↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傘から始まる恋物語  作者: 霊璽
62/93

第61話 テスト1日目

 朝のホームルームで先生からのテストを受けるにあたっての注意事項を何度も言われる。2年生になった今、何回も言わなくてもいいのでは? と密かに感じていた。

 ホームルームが終わり、テスト開始まで残り10分となった。教室の中は一層騒がしくなっていた。今更ながらに周りの人にテスト範囲を聞いている者。余裕があるのか、友人と話している者。誰がちゃんと勉強をしてきたのかが顕著に現れていた。

 孝也はカバンからプリントを取り出し、改めてテストの日程を確認する。今日のテストの科目は現代文、地理、英語だ。

 喧騒に塗れていた教室も5分前には皆、席について静まり返っていた。

 遂にその時がやってきた。チャイムの音が学校中に響き渡る。そして一斉にペンの叩く音が聞こえる。

 孝也は問題を見ながらまるで答えを知っているかのように迷いなく、解答用紙にスラスラと書いていく。孝也のテストを終える時間は見返しを含めても大体、始まってから20から30分だった。そしてペンを置いた孝也は頬杖をついて天井や黒板をぼーっと眺めていた。

 もちろん、他の人はそんなに早くは終わらない。晴翔と遙は頭を悩ませてはいるが、解けていないわけではなかった。

 松原も頭は良いので特に問題に衝突することもなく解いていた。

 そして1時間目の終了のチャイムが鳴り響く。後ろの席から回されてきたプリントを前に送る。そして先生が教室を退出した瞬間、クラス全体が騒がしくなった。

 それぞれに席の近くの人とテストの手応えを話し合っていた。難しかった、簡単だったとそこら中から耳に入ってくる。その中でも余裕そうに自己採点したと言っている人がいたが、答えを知らないくせにどうやってやるんだよ、と心の中でそいつを小馬鹿にしている孝也だった。

 次のテストまで10分。暇なので腕を組んで目を瞑っている。側から見れば近づくな、と言わんばかりの雰囲気を出したつもりだったのだが、そんなことを気にしない奴が2人いた。いや、3人になった。

 「よう、孝也。テストはどうだった? 俺は意外と自信あるぞ」

 「私も私も! 今回はスラスラ解けたよ」

 「2人とも2週間前からしっかり勉強していたからだよ」

 孝也の周りには集まり、笑顔で話し始める3人。

 テストの日の1授業間の10分こそ1番休憩できる時間。できれば孝也は静かにしていたかった。

 孝也は目を開けると鬱陶しさ全開で口を開く。

 「そうか、それはよかったな。別にそんな話、俺の周りでしなくてもいいだろ」

 「おいおいそんなこと言うなよ。お前のおかげで俺たちは今回のテストを無事乗り切れそうなんだから」

 孝也の肩をバシバシと叩きながら晴翔は笑いながら言う。遙も横で大きく頷いていた。

 「私も勉強会に参加させてもらったからいつも以上にできてる気がするよ」

 松原も自信に満ち溢れた笑顔を見せる。

 もう何も言う言葉がなくなった孝也は黙った。

 勉強会だが孝也は彼らに勉強を教えた記憶が一切ない。全て星乃に丸投げしてしまい、自分は本棚で小説を読んでいただけ。ここまで感謝をされる筋合いはないと思っていた。

 礼の言葉は自分ではなく星乃に言うべきだと言おうとしたが、3人は孝也の周りで現代文の問題について話し始めていた。

 教室のドアが開かれて封筒を持った先程とは別の教師が入ってくる。

 時間を見れば残りの休憩時間は3分といったところだった。

 「そろそろ休み時間、終わるぞ。早く席に戻れ」

 孝也の一声で3人は別れを告げて自席へと戻った。


 そして2時間目、3時間目とテストがあっという間に終わった。

 いや、孝也にとってはあっという間には終わらなかった。集中していれば時間はすぐに過ぎ去るのだが、最初の20分ほどで終わってしまう孝也にとっては余った時間は暇でしかない。その時間をいかに潰すか大変だった。

 まだテスト初日だというのに教室の中は既にお祭り騒ぎだ。煩すぎてかなわない孝也は急いで帰り支度を済ませると教室を静かに後にした。

 有難いことに晴翔と遙や松原に気づかれることなく教室を出られた。

 廊下には生徒で溢れかえっており、人の隙間を縫うようにして玄関まで向かった。テストよりもこっちの方が疲れると思った孝也だった。

 一呼吸置いてから靴を履き替えていると後ろから誰かに声をかけられた。誰かと言っても最近はよく聞く声だが。

 「三河さんも帰るんですか?」

 振り返るとそこには星乃が立っていた。

 「そうだが、なんか言い方に違和感があるな」

 「そうですか? ただ、三河さんも参加されないんだな、と思って」

 「ん? 何にだ?」

 彼女が言っている参加とはなんだ? と思い頭を捻って考える。だが星乃が言ったことが理解できなかった。

 「もしかして何も聞いてないんですか? さっき花香さんからテスト1日目終了お祝いをしようって誘われたんです。てっきり三河さんも誘われているものだと思っていました」

 孝也が知らなかったことを彼女が驚いているようだった。

 「知らなかったな。ま、誘われたって参加する気はないがな。それじゃ、星乃も気をつけて帰れよ」

 既に靴を履き終わっていた孝也は手を振りながら歩いて行く。

 「あの! 一緒に帰りませんか?」

 その声と共に服の袖を掴まれる。振り返ると星乃が目の前にいた。急いで靴を履いたのか、踵を踏んでいる。

 幸いにも周りに人はいなく、誰にも見られていないようだ。テストが終わった余韻に浸りたいのかまだ学校から出ていない者の方が多いようだ。

 外にも人はいないことを確認すると孝也は首を縦に振る。

 「わかった。それじゃあ行くか」

 「はい!」

 星乃は勢いよく返事をすると2人は並んで歩いて行く。その後ろ姿を見ている奴が1人いたことには気づかなかった。

第61話目を読んでいただきありがとうございます。作者の霊璽です。

更新が遅くなってしまい、すみません。最近やけに疲れてるようで金曜日はすぐに寝てしまうんですよねー

そして評価が50pt超え、総合評価が84ptになりました!!!

本当にありがとうございます。これからもちゃんと執筆していきますので応援してくれると嬉しいです。

それではまた次回、お会いしましょう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。