第205話 カースドツインズスシナイヴズ前編⑤
前回のあらすじ:
白蛇継承スシバトルはついに最終戦へ……
◆◆◆
「継承戦! 決勝の時間だー!」
司会者の声で盛り上がるギャラリー!
継承戦を勝ち残った二人、しかもそれぞれが白蛇と黒鷲の所持者。この盛り上がりは当然かもしれない。まぁ鳥路さんは暫定なんだけども……
「審査員は引き続き、寿司王の勅使河原さん! 料理研究家の斉藤さん! 寿司系ストリーマーのシメサバキャットさんの三名です! 拍手!」
会場全体から拍手が聞こえる。もはや会場の気持ちが一つになっている気がする。
鯖江さんの頭に「?」が浮かんで見えるのは気のせいだろう。
「決勝の舞台に上がったのはこの二人! まずは継承戦の中で白蛇に見初められ、ますます注目度の上がる女子高生! 鳥路英莉さん!」
湧き上がるギャラリー!
鳥路さんは表情を変えずに拳を突き上げる。そういうパフォーマンスはどこで覚えたんだろう……
「対するは黒鷲の所持者にして、白蛇の継承も狙う謎多き狐面! イナリスカウトさんだぁ!」
同じような盛り上がりを見せるギャラリー!
見た目の怪しさ以上に高い技術でギャラリーの心を掴んでいるようだ。
「大人と子供の対決か……流石にあの狐のお面が勝つんじゃねぇかな」
「いや、でも白蛇に認められてる女の子だろ? わからないぜ」
「ここまで来たら強い方が勝つ。それだけね」
聞こえてくる声も二人に期待するものが多い。
通常のスシバトルなら俺も両者がんばれで終わるんだけど、二つ揃えば死ぬとか言われている呪われた包丁を賭けたスシバトルだ……鳥路さんには絶対に勝ってほしい。
「とりっじー! がんばれー!」
「ファイトですわー!」
賀集さんと金星さんも応援に力が入る。
「……二人とも志苑と何を話してたの? 機嫌は良さそうだし、悪い事にはなっていないと思うんだけどさ」
見守るつもりだったけど、気になるものは気になる。
「乙女の秘密に踏み込むのはタブーだよ山ちゃん」
「そうですわ。そんな事だから鳥路さんに頭突きされるんですわよ」
「ええ……ごめん……」
なんで俺がディスられてるんだろう……でも二人の言いたい事はわかるし、これ以上はやめておこう。観客席では笹垣姉妹が並んで座っているみたいだし、聞く事自体が野暮だったな。
……桐谷さんが笹垣姉をいじって苛立たせてるように見えるのは見なかった事にしよう。いつの間に戻って来たんだ。
「心陽の奴……寿司圧が漏れてるわね。マジで勝ちに来てる」
司先生には何が見えているんだ。
「司先生、寿司圧って何ですか?」
「寿司を握る人が持っている独特の気配とかそんな感じ? スポーツ選手が持っている、こいつは強そうだなって雰囲気みたいなものかしら」
わかるようなわからないような……佇まいとか、寿司に特化した体作りとかそんな感じ?
「鳥路さんの寿司圧ってどんな感じなんです?」
「……火、いえ、水?」
お湯? いや鎮火してない?
……やっぱりよくわかんないな、寿司圧。
「継承戦決勝、準備が整ったところで、ルールの説明をしたいと思います! 勅使河原さん! よろしくお願いいたします!」
ステージ上の司会者が寿司王にマイクを手渡す。
「ごほん……決勝は二本先取の最大三戦で行う! 勝敗は引き続き三名の審査員からより多くの票を集めた方の勝ちとする! 鳥路くんとイナリスカウトくん! 白蛇の継承者に相応しい寿司を握ってくれる事を期待しているぞ!」
寿司王の激励に会場が再び盛り上がる。
「勅使河原さん! ありがとうございます! それではいよいよ一品目のお題の発表です! 画面に注目!」
会場の大型モニターに注目が集まる。
表示された魚は……! なんだこの長い魚。
「太刀魚だー!」
司会者の答え合わせと同時に湧き上がるギャラリー!
太刀魚ってこんな感じなんだ。昔の人は良い名前を付けるなぁ……
二匹の太刀魚が鳥路さんと心陽さんのスペースに置かれる。
見た目だけだと鮮度に差はなさそうだ。粕田もいないし、変な事をする人もいないだろうし。
「制限時間は30分! それでは、始めてください!」
司会者の開始宣言! ついに決勝が始まった!
緊張感もあるけど、それ以上に鳥路さんと心陽さんがどんな寿司を握ってくれるのかとワクワクする。俺はカメラを取り出し撮影を始めた。
ここから先はハイレベルなスシバトル……フレベの奴に追加報酬を貰った方がいいかもな!
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こちらの作品はカクヨムからの転載版です。




