↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傘から始まる恋物語  作者: 霊璽
75/93

第73話 人気者には人が集まる

 クラスメイト全員に結果用紙が渡され担任からの補修について案内がされる。

 補修の案内とか孝也にとってどうでもいいことだったので寝て過ごすことにした。といっても大した時間はなく、10分程度しか寝れなかった。

 チャイムに起こされ窓を見ると陰鬱な雲が空を覆い、バケツをひっくり返したような雨が降り注ぎ、雲間を高速で稲光が走り去る。

 「傘持ってきてなかったな……」

 体を起こしながら呟く。所謂ゲリラ豪雨というもので朝の天気のニュースでは予報されなかったことだ。まあすぐに止むだろう。どうせ、今日はすぐには帰れないのだから。

 ぼーっとしているとポケットにあるスマホが振動した。取り出すと星乃からだった。

 『そちらに行ってもいいですか?』

 その文面を見て孝也は少し口角を上げる。わざわざ確認を取る必要なんてないだろと思い返事を送る。

 『構わないぞ』

 すぐに既読が付いたかと思うと教室の出入り口にいた生徒がざわつき始めた。それだけで誰が来たのか良くわかった。

 「あ、星乃さんじゃん!」

 遙が気がつくと叫びながら彼女の方へ向かっていく。ただ人気があるのは確かなようで周りの有象無象に話しかけられるが嫌な顔ひとつせずに優しい笑顔で1人ずつ丁寧に返事をしている。良く見ると他クラスの生徒まで集まって来ている。

 星乃は遙の姿を見つけるとなんとか遙に近づき、軽い談笑を始めた。

 「星乃さんっていつもすごいよな」

 遙に置いていかれ、1人になった晴翔が人混みの方を見ながら近づいてくる。

 「そだな」

 「全然興味なさそうだな」

 返事はしたが、そちらとは反対の窓の外を気怠そうに見ている孝也に晴翔は苦笑いしている。

 「あんな外面見たって何がいいんだか。人間ってのは中身がどんな色してるかだろ」

 「………」

 何も言ってこないことに違和感を覚え、晴翔の方を見ると口を開けて亜然としている。その顔が少しムカついた。

 「なんだよ」

 「いや、お前がそんなこと言うなんてな。ちょっと意外だった」

 「うるせぇ。俺だって人のことは見てる」

 孝也がそう言うと晴翔を顎に手を当てて、何かを考え始める。この仕草をしている時に晴翔は特に核心をついたことを言う。晴翔が1番危険な時だ。

 「なるほど。つまり孝也は星乃さんの外面よりも内面に惹かれていると」

 指をパチンと鳴らし、犯人を言い当てる探偵のように指をさす。どうだ? 当たっただろ、とでも言いたそうにドヤ顔をしている。

 「はあ、全く、遙といいお前といいなんですぐにそっちの方向に持ってきたがる」 

 頭を抱えて警戒していた自分への呆れでため息を吐く。

 「え、違うのか?」

 自分の推理が外れたことに驚いているのか、晴翔は間抜け面を披露している。

 「違うかどうかって聞かれてもな……。イマイチそういうのがわからないからなんとも言えないな」

 「ふうん。ま、人のこともいいけどもっと自分のことにも興味を持て」

 「自分のことなら……。いや、わかった」

 自分が1番わかってる、そう言いたかったが晴翔の態度から察するにどうも違うらしい。また、思い込んでしまっていたようだ。自分のことも人のことも勝手に決めつけ、思い込んでしまう。そんなことだから……。

 「……!」

 嫌な過去が心の奥底から一瞬飛び出してきたが、頭を振ってどうにかこれ以上出てこないように掻き消す。

 違うことを考え、完全に消そうとしているとちょうど遙が星乃を連れて孝也の元へ近づいてくる。

 「ヤッホー、星乃さん連れてきたよ〜」

 「こんにちは」

 「ああ」

 先程までの笑顔とはまた雰囲気が変わって柔和で愛らしく微笑む。本当に嬉しそうに笑っている彼女に心臓が高鳴る感覚になった。

 そしていつも通り星乃と話している孝也にクラスメイトからの嫌味が聞こえてくる。

 「由紀さんはどうしたんですか?」

 辺りを見渡しながら星乃が訊ねてくる。それには晴翔が答えた。

 「松原さんならさっき担任に呼ばれて何か手伝いに行ったよ」

 「そうなんですか。ならまだ結果は出てないんですよね?」

 首を傾げている星乃の問いかけに答える。

 「まだだな。どうせなら証人は多い方がいいし、松原が来たら東海林のところに行こうか」

 孝也の提案に3人は頷く。そしてその時は意外とすぐに訪れた。

 「あれ、なんでこんなに人がいるんだろ?」

 松原がそんなことを言いながら教室の外で背伸びをして覗いている。自分のクラスなのに入れないことに少し困惑している。

 「あ、由紀ちゃん来た! はいはーい、みんな邪魔だよー。退いて退いて〜」

 松原を見つけた遙が教室の出入り口に固まった他クラスの生徒を退かして彼女を教室に入れる。

 「遙ちゃん、ありがと〜。いや、入れなくて困ったよ〜」

 笑いながら遙に感謝を述べている。確かにあの人混みを掻き分けるのは苦労しそうだ。

 「証人が全員揃ったな。それじゃあ行くか」

 引き出しから紙を取り出して席を立つ。

 教室の後ろにいる東海林はいつものメンバーで孝也を睨んでいる。

 「それじゃ、この面倒なことを終わらせようか」

 彼の前まで行くと珍しく笑顔を見せる。と同時に激しい雨と同時に雷鳴が轟く。

第73話を読んでいただきありがとうございます。作者の霊璽です。

この間、日別PVが300を超えました! ありがとうございます♪

色んな方に読んでもらえて嬉しいです!

それではまた次回、お会いしましょう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。