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第45話 アルティメットブレイジングコンプリートニュートリショナルフードスシドライバー②

前回のあらすじ:

究極爆走完全栄養食スシドライバー! 最強のスシマシンをメイクしてドライブ! ライバルのスシマシンをブレイクしろ!


◆◆◆


 スシマシンのメイク中は仕切りが設けられ、お互いのスシマシンが見えないようになっている。というかギャラリーの俺達も見れない。スシバトルの魅力の一つである作業工程が見れないのは色々とエンタメとして問題がある気がする。


「……何やってるの?」


 司先生が家庭科室に入ってすぐにこの異様な光景にツッコミを入れる。


「スシドライバーだそうです」


 とりあえずこの競技の名前を伝える。


「寿司をこのマシンに乗せてぶつけ合うらしいです」


 賀集さんが手のひらの上で素のスシマシンを先生に見せる。


「……鳥路さんはよく怒らなかったわね」


 確かに。呆れはしていたけどキレてなかった。スシを壊し合う意味不明なルールなんて鳥路さんを怒らせる最短経路なのに。


「とりっじ、轟さんのペースに飲まれているのかも……」


 賀集さんが不安気な表情で鳥路さんの入った仕切りの方を見る。

 そうだとすると結構やばい相手なのか轟さん。


「金星さんが鳥路さんに勝てる相手として轟さんを連れてきたと考えると……油断はできないかもね」


 やる事がなくなって隣に立っている金星さんに視線を向ける。

 それに気付いた金星さんは不敵に笑った。

 

「ふふふ……まともな琴音お姉様が辞めたことでスシバトル部はストッパーが消えてスシバトル狂人の巣窟になってましてよ。覚悟してくださいまし」


 自虐的な脅迫。これすらも序の口だと言うのか……!?


「完成だ!」


 片方の仕切りが投げ捨てられ、中から轟さんが出てきた。その手には長方形の箱……そこに三台のスシマシンが格納されているようだ。

 もう片方の仕切りもゆっくり畳まれながら片付けられ鳥路さんが姿を現す。轟さんと同じように長方形の箱を持った鳥路さん。一体どんなスシマシンを作ったんだ?

 それにしてもこの意味不明なルールにしっかり適応してる鳥路さん。やっぱりこの人凄いなって思った。

 

「よし! 早速一台目からスシドライブだ! 準備は良いな!? 鳥路英莉!」


「いつでもどうぞ」


 二人が持つ長方形の箱の一番と書かれた部分が開かれる!


「これが私の第一のスシマシン! ツナマグロゴールドフラッシュだ! この流線型のフォルムが空気抵抗を減らし、無駄のない高速スシドライブで相手のスシマシンを翻弄するぞ! その運動エネルギーは大トロにも匹敵する!」 


 轟さんのスシマシンは金色のスシベースの上に普通の赤身のマグロの寿司が乗っかったもの。寿司の形状は意外にも綺麗に仕上がっており、轟さんがスシバトラーとして確かな技量を持っていることを理解することができた。何を言っているかは理解できないけど。


「鳥路英莉! 君のスシマシンを見せてくれ!」


「ライトニングスッシーロール。相手は死ぬ」


 ……スッシーのキャラ太巻きが黒のスシマシンの上に乗っかっている。ちゃんとスッシーだとわかるレベルで出来が良く、スッシーの背中に乗っている寿司ネタは本物のマグロが使われている。

 そのクオリティの高さの代償として太巻きはかなりでかく、パッと見スシドライバーのレーンにギリギリ収まるぐらいの大きさ。つまり、スシマシンの皿よりも大きい太巻きなのだ。


「な!? 何だそれ!?」


 轟さんは想定外の寿司が出てきて驚いている。


「ライトニングスッシーロール」


 鳥路さんは感情のこもっていない声で名前を復唱した。


「くっ……だが! 私のゴールドフレームならそんな卑怯なスシマシン簡単に打破できるはずだ!」


 鳥路さんと轟さんのスシマシンの色が違うのは気になっていたんだよな。


「金星さん、なんか色で性能違うのアレ?」


 賀集さんが聞いてくれた。


「ゴールドの方は黒に比べるとわずかに重く、モーターも高性能ですわ」


 ……どこが正々堂々だよ!?


「ちょっと轟さん!? マシンに性能差あるのズルくない!?」


 真っ先にクレームを入れる。


「うっさい! 私は覚醒スシドライバーだからゴールドフレームが使えるの! 初心者の鳥路英莉が使えるわけないでしょ! わかったか!」


 くそ! このホビー女子、卑怯だぞ!?


「さぁ鳥路英莉! スシマシンをレーンにセットしなさい! 開始の合図は覚えてるわね!?」


「問題ない」


 鳥路さんと轟さんがレーンの指定された場所に背中を合わせるように立つ。


「セット、レディー、スシドライバー……」


「ゴー!!」


 轟さんの合図で二人のスシマシンがレーンに放たれる! ちなみに鳥路さんは一言も合図を口にしなかった!


「ああ!? 轟さんのスシマシンめちゃくちゃ速い!」


 むしろ鳥路さんのスシマシンが積載量の関係で遅い感じもする。


「ひゃっはー! これがゴールドフレームの力! ツナマグロゴールドフラッシュの力だああああ! いっけええええ!」


 ホビー漫画の主人公とは思えない調子で轟さんが叫ぶ。加速する轟さんのスシマシンが鳥路さんのスシマシンに急接近! 激突する!



 吹き飛ぶツナマグロゴールドフラッシュ!

 

 寿司ネタとシャリが空中分解して飛び散る! 


「うわああああ!? 私のツナマグロゴールドフラッシュがああああ!?」


 多少ゴールドマシンが速かろうが重かろうが、鳥路さんの太巻きの方が圧倒的に重い。普通に考えて吹き飛ぶのはそっちだよな……

 鳥路さんのスシマシンはほぼ無傷でレーンを走り続けている。鳥路さんは死んだ目で自分のマシンを見つめている。


 ……俺達は何を見せられているんだ?

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◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

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