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傘から始まる恋物語  作者: 霊璽
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第88話 夏の暑さと店の涼しさ

 2人で家から出てひとまず何も相談せずに並んで歩きだす。

 昼前ということもあり日差しが強く、肌をじりじりと焼いていく。暑い。

 「それでどこに行くかは決めているのか?」

 歩きながら星乃の方を見る。ただ彼女は麦わら帽子をかぶっているいるので顔はよく見えない。

 「……それが何も決めていないんです。今までは夏休みに誰かと会うことがあまりなかったので」

 「あまりってことは何度かは会ったりはしていたんだろ。その時は何をしていたんだ?」

 「前に行ったときは図書館で一緒に勉強をしていました。ただ勉強が終わったらそれで解散だったので遊んだことはないんです」

 「そうか。まあ俺も人に言えるほど夏休みを誰かと過ごした記憶はないしな。強いて言えば毎年晴翔と遙に連れられて海とかキャンプに行ってたくらいか」

 「楽しそうですよね……」

 何か憧憬の念を感じる言葉だった。

 「今年は星乃も行くんだろ? だからまあ、そのなんだ。一緒に楽しめばいいだろ」

 「……そうですね。そうですよね。ありがとうございます!」

 こちらを向いて満面の笑みを向ける。夏という季節のせいなのか、暑さで少し赤くなった頬が妙に色っぽく、夏の日差しできらきら輝いて見える。

 しばらく他愛のない話をしていると駅まで来ていた。あまりにも太陽が攻撃的なので日陰へ避難する。

 「駅前には着いたけど、どうするか」

 「そうですね……」

 2人で悩んでいると孝也の腹の虫が音を立てた。腕時計を見ると11時を少し回ったところだった。

 「そういえば朝飯くってなかったな」

 起きてからバタバタしていたせいで何も口にしていなかった。

 「先にお昼ごはんにしますか?」

 「星乃はいいのか? まだ昼っていう時間でもないだろ」

 「私もちょうどお腹が空いてきたので行きましょう」

 「ありがとな。場所はそうだな……」

 「三河さん、三河さん。少し歩いたところにショッピングモールがあるのでそこに行きませんか?」

 「確かにあそこなら何かしらあるよな」

 ショッピングモールまでは大して時間はかからず、少し歩いたところにあった。

 中に入るとガンガンに効いた冷房が体を冷やしていく。ここに来てしまったら外には出たくなくなってしまう。

 「涼しいな」

 「少し肌寒いくらいですけど」

 星乃が苦笑いをしながら言う。2人でフードコートを目指して歩く。

 日曜日ということもあって人通りが多い。

 途中でやっていたイベントを横目に通り過ぎようとすると星乃が気になって立ち止まり、大道芸に食いついたりしながらフードコートに辿り着いた。

 「何か気になる店はあるか?」

 「こんなに沢山あるんですね。どうしましょう、目移りしてしまって……」

 星乃は案内図を見ながら悩んでいる。

 「まあ、星乃が気になるところでいいと思うぞ」

 「それなら、ここにしませんか?」

 彼女が指をさしたところはMから始まるとても有名なハンバーガーショップだった。

 孝也は頷くと2人で店に行き、注文を済ませる。商品を受け取り席を探す。

 しかし昼時ということもあって多くの人がいたが、偶然目の前で2人組が移動したので、なんとか2人分の席を確保できた。

 あたりを見渡しながら驚いている星乃。

 「すごいですね。ショッピングモールってこんなに人がいるんですね」

 「まあ、日曜ならいつもこれくらいかもな。それよりも早く食べよう。かなり腹ぺこだ」

 「ふふ、そうしましょう。それでは」

 2人とも手を合わせる。

 「「いただきます」」

 孝也は勢いよくかぶりつく。久しぶりに食べるジャンクフードはかなり美味い。

 星乃は上品にその小さな口で一口ずつ食べている。

 「美味しいですね!」

 目を輝かせて、食べる彼女の姿は微笑ましく感じる。小動物見ている時にも似た庇護欲のようなものを感じる。

 ハンバーガーやつけ合わせのでポテトを食べ終え、ジュースを飲みながらゆっくりする。

 「そういえば、あまり来たことないような感じだよな」

 「はい。場所とか何があるかとかは少し知っていたのですけど来る機会がなかったんです」

 「その感じだと、星乃って学校でかわいいとか美人とか女神とか言われてるし、放課後とか結構誘われてそうなイメージがあるけど、実際にはそんなに人と遊んでないんだな」

 「それは主に誘われるのは男子の方が多いので。女子の友人もいるにはいますが、彼氏さんがいる方なので邪魔にならないように向こうから誘ってこない限り私から誘うことはあまりないです」

 孝也の言葉に少しムッとしたようで、少し怒っているような口調になった。

 「そうなのか、優しいんだな」

 「そういうわけではありません。声をかけていい時がイマイチわからないんです……」

 「そうなのか。まあ俺も友人と呼べるやつはそんなにいないから助言らしい助言はできないが」

 孝也は少し考えて自分派どうしていたかを思い出す。ただ自分自身も声をかけるよりかけられる方が多かった。

 「まあこちらの用事を気にせずに普段向こうから声をかけているんだから、星乃も気にしなくていいんじゃないか」

 「迷惑じゃないでしょうか?」

 「大丈夫だろ。もし提案した日が駄目なら別の日で約束すればいい」

 「そうですね。やってみます!」

 星乃のちょっとした悩みを解決したあとはショッピングモールを見て回った。

 星乃が沢山ある洋服店を全部見たいと言って1店舗ずつ入り始めた時は流石に焦った。

 「また来よう」と言ってなんとか彼女を止めたが、不服そうに頬を膨らませていた。

 ふと腕時計を見ると時間は18時を過ぎていた。

 「もうこんな時間か。流石にそろそろ帰るか?」

 「そんなに経っていたんですね。建物内だとわからないのです。」

 星乃は、はにかみながらも少し名残惜しそうにしている。

 「また来ればいいだろ。夏休みはまだ長いんだからな」

 「そうですね。少し寂しいですが……。またお誘いしてもいいですか?」

 「まあ構わないが。その時は遙と晴翔も呼ぶか」

 「いいですね。楽しみです!」

 2人は次の予定を話しつつ帰路に着く。 星乃を家の前まで送る。

 「今日は楽しめたか?」

 「はい。急にお誘いしたのに、来てくださってありがとうございました」

 「それじゃあ、またな」

 「三河さんもお気をつけて」

 自分の家に向かう道中、赤く焼けた空を見ながら今日のことを思い出し、少し気分が上がっていた。

お久しぶりです。

霊璽です。

全く書いてなかった小説ですが、久しぶりに投稿しました。

めっちゃ書き振りが変わってると思いますが、そこはご愛嬌ということで……

不定期ですが更新はしていきます

また次回でお会いしましょう

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