのに……」
金星さんも即答は想定外だったようだ。
「寿司は争いの道具ではない。それに……寿司同好会は寿司好きの集まり。寿司を脅かす連中を見過ごすわけにはいかない」
鳥路さんのまっすぐな生き方、寿司への熱い思い……やっぱりかっこいいな。
「わ、私もやるよ! 金星さん! スシバトルは全然だけど……お寿司を守るためなら何でも手伝うよ!」
賀集さんも無敗のスシバトラーだ。ねこまた寿司への愛はきっと大きな力になる。
「ようやく全員が同じ方向を向きそうね。スシバトル部を止めるなら顧問として寿司同好会を全力でサポートするわ」
司先生の目的はスシバトル部を潰すこと。最初から金星さんと同じ考えだった。断る理由がない。
俺はどうなんだ?
「俺は……寿司も握れないし、特定の寿司屋を推したりもしていないし、スシバトルの事なんて全然理解していない。あと、一般家庭だし」
他の寿司同好会のメンバーに比べて俺が持つ強みや動機なんてものはない。
「でも……俺は寿司同好会が好きだ。いや、寿司同好会の皆が好きなんだ。もちろん金星さんも含まれてる。俺は何かを本気でやれるって凄い事だと思ってるから。だから俺は、そんな凄いみんなを手伝いたいんだ!」
俺は物事を本気で取り組む人が好きだ。
「……四股宣言?」
「鳥路さん!? 違う違う! いや、違わないけど! ライクの方ね!?」
考えてみたら俺以外女性だ! 家でも母さんと妹と俺で女性の方が多いし! なんか、もう、男一人の状況に慣れすぎて言葉選びが雑になってるのかな!?
「冗談よ」
鳥路さんも冗談とか言うんだ……少し微笑みながら鳥路さんはテーブルの上に手を伸ばす。あれか、円陣組んで手を重ねるやつか! 俺が咄嗟に鳥路さんの手に自分の手を重ねると他のみんなも察して次々と手を重ねていく。
「寿司同好会……ファイ!」
「オー!」
「オー!」
「オー!」
「オー!」
「オー! ですわー!」
鳥路さんの掛け声に全員が合わせる。
……寿司同好会が一致団結したような気がした。
◇◇◇
気持ちを新たにスタートを切った寿司同好会。スシバトル部を止めるために直近で何をすれば良いのかを話し合うことに。
「体育祭の最終競技である組対抗リレー……アンカーがスシバトルするのは既に皆様ご存じですわね?」
金星さんが体育祭のリレーの話を切り出した。
「うちのクラスはとりっじが出るよ!」
「まぁ、白組は十中八九鳥路さんがアンカーになりますわね」
「私より足が速くて寿司を握れる人が白組にいるかもしれない」
多分存在しないと思うな、鳥路さん。
「赤組のアンカーは恐らく……帯刀さんになりますわね」
思っていたよりも早い直接対決になるかもしれないな。
ここで鳥路さんが勝てば早々にスシバトル部を止めることができるかもしれない。
「駄目よ。体育祭のスシバトルはお遊び。負かせた相手に言うことを聞かせるルールは無しってことになってる」
司先生が言うからにはそうなのだろう。残念という気持ちもありつつ、鳥路さんが勝てるかの保証がない状態なのでホッとした自分もいる。
「ですが、ここで勝利することでスシバトル部の勢いを止める事ができるかもしれませんわね」
金星さんの考えにも一理ある。勝っても負けても戦況への影響は少ないかもしれないけど、勝っておいて損はない。
「あ、そうだ! 金星さん、ちょっといいかな?」
「賀集さん? 何ですの?」
賀集さんが何かを思い出した感じで金星さんに質問をする。
「あの、金星さんがスシバトル部の暴走を止めていたんだよね? 今のスシバトル部は誰が抑止力になってるの?」
……あ
「……ふふ、そんなの」
金星さんが扇子を広げ不敵に笑う。さすが! 既に策は打ってあるんだね!
「誰もいませんわ」
……そういや笹垣が金星さん抜けたらスシバトル部が強くなるとか言ってたよな。
「鳥路さん、とりあえず勝ちましょう」
司先生が鳥路さんの肩を少し強めに叩く。
「……帯刀じゃない人が赤組のアンカーになるかもしれない」
多分それは無いと思うな、鳥路さん。
白組のアンカー選出と同じ理由で……
感想・評価をいただけると、執筆の励みになります。
◇◇◇
こちらの作品はカクヨムからの転載版です。




