表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/204

第50話 スシガールズホリデー③

前回のあらすじ:

鳥路さんの恋人の条件が無理難題だった。


◆◆◆


 クレープを食べ終えそろそろ解散するかという空気の中、俺は確認しておくべきことを一つ思い出した。


「鳥路さん、スッシーコラボカフェはいつ行くことになったの?」


「昨日行ったけど?」


「あ、そうなんだ……」


 手遅れだった。いや、良いんだ。にわかが行って空気をおかしくするのも悪いし、そもそも女子三人に男子一人は色々とダメだろ。そして今更気づいたけど、なぜかスシバトル関係の人は女性ばかりだ。男性のスシバトラーは今の所見た事がないし、男性は寿司職人という職に就いている人だけだったような……偶然かな?

 そんなことより今はスッシーだ。 


「行きたかったの? 山本くん、スッシーにそこまで興味なかったよね?」


「いや、そうなんだけど……今になって興味が出たというか……」


 鳥路さんと賀集さんからスッシーがいかに素晴らしいかの話は沢山聞いているけど、実は原作についてはあまり話題になっていない。折角だし原点に還ろう。


「原作って、どんな感じなの?」


 鳥路さんがフリーズする。触れちゃいけなかったか!?


「……今から時間ある?」


 鳥路さんからのお誘い。なんだろう……獲物を見つけた捕食者のような目だ。


「あるにはあるけど……輝理もいるしなぁ」


「構わない。布教は何人いても良い」


「え!?」

「え!?」


 巻き込まれると思っていなかったであろう輝理と声が重なった。布教って言った?


「本屋に行こう」

 

 鳥路さんは丸めたクレープの包装紙を離れた場所にあるゴミ箱に投げ、見事にゴールを決めた。そんなにキラキラした目で見られたら逃げられないな……

 逃げようとした輝理の腕を掴んで俺達は鳥路さんの案内で本屋へと向かった。

 

◇◇◇


 鳥路さんに連れて行かれた本屋で俺達が目にしたのは平積みされたスッシーの原作漫画とポップアップ。スペースを確保して紹介されるぐらいに人気があるのはわかった。一番驚いたのはポップアップに書かれていた文字。


「アニメ化決定って……アニメ化するレベルで人気なの!?」


 コアな層にだけ人気のキャラだと思って舐めていた。時代はスッシーを求めているのか!?


「スッシーって朝の放送枠で大丈夫なの?」


 輝理がそのポップアップを見て訝しんだ。


「輝理、知ってるのか?」


「クラスの男子がスッシー強さランキングで盛り上がってるからねぇ」


 強さランキング? あれ? 俺の知ってるスッシーと同じ話か?

 そういえば格闘ゲームになってるのかスッシー。スッシー?


「多少殺伐とした世界観だけど、描写や表現は全年齢だから安心」


 鳥路さんが太鼓判を押す。このゆるキャラっぽい感じで殺伐な世界観なの? 


「スッシーは旅人で海を渡って色々な島に行くんだけど、その度に事件に巻き込まれるっていうのが大まかな話の流れ」


「そ、そういう感じなんだ」

 

 鳥路さんは至って真剣だ。どうなってんだスッシー……一巻がちょうど試し読みできるようになっているので、手に取ってページをパラパラ捲って流し読む。


「うん? なんか普通に可愛い系の漫画だよね? どこに強さランキング要素あるのこれ」


 のんびりと島の中を進むスッシーの前に理不尽な通行料を要求する恐竜が出てきた。

 スッシーは穏やかに対話で解決しようとしているけど、相手は聞く耳を持たないようだ。

 ……あれ? 急に場面が変わった? 読み飛ばしたか? いや、ちゃんとあってるな。さっきまでの話が無かったことになってるぞ? 待って、なんかスッシーの背中の寿司ネタの色が変わってない? その、邪魔してきた恐竜の色に見えるんだけどその寿司ネタ。スッシー? お前……やったのか!?


「鳥路さん、これ、スッシー……やってない?」


「やったとはどこにも書かれてない」


「その恐竜、ランキング最下位だよ確か」


 賀集さんは可愛いから好きって言ったけど……いや、スッシーは可愛いとは思うけど。ああ、でも、賀集さんはそういえば原作に一切触れてなかったな。 


 ――友達でも勝負は真剣に、手心は不要――


 松風先輩が鳥路さんにそんなことを言ってたのを思い出した。松風先輩は原作勢だ。


「ずっとこんな感じなのスッシーの原作?」


「平和を愛するスッシーが訪れる島で色々な出会いと別れを繰り返すから……大体そう」


 鳥路さん、スッシーは危険だよ。くそ、続きが気になるな……フルカラーでちょっと高いし、もう六巻も出てるのか。


「原作なら貸しても良いけど」


 鳥路さんからのありがたい提案。いや、しかし……


「大丈夫、買うよ。全巻!」


 鳥路さんの表情がパーっと明るくなる。相当嬉しいのだろう。


「五巻読み終わったら感想送って!」


 五巻に何があるんです?


「輝理ちゃんもお願い!」


「え!?」


 油断していたな輝理。俺が読み終わった巻から横流ししてやるからな。

 こうして山本兄妹にゴールデンウィークの宿題が一つ追加されたのであった。

感想・評価をいただけると、執筆の励みになります。


◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ