違和感
―レイナはかわいいからな。誘拐に遭ってもおかしくない。でも夜中に出歩いて誘拐なんて。
そう思索を巡らせて通学路を歩いていると
「よっ! サトルっ!」
僕が後ろを振り向くと、マコトが駆け足でこっちに近付いてくるのが分かった。
「じゃ、後で」
と、一緒に歩いていた複数の友に声を掛け
「あれ、どうしたん、サトル。いつもなら『こっちくんな!』とか、振り向きもせずに無視するのに」
少し心配そうにマコトが言う。
「マコト、朝のニュース見たか?」
「え? 見てないけど、どしたん?」
「レイナが行方不明だって」
「レイナ?」
マコトが怪訝そうな面持ちでそうつぶやく。
「ん?」と、僕がとっさに返すと
「レイナって、誰? うーん、そんな友達いたっけ?」
「おいおい嘘だろ。お前中学の時一緒だったろ。俺は転校しちゃったけど。」
驚きで無意識に足を止めてしまった。
「うーん、すまん、思い出せないわ」
―二年も経てば忘れるのが普通なのか? いや、流石に忘れないと思うけど、マコト位いっぱい友達がいるなら、あるいは……いや、多分そうなんだろう。
と、勝手に納得して
「お前はやっぱり記憶力ないな。ニワトリって言われてるだけあるわ」
僕はマコトをからかうようにそう言うと、マコトは僕がいつもの調子に戻ったのに安心したのか、少し笑ってこう返す
「誰がニワトリだよ! ってか、ハラガミの新キャラ見た? デザインめっちゃ好きなんだよね。―」
僕は少し心に感じていた違和感も気にせずに、日常へと身を沈めていった。




