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第49話 スシガールズホリデー②

前回のあらすじ:

クレーンゲームで大きめのスッシーぬいぐるみをゲットした。


◆◆◆


 大きなスッシーぬいぐるみは鳥路さんのリュックに詰め込まれる事になったが、首長竜をモチーフにしたキャラのため案の定見事に長い首と頭が鞄からはみ出てしまった。スッシーが鳥路さんの背後霊みたいになり、ちょっと面白い姿になっていたのだけど、当の本人である鳥路さんが満足気だったのでそのままクレープ屋に行く事になった。


「本当に妹の分まで出してくれるの? 流石にそっちは俺が出すつもりだったけど」


「寿司代に手をつけずに済んだと思ったら安いもの。任せて」


 鳥路さんが無一文になっていたわけじゃなく安心したけど、普通の女子高生は寿司代でお金を分ける事をしないと思うんだよな。そうこうしていたら目的地であるクレープ屋に到着していた。


「輝理ちゃんは何を頼むの?」


「ストロベリーチョコブラウニー!」


 よく知らんが多分それなりに高そうな名前。

 ……メニューを覗いたらやっぱり他より少し高いやつだった。うちの妹は遠慮を知らんのか。


「山本くんは?」


「……シュガーバターで」


 鳥路さんのために安そうなものを選んだ訳ではない。シンプルなものこそ、その店の力量がわかるというもの。まぁ、俺はクレープ屋のことなんて全く知らんのだけど。


「寿司屋のお姉ちゃんは何にするの?」

 

 妹の鳥路さんの呼び方はこれに固まったらしい。鳥路さんが気にして無いなら別に良いか……


「えびアボカドクリームチーズ」


 軽食かな? クレープは甘いものをイメージしていたけど、そういうのも普通にメニューにあるんだな。しかし、なんだろう。食材から若干寿司を感じるのは気のせいだろうか。

 俺達のオーダーを受け取った鳥路さんは背負ったスッシーと一緒に注文に向かった。お店の人がちょっと笑いを堪えていたのがちょっと面白かった。


◇◇◇


 俺の頼んだシュガーバターはシンプルながらクレープの生地そのものの美味さを味わえる感じで想像以上に美味しかった。バターの風味とかもしっかり感じる事ができて、これはこれで全然アリだと思った。

 ……隣で具沢山のクレープを食べている妹と鳥路さんに比べると寂しいものは感じるのも事実だけど。


「ここのクレープ美味しい! 友達にシェアしなきゃ!」

 

 クリームを口に少しつけた輝理がスマホで自撮りを撮り始める。


「美味しかった」


 既に完食して自撮りする物がない鳥路さん。女子にもいろんなタイプがあるんだなぁと思いました。


「寿司屋のお姉ちゃんは普段何してるの?」

 

 自撮りを終えた輝理が自然に鳥路さんのプライベートを聞き始めた。良いぞ妹。


「本を読んだり、こっちの寿司屋を調べたり……スッシータイマンバトルのランクマッチやったり」


「スッシータイマンバトル」


 思わず復唱してしまった。スッシー、お前、戦うのか?

 椅子の横に置かれた鳥路さんのリュックに住むスッシーは答えてくれない。


「ええっと、北海道ってどんな感じ?」


 妹はスッシータイマンバトルをスルーした。興味ないんだな。


「……札幌は東京とそこまで雰囲気は変わらない。人の量は全然違うけど」


 北海道の方が広いのに人口密度はこっちの方が上だもんなぁ。どんだけ人が詰め込まれてるんだって話だ。


「雪まつりとかあるんだよね。食べ物も美味しいって聞くし……寿司屋もレベル高いの?」

 

 鳥路さんが寿司に強い拘りを持っているのは恐らく北海道にいた時からのはず。俺はそれを確かめるためにあえて寿司の話題を選んだ。


「こっちに比べると鮮度も良いし、回転寿司のレベルも高め」


 鳥路さんが回転寿司で持ち帰りするって言ってたもんな。


「ただ、寿司屋の技術は関東の方が高いと思う……栄寿司や松風鮨は勉強になった」


 栄寿司は松風鮨に並ぶ評価なのか。そう聞くと次行く時は味わって食べないといけないな。


「……一方でレベルの低い寿司を出しながら舐めた態度の店も多い」


 鳥路さんがクレープの包装紙をぐしゃっと握りつぶした。怒りを中心とした負のオーラが鳥路さんから溢れている。


「そ、そうなんだ! えっと、ええっと……」


 妹が話題を変えようとしてくれている。兄として妹の成長が嬉しい。空気を読むって大事なスキルだからな。


「す、好きな男子のタイプは? 同年代で!」


「ちょっ!?」


 輝理ぃ!? どこからそんな話題を引き出したんだ!? よりにもよって鳥路さんに! 気になるけど! 気になるけどさぁ!

 鳥路さんは普段通りの感じでうーんと少し考える仕草を見せる。答えるのか!? 答えてくれるのか鳥路さん!?


「……私より寿司を握れる人?」


 ……


「いないと思うよ」


 率直な意見を鳥路さんに伝えた。

 輝理が残念だったねという表情で俺の顔を見てくる。俺に隠れた寿司の才能があるかもしれないだろ!?

 ……鳥路さんが面食いとかじゃなくて安心した反面、あまりにもハードルの高い条件に項垂れる俺。

 そんな俺の様子を不思議そうに見つめる鳥路さん。


 俺も練習しようかなぁ、寿司……

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◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

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