第62話 テスト2日目
テスト二日目。今日はいつもよりも早めに家を出た。
窓から朝日が射し込む静かな教室が好きな孝也は、誰もいないであろう時間に学校に向かった。
学校に着き、教室のドアを開けると案の定、まだ誰も来ておらず教室はシーンとしていた。
カバンを机の上に置き、両手を組んで上に伸ばす。少し体をほぐしてから孝也は椅子に座った。
カバンを枕がわりにして頭を乗せる。テスト2日目の科目を思い出す。確か教科は数学II、化学、物理という理系コンボだったはず。
満遍なくできる孝也は苦手な科目とかはなかった。そもそも勉強をすること自体が嫌いなのだが。
しばらくは誰も来ないだろうと思い、頭をカバンに乗せまま孝也は目を瞑った。
その瞬間、教室のドアが開かれて誰かが中に入ってきた。
まあ、このクラスでも話せるのは数人。孝也は誰が来たとしても挨拶も殆どしないような人の方が多い、そして話せる人はこんなに早く来るはずがないだろうと思い、顔を上げることはしなかった。
しかし足音は段々と孝也の方へと近づいてくる。そして孝也の目の前であろうところで止まった。
「おはよう〜、孝也くん」
その声を聞いて目を開け、顔を上げた。そこには松原が立っていた。
「なんだ? 珍しく早いじゃないか」
光の宿っていない目で彼女を見つめて問いかける。
「そうかな? テストの時はいつもこのくらいの時間には来てるよ」
「ふーん、そうか」
聞いておいて孝也は特に興味なさそうに返事をする。ただそんな孝也の態度は気にしていない様子の松原。そして何かを思い出したように話を続けてきた。
「あ、あの孝也くんにお願いがあるんだけど……」
松原はしおらしく両手を組んでモジモジした姿で聞いてくる。彼女の急変する態度にはいつまで経っても慣れない。
「なんだ? 聞くだけ聞いてやる」
「ありがと! それで私ね、これから最後の復習をやるんだけど少しだけ手伝って欲しいなって。どうかな?」
嬉しそうに笑いながらも少し緊張したような面持ちだ。
孝也はふと、時計を見る現在時刻は7時30分。大体、テストの日に早く来る生徒でも8時くらいだろう。
どうしようか考えたが、孝也も暇だったので首を縦に振る。
「わかった。ただ、席を移動するのは面倒だからお前がこっちに来い」
「うん! いいよ」
孝也の承諾を聞いて嬉しそうに太陽のような眩しい笑顔を見せる。星乃とはまた別の意味で愛らしい笑みだ。
松原は孝也の席の隣に来ると2人だけの勉強会が始まった。終始松原の顔が少し赤かったような気もしたが、よくよく考えると孝也といる時は大体、顔が赤いので気のせいだろうと思った。
たまに魂が抜けたように虚空を眺めている時もあったが、彼女曰くなんでもないそうだ。
しばらく2人で勉強をしていると教室のドアをが開かれ、続々と生徒が入ってくる。そこには煩い二人組もやってきた。
「あれ!? 2人で何勝手に勉強してるの! 朝もやってるなら私たちも誘ってよ」
教室に入ってきて早々に遙が叫ぶ。後ろから歩いてきた晴翔が遙に何か耳元で囁いている。
「……そんなことするとせっかく孝也と2人きりになってる松原さんの邪魔することになるよ?」
「あ、そっか! ごめん、たかちゃん。今言ったことなしで!!」
顔の前でバチンッと両手を併せて頭を下げる。
晴翔から何を言われたのか大方想像がつくが、ひとまず聞こえなかったふりをしておこう。
「わかった。まあ、別にお前らの事情なんかどうでもいいしな」
「それはそれでひどくない!?」
「煩いな。お前らもさっさと勉強しろ」
「分かってるよ。孝也も手取り足取りしっかりと松原さんに教えてあげろよ」
そういうと晴翔と遙は自分の席に向かった。
「じゃあ、再開するか……おい、大丈夫か?」
「……え? あ、うん。大丈夫だよ。あははは」
顔を先先程以上に真っ赤にして返事をし、乾いた笑いをする松原。多分だが、晴翔が最後に言ったことが彼女をおかしくさせたのだろう。
全く傍迷惑な奴だ。
そんな状態の松原と復習を終えて、テスト二日目のチャイムが学校中に響き渡った。
第62話目を読んでいただきありがとうございます。作者の霊璽です。
次回でテスト三日目です。テストまでの間はめちゃくちゃ長かったのですが、いざテスト! となると短いものですね。まあテストが終われば夏休みなのでそこを頑張っていきましょう!
気づけば現実は夏休みが終わりそうな学生ばかりですが……
この小説ではこれから夏休みです! 多分あと5話くらいはかかるでしょう! それ以上延びるかも
そうなった時はそうなった時に解決しましょう
それではまた次回、お会いしましょう




