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スシ=エリ・トリジ〜寿司を愛する少女〜  作者: シャコヤナギ
カースドツインズスシナイヴズ
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185/218

第185話 サクセッションスシバトルクオリファイア③

前回のあらすじ:

鮮度が悪く食中毒案件のイワシを握った参加者は全員失格。


◆◆◆


 大胆な足切りによって、予選の一発目から参加者が激減した会場。今は次のお題の準備が終わるのを待っている状況。


「残っている参加者はやはり手練ばかりのようね……」


 司先生が参加者の腕前を分析する。見ただけでわかるのだろうか……寿司圧?

 係員の人達が参加者のテーブルから離れていく。始まりそうだ。

 テーブルの上には布が被さった食材……なんか丸いな。


「さぁさぁ! 準備ができたようです! 今回は目の前にある食材を使って三貫握って頂きます! 評価は審査員三名で、最大三十点となります! 調味料については前のテーブルに置かれているものを自由に使っていただいて結構です!」


 司会の女性が言うように、ステージ下のテーブルには色々な調味料が置かれている、マヨネーズとかもあるけど……使うのか?


「制限時間は15分! では、カウントダウンしましょう!」


 イワシに比べるとかなり余裕がある時間だ。審査員の審査もあるし、今度はまともに握る感じだろう。


「3! 2! 1! 始めてください!」


 再びブザーが鳴り、参加者が布の下にある食材を確認する!

 赤くてデコボコした丸い何か……食えるのか?


「ホヤ!? ホヤですの!?」


 金星さんが驚きながら食材の名前を言ってくれた。ホヤか!

 ……食べた事ないな。


「司先生、ホヤって美味しいんですか?」

 

 素直に司先生に聞くのが一番だ。本来なら英語の先生なんだけども。


「甘味、塩味、酸味、苦味、旨味を併せ持つ、唯一の海産物と呼ばれているわ。実際はかなり癖の強い食材ね。私は好きよ」


「私は苦手だなぁ……」


 賀集さんは苦手なのか。色々な味を持つ、癖の強い食材……変な食材が来たなって感想だ。

 鳥路さんは早速イボみたいな部分を切って水分を吐き出させている。他の人もそんな感じだし、調理方法に問題はなさそうだ。鳥路さんは容器を分けて、別のイボから水分を出しているように見える。

 鳥路さんが包丁でホヤを切ると、中には鮮やかなオレンジ色の身が詰まっていた。皮はどう見ても食べたくない見た目なので、食べるのはこっちだろう。とはいえ、汚れが多いようで、鳥路さんは包丁の背でぬめりと一緒にこそぎ落としている。

 汚れが取れたら用意されたペットボトルの水でホヤの身を軽く洗い、キッチンペーパーで水分をしっかり取り始める鳥路さん。イボを切った時に水が噴き出ていたし、水気の多い食材なんだな。

 十分に水気を取ったら、鳥路さんはホヤの身を寿司ネタサイズに切り分ける。そろそろ握りに入れるか……? 


「うおおおお! 手が滑ったああああ!」

 

 参加者の男性が叫びながら、出汁入りのポン酢の中身を全力で捨てていた。何やってんだ。


「テメェ! 何してくれてやがる! 共有資産だろ、それは!?」


「へっ! 早い者勝ちだぜ! ホヤと言えばポン酢! 俺の一人勝ちだ!」


「他メーカーのポン酢が残ってるぞ」


「よこせ! 俺のポン酢だぞ!」


 醜い争いが起きている……いや、そういう勝負なのか?

 鳥路さんはゆっくりと歩いて、調味料を奪い合う連中を無視して、山積みにされているレモンと緑のやつ……たぶん酢橘すだちを手にして自分のテーブルに戻っていく。涼葉さんや紫さんも同じような食材を選んでいるな。


「……とりっじ、さっきホヤが出した水を入れた容器に果汁絞ってない?」


 賀集さんがそう言ったので、鳥路さんの手元をよく見てみる。

 そんな気がする……大丈夫か?


「心配ないわ。鮮度の良いホヤのようだし」


 ニヤッと笑う司先生。大丈夫らしいけど、答え合わせはまだしないようだ。

 下手に観客席で何か言うと、それに気づく参加者がいるかもしれないし、仕方ないか。

 鳥路さんはホヤに飾り包丁を入れ終えると、ついに握りの工程に移る!


「うお、あの子の握り方、めっちゃ様になってるな!」


「今時本手返しとかどこで学んだんだ?」


「見事な寿司だ。残ってる職人は全員そうかもしれないが……あの若さでこのレベルとは……」


 ギャラリーから聞こえる賞賛の声。身内が褒められると悪い気はしない。

 俺も何か褒められるような技能を身に付けたくなってきた。褒められたいとかではなく、将来のためにね?


 三貫を握り終えた鳥路さんは、先程混ぜ合わせた調味料をハケを使って寿司に軽く塗る。格子状の飾り包丁のおかげで液だれせずにうまく味付けできているように見える。

 涼葉さんと紫さんも制限時間内に握り終えている。笹垣姉もそうだけど……寿司の上に乗っているのは琥珀色のゼリー……もしかしてポン酢のジュレか? そんなのもあったのか。この感じだと、笹垣姉は真っ先に調味料を取りに行った感じかな。


「終了です! 手を置いてください! これより、審査員が各自のテーブルに向かって審査をします!」


 ついにいつもの味勝負のスシバトルか! この規模は初めてだけど……鳥路さんなら大丈夫! 絶対に予選突破できるはずだ!

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◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

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