第63話 テスト3日目
「今日でテスト最終日だぁ!」
晴翔と一緒に教室に入ってきた遙は開口一発目にそう叫んだ。既に終わったかのようにスキップをしながら孝也の方へと近づいてくる。晴翔も相当嬉しいようで顔のニヤつきが隠せていない。
「最終日って……まだ始まってすらないだろ」
「あはは……」
既に教室に来ていた孝也は小さく呆れた声を出す。それを隣で聞いていた松原も苦笑いをしていた。
確かに今日はテスト最終日。教科は世界史、数学B、古典の順番だ。孝也は松原とテストの最後の復習をしていた。とは言っても彼女自身頭が良いので孝也は教えることは特にない。
「2人ともおはよ!」
「松原さんに孝也。おはよう」
遂に席までやってきた遙と晴翔が挨拶をする。孝也は右手を上げて返事をし松原も笑顔で呼応する。
遙は机を挟んで2人の前に立つと机を両手でバンッと叩いて顔を近づけてくる。
「ねぇねぇ! 早速提案なんだけどさ。今日の放課後に勉強会したみんなで打ち上げしない?」
遙の顔を見ると提案というよりも決定事項のように見える。彼女は目を輝かせて顔に『やろうよ!』と大きく書かれているように見える。
「いいね! 打ち上げ。私もやりたい!」
松原も子供のように無邪気な笑顔を浮かべながら賛成している。
「はるちゃんの提案だ。俺はもちろん参加するし、孝也も参加だ」
「待て、なんで俺だけ既に参加が決定してるんだ?」
晴翔は親指を立てて遙に笑顔を向けるが、彼の言葉に孝也が突っかかる。
「え、だってお前に聞くと大体『面倒だから行かない』とか『勝手にやってろ』のどっちかしか返ってこないからな。今回ばかりは参加してもらうぞ!」
高笑いを上げながら晴翔は肩を組んでくる。
少しばかり苛立ちを覚えたが、今日ぐらいは参加してやるか、と心の中で呟いた。
「じゃあ、星乃さんも誘わないとね! ちょっと聞いてくる〜!」
そういうと遙は教室から走って出ていった。
遙を見送った3人はそれぞれやるべきことに戻る。
「それじゃあ、私も最後の復習やらなくちゃ」
「そうだ、孝也。俺もちょっとわからない問題があってな。教えてくれないか?」
「2週間前から勉強してるのにまだあるのか……で、その問題ってどこだよ」
頭を雑に掻きながら晴翔に教科書を差し出す。受け取った晴翔はわからないと言っていた部分のページを開いて孝也に教わっていた。
5組まで来た遙は開きっぱなしのドアからひょっこりと顔を出して教室の中を覗く。しばらくキョロキョロと教室の中を見ていると後ろから肩を叩かれる。
「花香さん、何をしているんですか?」
「うひゃ!」
不意に後ろから肩を叩かれて変な声を上げる。振り返ると首を傾げている星乃が立っていた。
「星乃さんか……ビックリしたー」
ホッと胸を撫で下ろして安心していると星乃が申し訳なさそうな顔をして頭を下げる。
「驚かしてしまってごめんなさい」
「こっちが勝手にビックリしただけなんだから頭あげてよ」
「ありがとうございます。それで、えっと……どうしたんですか?」
星乃が問いかけると遙は口を隠すように手を当ててハッとする。
「星乃さんに用があったんだ」
「私ですか?」
「うん。今日の放課後なんだけど、せっかくテストが終わるんだし、勉強会したみんなで打ち上げしようって話になったから誘いに来たの」
首を傾げている星乃に遙の来た理由を説明する。しばらく考えたあと、星乃は首を縦に振る。
「わかりました。せっかくなので参加しますね」
「ありがと! じゃあまた放課後にね。バイバイー、あ、テスト頑張ってね!」
手を振りながら廊下を駆けていく。星乃はクスッと笑いながら教室へと入っていく。
再び教室に戻ってきた遙は驚きの光景を目にする。それは晴翔が朝から勉強をしていることだ。少しの驚きとその格好良さに見惚れている。
孝也に教えてもらっている最中、何かを勘づいたように晴翔は手を止めて周りを見始める。晴翔の集中力もここまでのようだ。教室の外でこちらを見ている遙を見つけるとペンを放って晴翔は彼女の元へ向かう。
「はるちゃん、おかえりー、どうだった?」
「ふっふっふ、もちろん星乃さんも参加しまーす!」
「おお! 放課後が楽しみだね」
教室の外で盛り上がっている2人を眺めている孝也。テスト最終日にあんなにはしゃぐ2人を見るのはだいぶ久しぶりのような気がする。
孝也はいつまで経っても仲の良い2人を見て寂しそうに笑う。そして朝のホームルームのチャイムが鳴り響く。
第63話を読んでいただきありがとうございます。作者の霊璽です。
今回でテスト回終わりです! 長かった。今までの話の半分くらい使ってテストが終わりました。
次回から数話を使って打ち上げ回。そして夏休みです!!
まだどうするか一切考えていませんが……
それではまた次回、お会いしましょう




