表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スシ=エリ・トリジ〜寿司を愛する少女〜  作者: シャコヤナギ
カースドツインズスシナイヴズ
116/174

第116話 ジャパンスシインサルトアソシエーション②

前回のあらすじ:

自称真実の大鷲ことフレベの協力で寿司罵倒協会のターゲットになるお店の場所を知った鳥路と山本。果たしてどんな寿司を握るお店なのだろうか……


◆◆◆

 

 日本寿司罵倒協会。

 スシバトルの前身となる寿司罵倒を冠している事以外ほとんど何もわかっていない組織である。スシバトル部を利用して神奈川の寿司屋を襲撃し、自分達の利益に繋げようとしていたあたり、ろくでも無い集団である事に違いはないだろう。

 それに、俺と鳥路さんが初めて寿司罵倒協会と接触したのがイナリスカウトを名乗る怪しい女の襲撃だった事もあり、二人とも寿司罵倒協会に良い印象は全く持っていない。

 禄でも無い連中の禄でもない計画が目の前で起きようとしている……鳥路さんが行動するには十分な理由だった。


 バス停を降りて、フレベが教えてくれた道を歩いて五分程度の場所に福福寿司はあった。観光地の五稜郭公園からも近く、立地は結構良さそうだ。外観は高級店という感じではなく昔からある寿司屋って雰囲気。

 神奈川にある鳥路さんの行きつけのさかえ寿司に似ているかもしれない。


「五点満点中、三点ぐらいのお店のようですね! 私は食べた事ありませんが参考までに! 面白い話になったら呼んでくださいね!」


 そう言ってフレベはアプリの画面に離席中の看板を立ててどこかに消えてしまった。AIに離席とかいう概念は必要なのか……?

 鳥路さんはスマホを鞄に仕舞い、お店の扉に手を掛ける。が、そこで止まる。


「……山本くん、今更だけど……寿司ばかりで大丈夫? 函館ってローカルチェーンのハンバーガーのお店とか有名なんだけど」


 ホテルの朝食と先程の学食以外確かにずっと寿司である。


「初めから毎食寿司のつもりだったから気にしないで!」

 

 鳥路さんが寿司巡りを目的にしているのはわかっているので覚悟の上である。

 今日一泊して明日の昼前には函館を出る事になる。明日の昼食か、お腹が空いていたら夜食にハンバーガーとかも悪く無いかもなぁ。


「……ありがとう。よし、入ろう」


 今は目の前の寿司だ。寿司罵倒協会に狙われるという事は本当に美味しく無い可能性もあり若干の不安はあるけど……

 

「いらっしゃいませー! 二名様? カウンターで良いかい?」


 鳥路さんが扉を開けると元気な声で出迎えられる。これだけで好印象になるのだから俺はちょろい客である。


「二名で。カウンターで大丈夫です」


 鳥路さんが答える。


「空いてる席にどうぞ!」


 ご主人と思われる男性に案内されカウンター席に座る。テーブル席にはスーツ姿のおじさん達が昼から寿司をさかなにビールを飲んでおり、お座敷の方では大学生っぽい人達が片側に寄って座り他の人を待っている感じだった。

 他の店員さんはカウンターに男性がもう一人、服装的にフロア対応中心の女性が一人と少ない人数で回している感じのようだ。

 それでもカウンター席はしっかり清掃されており、この店が当たりである事を予感させてくれる。


「二人は観光かい? どこから?」


 ご主人とは気さくに話しかけながら、おしぼりとお茶を俺達に差し出してくれた。


「神奈川から来てます。今日は未来大学のオープンキャンパスの帰りなんです」


 鳥路さんは手を拭き終わるとメニューを手に取り集中してしまったので代わりに俺が答えた。


「へぇ! 随分遠くから! おじさんも頑張って握らねぇとな!」


 豪快に笑うご主人。メニューと陳列された寿司ネタを凝視する鳥路さん。愛想笑いする俺。

 昨日もこんな感じだったな……!


「イワシを一貫ずつください」


 鳥路さんがイワシを注文! 事前に注文は鳥路さんにお任せする事にしている! 別に食べたいものを頼んで良いとは言われてるけどね!


「あいよ!」


 パァンと手を叩いて握りの準備に入るご主人。気合十分だ。

 ご主人はガラスケースから下処理済みのイワシを取り出し、寿司ネタサイズに切り分けていく。脂が乗っていそうなイワシだ。

 なんか……デカくないか?


 シャリを手に取り寿司ネタと合わせていく。ご主人の握り方はかなり様になっている。手慣れているし、握る速度も速い。鳥路さんのような華麗さは無いけれど職人の技を確かに感じる握りだ!

 そしてカウンター席のそれぞれの寿司ゲタのに完成したイワシの寿司が置かれる!


「で、でかい……」


 思わず声に出てしまった。シャリが寿司ネタに隠れて見えないぐらい豪快なイワシの握りだ。長さだけならシャリの二倍ぐらい長い!


「頂きます」


「い、頂きます」

 

 鳥路さんはその寿司の大きさに動じない! 北海道だとこれぐらいが普通なのか!?


 俺も今更冷静を装って、重力で両端が垂れ下がる寿司に苦戦しながら醤油を付けて少し強引に口の中に押し込む。


 刺身を食べたかのような存在感のイワシと確かに存在するシャリが不思議と調和して、口の中で完成していく。生姜と小ネギも臭み消しでは無く、薬味としてイワシの魅力を引き上げている。これは……!


「美味い!」


「美味しい」


 鳥路さんの口角も僅かに緩む! この寿司屋は……当たりだ!

感想・評価をいただけると、執筆の励みになります。


◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ